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初めてのFlash PIC
【 初めてのFlash PIC 】詳細



音ネタバイキング 5000
製作:D-space KEYOSS
販売:(株)アートグローブ

クーリングオフ代行手続専門法務事務所 タウンネット・コム



当ホームページはリンクフリーです。

リンク後メールを頂けましたら、相互リンクさせていただきます。

ご感想などもございましたらこちらからお寄せください。

なお迷惑メールが大変多くて困っております。できましたら件名に『デジタル降魔録を見た』とお書き添えください。よろしくお願い申し上げます。


バナーは下記の物をご自由にお持ち帰りください



魔王城のすぐ横で、今日も元気に開店中。 世の中の役に立つかはさておいて、誰も求めていないかもしれない『超ニッチ』なデジタル知識の攻略本、デジタル降魔録
―― produced by D-space Keyoss

2026年 6月11日(木)29.5℃(午後 1時 2分)

絶賛、大工事中……

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Cinema 4D Liteが「2026」へバージョンアップしたのに伴い、解説ページ【カメラを滑らかに走らせる】も一気に最新仕様へ書き換え中です!

 さらに今回は、みんな大好き(だけどたまに暴走する)『パスに沿って走らせる』の新ノウハウや、キーフレーム操作の秘密のテクニックも追加します。

 ただいま裏で必死にレールを敷き直しておりますので、完了まで今しばらくお待ちください!





2026年 5月31日(日)27℃(午前 10時42分)

プレミア秘境の歩き方『MAミキサーも真っ青! AIオーディオ』6(/6)

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ここでは Premiere 2026を Pr、After Effects 2026を AEと書きます

さて、最終回は AIによる【生成延長(Generative Extend)】と【AIオーディオ】です。
 とくにワタシのような『MAミキサー(もやっています)』にとっては、驚きの機能が、AIオーディオです。
 ちなみに『MAミキサー』というのは "Multi Audio(マルチ・オーディオ)" の『MA』です。つまり映像に関する音関係のなんでも屋さんです。

 余談ですが、ワタシは映像・オーディオ以外にもソフトウェア開発から電子基板の回路設計、そしてプリント基板のパターンアートワークまでやっていましたので、マルチデジタルエンジニア、MDEと申します。街で「おーい、MDE!」と叫んでください。だーれも振り向かないと思いますが……(悲)

 話がそれました。戻します。
 最新のPrには AI関係の機能が目白押しです。AEの旧ロトブラシを凌駕するオブジェクトマスクには驚かされ、字幕生成とキャプション処理に関しては AE遣いも脱帽でした。
 そしてラストは、AIによる生成延長AIオーディオです。
 世の中 AIだらけに染まっていますが、うまく使っていますか?
 あ。
 また話が脱線しそうになりました。すみません。それではAIによる生成延長からです。

 AIによる生成延長

はっきりいって、あまり期待しないほうがいいです。確かに使い方によっては助かることもありますが、現場目線で言わせてもらえば、"それぐらいならいくらでも、ほかの方法でごまかせる" というのが感想でした。

 その理由は延長時間が短すぎるところです。
 オーディオの延長は 10秒。動画に関しては2秒しか延長してくれません。その短さを言葉で説明するよりも、百聞は一見に如かず、その結果を検証してみましよう。

 まずは比較検証用の映像を作りました。去年の秋ごろに作ったアニメの背景動画、【海の見える公園】に少し手を加えて、今回も【VoiceVox】さんの AI音声を利用させてもらいました。


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映像は架空の海岸で、ナレーションはVoiceVoxの『東北ずん子』さんです

まず、オーディオ延長からやってみます。クリップの最終位置から先を 10秒まで AIが生成してくれるそうですが、音楽は不可能だということです。そこで『東北ずん子』さんのナレーションの最後から10秒と、これもワタシがどこかで録音してきた環境音を、それぞれ 10秒ずつ生成させてみます。


 Prの画面をご覧ください。

先ほどの比較検証用の映像を編集している Pr画面です。オーディオトラック(①)に『ナレーション』と『歩道雑踏』、そして『波の音』を並べてあります。単純にトラックに並べただけの状態ですから、音量レベルは『0dB』のままです。

 生成延長をするときは ②の【生成延長】ツールを押します。
 次のダイアログが出ましたら、【今すぐ始める】を押します。

 押したら、【エッセンシャルサウンド】というパネルを開きます。出ていないときは、【ウィンドウ】→【エッセンシャルサウンド】にチェックを入れます。


 下のような表示が出るときは、オーディオクリップが選択されていませんので、トラック上のオーディオクリップを選択します。




 これがオーディオクリップを選択してから【エッセンシャルサウンド】の【編集】タブを開いたところです。

クリックしたオーディオクリップの種類をここで選択します。ナレーションなら『会話』、BGMなら『ミュージック』、今回のような "波の音" や "歩道雑踏" なら、『環境音』です。「ドカーン」とか、「ビヨヨヨヨヨーン」とかの人工的な音は『効果音(SE)』に分類されます。

 なぜここで音の種類分けをするのかというと、今からやる【オーディオ延長】とは直接関係ありませんが、オーディオ関係の調整は別の専門ソフトに頼らないでも、ある程度は Prでできることがお分かりいただけると思います。

 専門的なソフトの代表は『Sound Forge』とか『Adobe Audition』などあります。Auditionについて詳しくは こちらでも書いていますのでぜひご覧ください。

 ただし Prでは専門ソフトのようにオールマイティにできないようで、ノイズの軽減などは『会話』というオーディオタイプでないとできません。たとえば、『環境音』に設定した "歩道雑踏" からノイズを軽減したいときは、いったん【オーディオタイプのクリア】を押して『会話』に設定してみてください。


 次の画像では "歩道雑踏" のオーディオタイプを『環境音』から『会話』に変えて、【ノイズの軽減】を試しています。参考にどうぞ。

それにしても、【ノイズの軽減】の "ON" と "OFF" のメリハリがすごいですね。雑踏のノイズがスパッと消えています。お見事の一言です。

 他にもリバーブや『ラウドネスの一致』などはかなり使いやすいです。
 ところで、ラウドネスの一致というのは、昔のオーディオ機器、ラジカセとかに付いていた『低音と高音のブースト』ではありません。人間の耳が感じる『音の大きさ(音量感)』を、国際的な基準に合わせて一定に揃える機能です。

 もう一歩踏み込んで説明しますと、人間の耳は周波数によって音が大きく聞こえたり小さく聞こえたりするそうです。実際、会話する人によって同じ音量なのに、小さく聞こえたり大きく聞こえたりするのはそのせいです。その音量感を均一に揃える「オート・ボリューム(音量感の一致)」機能がラウドネスの一致です。単位は『LUFS』で、-16~-24が一般的だそうですが、Prでは『-30LUFS』で固定されているようです。Auditionなどでは調整可能です。

 おっと、オーディオを熱く語る特集ではありませんでした。オーディオ延長でしたね。

 早速 "ナレーション"、 "歩道雑踏"、"波の音" をそれぞれ、延長させてみましょう。どんな音をAIが作ってくれるのか楽しみです。


 やり方は簡単。先ほどの【生成延長】ツールで、オーディオクリップの終端をドラッグして、右に引き延ばすだけです。10秒分だけ伸びます。

上が延ばす前で、下が 10秒間延ばされた画像です。


 続けて残りの環境音も 10秒延長してみましたので、どんな音が作られたのか聞いてみました。

"ナレーション" は何か音らしきものが作られていますが、意味不明でした。"歩道雑踏" と "波の音" は、まあ、それらしい音が生成されていますが、これなら音データのどこか別の場所をコピーしてうまくクロスフェードして、合成させたほうがきれいに繋がりますね。しかもその方法だと10秒といわず、1分でも可能ですしね。まあ、例にした環境音が簡単に手に入るものだったのが失敗だったのかもしれません。


 次は映像の生成延長をやってみます。映像もどこかでぶつ切りしたものと、していないものと並べてみます。

【注意】

動画の生成延長は『1080pのフルHDで 30fps』動画の生成を実行した結果、クレジットが 250も減りました。1秒 125クレジットです。燃費がとても悪いのでご注意ください。オーディオの生成延長は、1秒あたり 5クレジットのようでした。


 その結果をご覧ください。

道路を渡って、カメラが公園に下りる手前で映像が切れています。その続きを AIに作ってもらいました。
 上の映像では生成完了するまでを早送りしていますが、実際は 2分10秒経過しています。

 生成映像を見ますと、だいたいオリジナルと同じ雰囲気の画像が描かれていますので、これが実写の映像だともう少しいい感じになるのでは思います。しかし 250クレジットも消費して、これでは生成時間が短い気がします。このままでは使いどころが分かりにくいです。強いて言えば、トランジションなどで、途中で映像が切れて、あとちょっとその先が欲しい、というような場合には重宝するかもしれません。


 それでは最後の検証。AIオーディオリミックスです。
 これまでの『さくら浜公園』の映像に環境音と AIオーディオリミックスを施した BGMを付けた完成動画です。
 AIオーディオリミックスで作られた BGMの自然なつながりをお聴きください。


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音が鳴ります。音量にご注意ください

AIオーディオリミックスというのは、BGMを AIが加工して、映像の長さにするというものです。しかもただのフェードアウトではありませんよ。ちゃんと BGMのエンディングを切り取って、曲の終わりに繋いで、なおかつ、デュレーション(尺)合わせをしてしまう高度なものです。上の映像が終わる時間に合わせて BGMが終わっているのはそのためです。実際この曲のデュレーションは 1分45秒もあります。


 では、どのように操作したのか、次の映像をご覧ください。

リミックスツールで BGMの終端をドラッグして、終わらせたい位置に持ってくるだけで、あとは AIがちょうどいい位置にエンディングを持ってきてくれて、繋ぎ目をうまく加工してくれています。

 生成時間は早送りしていませんので、上の映像がリアルタイムです。また BGMの途中に何か所かある波線部分が、AIが手を加えた部分です。ここらを加工して長さを調整したようですが、その繋ぎ目は全く違和感がありません。ただし、曲調によっては「かなり無理して加工したな」とはっきり聞き取れるケースもありました。

 例えばこの曲の加工済みを聞いてみてください。

BGMは少し余韻が残るほうが自然ですから、これもだいたいデュレーションに合っています。ただ、中間あたりの加工部分(繋ぎ目)に違和感が残っていますが、人間が一切手を出さずにこのクオリティは、素晴らしいと思います。

 逆に BGMの長さが足りない場合はうまく繋いでリピートして、映像の長さに合わせてくれます。ただ同じフレーズの繰り返しが、シームレスループ音源ほどなめらかに繋がらないこともあります。やはり選曲が重要で、なんでも完璧にこなせるわけではないようです。もう少し AIの進化に期待したところです。




 最後は対決です。
 人間(Human=It's Me)の加工したリミックス音源と、先ほどの AIのリミックス版とを比較してみます。AIの場合は 12秒~20秒あたりに繋ぎ目があります。Humanの繋ぎ目は 7秒~8秒のあたりです。


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【AIの作成したリミックス(12秒~20秒に注目)】




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【人間の作成したリミックス(7秒~8秒に注目)】

映像の長さに BGMを無理やり合わせるのですから、加工は避けられません。作曲した人からすると屈辱的な仕打ちかもしれません。ワタシはなるべく小節間の繋がりを考慮して加工するように心がけていますが、たぶん AIはお構いなしだと思います。

 とはいっても、総合的に見て、これらの機能がもたらす恩恵はあきらかです。なにしろ『It's Me』が手を出したリミックスは 3回修正をして約20分ほどかかっていますが、AIは少々違和感が目立ちますが、ものの10秒ほどです。ぼんやり聴いていたら、その違和感も聞き逃しそうな出来栄えでした。

 このように、面倒な雑務をAIに任せることで、人間はもっと「考えること」に時間を割ける。要は使い手次第、うまく付き合えば、これほど心強い相棒はいないと痛感しました。






2026年 5月27日(水)30.5℃(午後 3時40分)

プレミア秘境の歩き方『AE遣いも真っ青! 自動文字起こし機能 後編』5(/6)

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ここでは Premiere 2026を Pr、After Effects 2026を AEと書きます

【自動文字起こし機能】の 後編です。文字起こしパネルで生成された日本語のナレーションを、キャプション(字幕)の生成処理を通して字幕が作られたところからです。

 Prの作業画面はこんな感じになっています。

画面を目いっぱい使ってぎっしり詰まっています。やはりこの手の作業には最低でもツインモニターにしたいところですね。


 そしてこの中の【キャプションパネル】をメイン表示させると……。

字幕の切れ目が気になる場所があります。ピンク枠で囲った 3つの字幕です。セリフの途中で次の字幕に移っています。このままでも問題はないのですが、丁寧な仕上げにするのなら少し修正したいところですね。例えば次のように 3行を 2行にしたいです。

では これからプレミア秘境にある文字起こし王国に出発します

運転手は鳩時計から逃げ出してきたポッポくんです



 問題は、このようにすると文字数が増えるため、字幕に強制改行が起きないか心配です。とくに次の 1行は長いので起きそうです。

では これからプレミア秘境にある文字起こし王国に出発します

文字数は半角スペースを入れて 29文字です。プログラムモニターを見ると、画面の両端にスペースがたくさん余っていますので、もっと大きな文字サイズにしても改行は起きないと思われます。

 では気になるこの 2行を文章としてまとめてみましよう。

1行目で切り離された字幕があるテキストエリアを Wクリックして、移動したい文字列を選択します(ピンク矢印)。そして〔Ctrl+X〕で切り取りコピーをします。


 続いて、ペーストしたいテキストエリアを Wクリックして……。

最後尾に〔Ctrl+V〕でペーストします。ふつうの文字修正と同じ要領です。これで最初の 1行目の修正が終わりました。

 ただしタイムスタンプは文字列が増える前の状態ですので、字幕を読み終わる前に次の字幕が出ます。この修正はタイムライン上で人間がやることになります。効率を考えるのなら、よほどひどいところだけにするか、読みやすさを重視するなら、あとからの修正をやらなければいけない、ということを覚えておいてください。

 といってもタイムスタンプの修正はものすごく簡単です。タイムラインに並んだ二つの字幕間の位置を【ローリング】ツールで左右に動かすだけで、字幕のタイムスタンプの数値が自動的に変更されますから、それほど難しく考えることはありません。

 タイムラインでの字幕修正はまとめてやりますから、先に次の 2行を結合して 1行にします。『運転手は』のタイムエリアをクリックしたあと、〔Shift〕を押しながら次の『鳩時計から逃げ出してきたポッポくんです』の二つの行を選択して……。

3番の字幕にあるタイムスタンプの開始時間と 4番の終了時間を憶えておいてください。
【キャプションを結合】ボタンを押します。

このように二つの字幕が結合され、タイムスタンプの開始と終了の時間も補正されます。
 また、結合部分(ピンク矢印が示す青い隙間)には、必ず半角のスペースが自動的に付けられます。『運転手は』と『鳩時計から逃げ出して……』の間です。この場合は半角スペースが入っても問題ありませんが、不要なときは手動で削除することになります。

 字幕の結合では音声と字幕がずれることはありませんが、先に書きましたとおり、文字数が変化するような修正をすると、音声と字幕が少しずれます。そこでその修正をタイムラインでします。
 修正方法は次の動画をご覧ください。


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音声が鳴ります。音量に注意してください(音が出ないときはスピーカアイコンを押します)

字幕の表示時間を修正するのは【ローリング】ツールか【選択】ツールでキャプショントラックにある字幕クリップの端をドラッグするだけです。そして字幕の表示時間はオーディオトラックの波形データの『山や谷』を見ていれば、どれが何のセリフ部分か判別が付きます。そこを目標に時間を動かせば、キャプションパネル内のタイムスタンプも自動的に修正されます。


 実際にキャプションパネル内の問題の字幕データを見るとよく分かります。

字幕の終了時間に注目してください。修正後のタイムスタンプは約 2秒ほど長くなって、次の字幕にも反映されています。
 このように、キャプショントラックにある字幕クリップの位置を動かすと、自動的にキャプションパネル内のタイムスタンプも変化する、大変便利なものです。


 まだキャプションパネル内の字幕データを、二つに分割する方法が説明できていませんが、今回は VoiceVoxさんの高品質なナレーションを使わせていただけたおかげで、最大文字数を超えるようなセリフが出てきませんでした。これでは字幕データの分割方法の説明ができませんので、無理やり二つの字幕を結合して強制的に改行された字幕データを作りました。これを使って説明します。



二つに分かれていたものを無理やり一つに結合しました。映像では字幕がどうなっているかというと、

当然ですが、上の画像のように字幕は強制改行されて 2行になっていました。

 人が喋った音声を字幕に生成しますと、このように文字数オーバーになることがよくあります。またフォントサイズをあとで大きくすると、テキスト領域からはみ出して強制改行が起きます。

 このようなときの対処を説明します。次の画像です。
 9番のテキストエリアが改行している長い字幕の部分です。

9番のテキストエリアを選択してから、ピンク矢印の【キャプションの分割】を押します。


 すると……。

上のように ①と同じ字幕 ②が追加されます。カーソルあたりから二分割されるのかと思っていましたので、少々期待外れです。これでは分割でなくて複製ですね。
 つまり、2行にしたから、あとは好きなように文字列を修正しなさい、という感じです。

 9番の字幕の不要な部分を削除し……。

上の画像のように必要な部分を残します。


 10番の字幕も……。

必要な部分は残し、他は削除します。

 ①で示す 9番の字幕は文字数が減りましたが、タイムスタンプの長さは変りません。先ほど同じようにタイムラインでの修正を余儀なくされます。ここらも全自動だとずいぶん楽になるのですが、仕方がありません。

 タイムラインでの修正は先にやりましたとおり、音声ファイルの波形を見て、どのあたりで字幕が変わるかを見つけておいて、二つの字幕クリップの切れ目をローリングツールでそこへ移動させれば、キャプションデータのタイムスタンプは自動的に修正されます。
 作業自体は簡単ですが、数が多くなると意外とつらいです。



 さて、字幕の編集が終わりますと、作業の続きはここから 2つに分かれます。

 ① できあがったキャプションデータを『srtファイル』として完了させてしまう。

 ② このまま Pr内でテキストの見栄えをよくして映像データ内に字幕として焼き付けてしまう。

とに分かれます。


 初めに『srtファイル』の説明をします。
 srtファイルは、動画配信プラットフォーム側で処理され、そのプレイヤー上で表示される字幕データです。中身は使用する文字列と、表示のタイミングがセットになったテキストデータになっています。フォントや色はプレーヤー側で変更します。
 そのため、プレイヤーにもとから付属している自動字幕ツールで出されるものよりも高品質で、あらかじめ修正が施された間違いのない字幕を表示させることができます。

『srtファイル』は、YouTubeでは最も推奨されている、一番メジャーな字幕ファイルの形式の一つですし、Vimeoでも推奨されています。ただし、可変フレームレート(VFR)の動画の場合は注意が必要です。この方式はフレームレートが変化するために音声と字幕のタイミングがズレていきます。YouTubeではアップロード時に強制的に固定フレームレートに直されますが、Vimeoでは非推奨の方式になっています。


 映像制作に使用するする動画ファイルが、可変フレームレートかどうかは、Prのプロジェクトパネルにある『.mp4』ファイルを右クリックして、【メディアファイルプロパティ】で開いてみてください。『フレームレート:30.00』以外何も書かれていなければ、通常の固定フレームレートで、下記の画像のように【可変フレームレートが検出されました】と出たら、それは【可変フレームレート】です。

これは AE遣いの方にも要注意案件で、可変フレームレートだと気づかずに映像を編集して、Media Encoderや、AEに付属のレンダキューで『mp4』にエンコードした映像の途中から、音がズレだして慌てることがあります。

 しかも AE側では可変フレームレートかどうかの判別がつきません。ファイルのプロパティでもそのような項目は出ませんし、タチの悪いことに、AEでの作業中は音ズレなど起きませんからいったいこの原因は何だ、と悩むことになります。
 もし AEの作業で音ズレが起きたときは、まず可変フレームレートを使っていないかを疑ってください。AEの作業中には気づきませんからあとで慌てることになります。
 もし同じトラブルに遭遇している方は【After Effects & Cinema4D Liteトラブル対策案】をお読みください。
 他にもVimeoの Helpでも解説されています。興味のある方はご覧ください。
 というのが『srtファイル』についての概要でした。


 次は Pr上の字幕として処理する話です。
 先ほど作られたキャプションデータは時間データ付きのテキストファイルとしてキャプショントラックに並んでいます。ただしフォントや文字サイズはデフォルトのままですから、任意のフォントやサイズなどにスタイルは自由に変更可能です。ただ Prには『プレミア王国』としての作法があり、『アフターエフェクト王国』のそれとは異なっています。

 プレミア王国のテキストは次のように二つに分かれています。

 ① キャプションとしてのテキスト

 ② グラフィックとしてのテキスト

自動文字起こしから作られたテキストは ①のキャプションとしてのテキストとして、特別なキャプショントラックに並ぶのはご存じのとおりです。
 ②のグラフィックとしてのテキストは、『グラフィックテキスト』と呼ばれ見た目重視のテキストです。
 テキストスタイルはもちろん、表示位置などすべてのプロパティを自由に使えて、エフェクトも掛けられる、いわゆる AEで扱うテキストと同じようなものです。

 では①のキャプションとしてのテキストはキャプションとしての任務から逃れられないのかというと、そうではありません。キャプションからグラフィックへ転職することができます。


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キャプションを選択して【グラフィックとタイトル】から転職可能です

グラフィックテキストに変身すれば煌(きら)びやかな世界で自由に舞い踊れますが、二度とキャプションの世界に戻ることは許されません。
 キャプションの世界はすべてに対して正確な時間で動くことが重視され、全員が同じスタイルで統制の取れた振る舞いができるように教育された規律正しいエリートたちです。キャプションパネル内であれば、テキストは字幕として、自由な位置で分離、あるいは他の字幕と結合ができます。

 それに対して一度グラフィック界隈の煌びやかな生活に染まった元キャプションたちは、キャプションパネルから抹消されており、こんどはグラフィックパネルに並べられます。その部屋では字幕としての名残(なごり)として、タイプスタンプは残されていて、時間的な場所が動けばタイムスタンプは変化しますが、もうテキストの分離・結合はできなくなります。

 そしてグラフィックテキスト界隈の掟、統一の取れた振る舞いは一部制限されます。その典型的な弊害が、すべてのグラフィックテキストを選択しても、1行あたりの文字数の変更つまり、テキスト領域の幅を一斉に換えることはできなくなります。ようするに字幕として統一が取れた文字数に変更するには、一つ一つ選択して個々に調整していかなければならないということです。

 このような制約が発生しますので、キャプションからグラフィックテキストに変更するときは慎重にすることをお勧めします。

 ということで、ここから先はグラフィックテキストは扱わない前提で進めていきます。



 現在の段階で字幕はきれいに並んでいますが、文字サイズが少々小さくて見づらいです。そこでフォントサイズを大きくするのですが、大きくすると行あふれが起きるキャプションが出てくるはずです。そのことも考えて、最もセリフの長い字幕を選んで作業します。




プロパティパネルでフォントサイズを「80」まで上げると丁度いいサイズなのですが、次の画像のように行あふれが発生しました。




 2行になってしまったのを修正します。

プログラムモニターのテキストを【選択】ツールでクリックします。
【テキスト領域】の破線枠が出ますので、両サイドの丸いハンドルをドラッグして 1行に戻るまで広げます。


 ついでに段落を【左端揃え】にしてフォントも変えました。これを全部のキャプションに適用させるには三つの方法があります。

 ① キャプショントラック全部のキャプションを選択してから、スタイルを変更する

 ② 一つのキャプションを選択してから、今回限りのトラックスタイルとして使う

 ③ 他のプロジェクトでも使える共有スタイルとして使う

どれもキャプショントラック専用のスタイルとして扱われます。
 ②は次の【再定義】ボタンを押すと全部のキャプションに反映します。


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初めてなのに、なぜ『再定義』?

これを実行しますと、①と同じで、テキストとしてのスタイル(フォント、色、サイズ、段落など)は反映しますが、【テキスト領域】の破線枠の幅を扱うことはできませんでした。

 ところが、③の『他のプロジェクトでも使える共有スタイルとして使う』の中で、【プロジェクトに保存】を選択すると、【テキスト領域】の破線枠の幅も一斉変更できましたので、これが使えそうです。


 ③ 他のプロジェクトでも使える共有スタイルとして使う

作成したキャプションのスタイルを外部スタイルファイルとして登録して、別のプロジェクトでも共有できるようにするモードです。


 もう一度プロパティパネルを見てください。

フォントサイズを『80』で、段落を左揃えにしてから、【テキスト領域】の破線枠を調整した状態です。

 まず、①の「+」アイコンを押して、②の【スタイルの作成】を押します。


 すると次のようなダイアログが開きます。

【名前】はちゃんとつけたほうがいいです。もし同じ名前のスタイルを複数作ってしまうと、どれがどのスタイルか分からなくなります。

 そしてここが秘境の謎の部分。【ローカルスタイルに保存】と【プロジェクトに保存】の違いがこの言葉からは、うまく汲み取れないのですが、実際に比べてみると、【ローカルスタイルに保存】は今選択されているキャプションのみにこのスタイルが適用されて、スタイルファイルとしても保存されませんでした。結局、何もやっていないのと同じような気がしますが……。

【プロジェクトに保存】を実行するとすべてのキャプションに適用されて、プロジェクトパネルにも付けた名前のスタイルファイルが登録されました。
 そして、念願のテキスト領域の幅も一斉変更できます。これを使えば 1行あたりの文字数の変更がまとめてできます。

 それにしても、なぜここで二つに分かれているのか、首をかしげてしまいますが、ここは深く考えないで、とりあえず両方チェックを付けて【OK】を押します。

 これでスタイルがすべてのキャプションに反映されます。
 プロジェクトパネルにあるスタイルファイルを右クリックして【テキストスタイル書き出し】をすれば『.prtextstyle』というファイルができますので、別のフォルダに保存することもできます。

 とてもややこしい説明になってしまいましたが、難しいことはしていません。よく分からないときは、

 ① キャプショントラック全部のキャプションを選択してから、スタイルを変更する

 ② 一つのキャプションを選択してから、今回限りのトラックスタイルとして使う

のどちらかを使えばひとまず無難です。
 そしてテキスト領域の幅も含めたスタイルを作るときは、これです。

 ③ 他のプロジェクトでも使える共有スタイルとして使う


 ちなみにグラフィックテキストの場合は、何をやってもテキスト領域の幅の一斉変更はできませんでした。





【文字起こしベースの編集】


 さてここで、後回しになっていた、『文字起こしベースの編集(ソース文字起こし)』の説明をします。
 簡単にいうと、自動文字起こしされたテキストの一部を削除すると、その部分の映像や音声クリップの場所を AIが探してくれて、その範囲を自動的にカットしただけでなく、削除されて空いた隙間に、後ろのクリップ全部を詰めてくれるという、映像のカット編集がとんでもなく楽になる神機能です。

 起動方法は簡単です。自動文字起こしを始める前の段階に戻ります。
 初めての場合は、青い色をした【文字起こし開始】と書かれた大きなボタンを押します。


二回目以降なら次のように『・・・』アイコンを押して出たメニューから【文字起こしベースの編集文字起こしを生成】を押します。

どちらを押した場合でも、数回『注意』のようなダイアログが出ますが、【OK】を押して進んで行くと……。

前回の【静的な文字起こしを生成】が起動したときとは違った進捗バーが出ます。



 しばらく待っていると、

【静的な文字起こしを生成】で作成されたのと同じテキストエリアが、文字起こしパネルに出ます。


全体の作業画面はこんな感じです。

セリフの『まあ、たまに変な変換をして……』の『まあ、』の先頭に青くて細いカーソルが点滅をしていて、再生ヘッドは『オーディオトラック』の『まあ、』の波形前で止まっています。

 さてここからが【文字起こしベースの編集】の本領発揮。

 文字起こしパネル内にある『まあ、』の部分だけ削除してみます。

 文字の削除だといっても、テキストエリアを Wクリックして文字変換モードにすることはありません。そのまま〔Shift〕キーを押しながら、矢印〔〕キーを 1回押すと、『まあ、』の部分に青いオーバーレイが出ます。2回押すと『たまに』までが青くなります。


まあ、』の部分が青いオーバーレイになったら、〔Delete〕キーを押して削除します。

文字起こしパネルが、『まあ、』の前で分割され(①)、そして『まあ、』は消えて、『たまに変な変換をして……』から始まる別のブロック(②)に分かれました。

 すごいのはこの次です。シーケンスパネルの ③の部分を見てください。
 映像とオーディオトラックの『まあ、』の部分だけがそっくり削除されて、カット編集が行われています。これを瞬間にやってしまいますから驚かされるのです。


 しかしすごいすごい、と驚いている場合ではありません。この機能は確かに素晴らしいのですが、使い方を誤るとせっかく作った映像がズタズタになってしまいます。


 恐怖の実験をしてみましよう。
 現状のシーケンスに BGMとテキストクリップが入っていたとします。次の画像です。

BGMに関しては【まだ文字起こしされていません】という警告が出ていますが、【テキストクリップ】には警告が出ていませんし、ちょうど『まあ、』の部分で『ビデオトランジションのスライド』が適用されています。

 こんな偶然は無いとは思いまいますが、たくさんのクリップが複雑に重なっている場所で、知らずに長いセリフを削除するとどうなるか想像がつきますね。その部分が根こそぎ消えてしまうんですよ。考えただけで恐ろしいです。知らずに保存をして「やぁ。これで仕事も完了した。やれやれ今日は疲れたなぁ……」なんてつぶやいて、パソコンの電源を切った翌朝を考えてください。身の毛もよだつ光景が待っています。


 実際に『まあ、』の部分を削除してみます。

案の定、オーディオトラックの BGMはその部分でズバッと削除され、音飛びが発生しているはずです。そしてテキストクリップのエフェクト部分も無くなっています。ほんの短い『まあ、』の部分だけでこれだけの被害が出ますので、この【文字起こしベースの編集】は映像編集が仕上がってから使うのは、慎重になるべきだと思います。うまく使ってください。



次回は 生成延長と AIオーディオを取り上げます。

 ご健闘をお祈り申し上げます……。( ̄‥ ̄!) アーメン…





2026年 5月25日(月)30.5℃(午後 5時12分)

プレミア秘境の歩き方『AE遣いも真っ青! 自動文字起こし機能 前編』4(/6)

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ここでは Premiere 2026を Pr、After Effects 2026を AEと書きます

さて次は Pr史上、最高傑作だといわれた自動文字起こし機能です。

 それがなんだと思われた方に説明します。

 その昔……。
 映像に流れる音声に字幕を当てる作業というのは、動画の音声を何度も巻き戻して聞きながら、手動で文字を打ち込み、タイムラインに並べて、映像とタイミングを合わせて……という地獄のような作業を何時間(時には何日も)かけてやっていました。

 それが、ボタンを数回ポチポチするだけで、一瞬で AIが 9割以上の精度でテロップを配置してくれるようになったわけですから、文字通り "動画編集の歴史を変えた、Pr史上最大の傑作機能" と言って間違いありません。

 ワタシも 2023年ごろに、小中学生の算数教材に使う映像の字幕起こし作業を『800本』ほどやった経験があります。『800本』を単独でたったの 3か月ちょっとで完了できたのも、この自動文字起こしと、学年別漢字変換処理のおかげです。

 学年別漢字変換処理は Prとは関係ない MIFESによるマクロ命令ですので、今回の話とは関係ありません。興味のある方は2023年 1月6日の記事をご覧ください。

 2026年の最新バージョンでの 自動文字起こし機能はどうなったのか、早速テストしてみましよう。


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音声が鳴ります。音量に注意してください(音が出ないときはスピーカアイコンを押します)

デジタル降魔録のヘッダを飾っている映像にナレーションを入れてみました。このナレーションの音声から Prの自動文字起こしを使って字幕ができるまでを説明します。



 Prを新規プロジェクトで起動して、ナレーションや会話の入った映像を取り込み、シーケンスパネルに配置します。ここまでは通常の新規プロジェクトの作成と同じです。
 トラックに映像とオーディオのクリップが並んだら、【ウィンドウ】→【テキスト】でテキストパネル開きます。

パネルの左上端が【文字起こし】タブ(①の矢印)になっていることを確認して、②の『・・・』アイコンを押します。

 ②の下にある青い色をした【文字起こし開始】と書かれた大きなボタンは押さないでください。こちらは『文字起こしベースの編集(ソース文字起こし)』を起動させるものですから、慣れないうちは触らないほうがいいと思います。知らずに使うと罠が待っている、秘境の危険地帯に落ちます。これに関しては後述します。(文字起こしベースの編集へ)


 出たメニューから【静的な文字起こしを生成】を押します




 すると小さなダイアログボックスが出ます。そこにある『文字起こしの環境設定』を開きます。




 ここで言語を『日本語」に、スピーカーのラベル付けを『いいえ』にします。

スピーカーというのは、話者(喋っている人)のことです。Prでは複数の話者を区別できますが、今回は一人しか喋っていませんから、『いいえ、スピーカーを区別しません』を選択します。
 音声の分析はトラックにある音声ファイルです。ここはデフォルトの『トラック上のオーディオ』のままにしておきます。その他もデフォルトのまま、下の青い『文字起こし開始』を押します。


 すぐに解析が始まり、進捗バーが伸びていきます。解析時間は音声ファイルの大きさによりますが、1時間を超えるような音声の場合はかなり待たされます。今回のように 1分足らずのファイルならすぐに完了するはずです。

 解析が終わると、【文字起こし】パネルに解析された音声が日本語に変換されて、自動的に十数秒ごとのブロックに分かれて表示されます。

①は右のセリフを喋っている話者の名前が表示される部分ですが、今回は『不明』のままです。

 ②の時間の表示部分はタイムコードとか、タイムスタンプと呼ばれる部分で、③のテキストエリアの始まりから、終わりの時間を示しています。
 このテキストエリアが一定のブロックで区切られるのは、Prの AIが、話し手の息継ぎや言葉の区切り(文節)を自動で判断して、読みやすい長さ(十数秒ごと)に分けてくれているからです。

 テキストエリアはマウスを当てると、当てられてた単語やフレーズの区切りをうすい白色でハイライトして、クリックするとその先頭に "青くて細い" カーソルが出ます。続いて再生キー(通常はスペースキーです)を押すと、その場所から再生が始まります。いちいちタイムラインまでマウスを移動させて、再生ヘッドを動かす必要がありませんから編集効率が上がります。


 今回は『VoiceVox』さんの AI音声を使用したため、誤変換はたったの 3所という見事な結果でした。Prの音声認識の優秀さがよく分かります。

 もしこれが実際の人間、それもちょっと舌足らずだったり、言葉を引きずる癖のある人の喋り方だったりすると、認識率はもっと下がってしまいます。人間が喋る動画から文字起こしするときは、「もう少し誤変換が増えるな」と構えておくのが正解です。





 誤変換の修正はこの先のキャプションデータの編集中でもできますが、ここでやると全体をざっと見渡すことができますので、作業がはかどります。
 3か所の修正しているところを動画にしました。実際の様子をご覧ください。


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音声が鳴ります。音量に注意してください(音が出ないときはスピーカアイコンを押します)

誤変換の修正は、タイムラインの再生ヘッドや映像をまったく見ないで、音声とテキストエリアの流れを耳と目で追いながら作業できますから、意外と効率よく進みます。

 ただ、漢字の変換はスペースキーで単語を切り替えますが、これが Prの再生キーと重なるため、その都度、日本語変換モードを終了させてから、Prを再生、誤変換を発見したら、再生を停止して、再び日本語変換モードに変えてと、この切り替えがとても苦痛になってきます。そこでワタシは Prの再生キーを〔F1〕キーにショートカットを書き換えて、日本語変換モードのまま Prの再生、停止を可能にしています。

 再生・停止は〔スペース〕キーと、体に染みついていますから、初めのうちは、なかなか馴染めませんが、長い字幕編集になると、日本語変換モードのまま再生・停止ができるのは大きな強みになります。


 同じ言葉がたくさんあるときは、文字検索を使うのがいいのですが、次のような Pr独自のおかしな現象が起きますので注意してください。

①の入力欄に検索文字を入れて『Enter』を押すとヒットした文字がオレンジ色でハイライトされます。
 例えば『は』と入れて検索すると、3段目のテキストエリアの『あはははは』と笑っているセリフの『は』だけがヒットしています。『は』を使用している場所は他にもたくさんありますが、ここだけしかヒットしていません。
 そこで……次の画像です。

検索欄右にある ①のフィルターアイコンを押して『文字起こしの表示オプション』ダイアログを出します。続いて ②の検索設定の単語全体を検索にチェック入れます。
 するとこのように、他の『は』は、ヒットするようになりましたが、今度は『あはははは』の部分はヒットしなくなっています。

 PRの文字検索は一般的なテキストエディタ(メモ帳や Wordなど)の "単純な文字列一致" とは異なり、AIが解析した "単語単位" で検索しようとしているみたいで、助詞の『は』と笑い声の『は』を、別のものと誤認識するようです。このように検索オプションの「単語全体を検索」にチェックを入れると、いくぶんヒット率が上がることがありますが、過信は禁物です。Pr上での文字検索や置換処理には "Pr独自の甘さ" がありますから、要注意です。文章の修正は、必ず目視でタイムラインやテキストを確認しながら手動で修正した方がいいようです。

 あるいは、外部のテキストエディタを使用するというのもあり、かもしれません。しかし文字起こしパネルにあるテキストエリアの文字データは『.txt』データに変換して外部ファイルに書き出すことはできますが、逆に『.txt』データを文字起こしパネルのテキストエリアに読み込むことができません。そこで少し工夫が必要です。
 詳しく知りたい方は、2023年 1月 6日からの記事をご覧ください。



 それでは、ひとまず修正が済んだこととして話を先に進めます。


 次に重要な補足をします。字幕における句読点『、。』の扱いです。

 一般的に字幕には句読点は使いません。『、』は半角スペース、『。』は全角スペースに変えます。これは読むスピードを上げさせるためだといわれています。『、。』があるとそこで呼んでいる人が目を止めてしまうからそうです。しかし昨今の Web動画や SNS動画ではセリフが与える雰囲気を残すためにあえて『!』や『?』『。』などを入れることもあるそうです。

 このPrの場合、文字起こしされた直後では『、』や『。』が自動的につけられています。そしてこの先のキャプション(字幕)データ生成作業を通すと、『。』は文末だと判断されて、すべて消されますが、『、』は残ります。もし句読点をつけない字幕を作成するのでしたら、この段階で『、』を検索して置換文字を半角スペース何も入力せずに『すべてを置換』の実行が一般的なのですが、この連続置換にも、プレミア秘境特有の変な癖があります。数個の『、』は半角スペースに変換されましたが、かなりの数の「、」がそのまま残ってしまいました。
 仕方がないので、この罠から抜け出すために、『すべてを置換』を使わずに『置き換え』ボタンをポチポチ押して置換を済ませました。


 さて、次へ進みましょう。
 誤変換や『、』を「半角スペース」に変換した状態からキャプション(字幕)データを生成します。

 ここで一つ、重要な注意点があります。一度キャプションデータに変換してしまうと、そのあとで文字起こしパネルのテキストを修正しても、生成されたキャプション側には反映されません。

 もしキャプションも一緒に更新したい場合は、もう一度最初からキャプションデータを作り直す(一から上書きされる)ことになります。そのため、ここから先は基本的に文字起こしパネルに戻ることはありません。ここでじっくりチェックすることを強くお勧めします。

 また、音声ファイルが同じものでも、文字起こしを再実行すると、AIの気まぐれで言葉の区切りや誤変換が増えたり減ったり、あるいは『ひらがな』 だったものが『カタカナ』になったりと、微妙に変化します。そうなると、せっかく字幕パネルでやった誤変換編集もやり直しになってしまうため、細心の注意を怠らないようにしましょう。

 それでは文字起こしパネルの文字列をキャプション(字幕)データに変換します。
 検索欄の最も右にある【CC】ボタンを押すと【キャプションの作成】ダイアログが開きます。次の画像です。

【キャプションの環境設定】は字幕のスタイルを決める重要な設定です。必ず確認してください。

 【キャプションの環境設定】を押すと次のような環境設定パネルが出ます。

この中で作成される字幕の細かい設定ができますが、最終的にはテキストのスタイルを変更して見栄えを変えたり、文字サイズを変更したりしますので、ここで重要なのは ①の【行数】と ②の【1行の最大文字数】です。

 ①の『二重線』というのは長い字幕は最大『二行』にするという意味です。なぜ『二重線』なのかは Pr特有の謎ですが、長いセリフは 2行に渡る字幕として出力されます。

 ②の【1行の最大文字数】は、①を『単一行』にしていている場合、セリフの文末までの文字数がこの設定を超えると、強制的にそこで改行された字幕となります。その結果、キャプション(字幕)パネルで、その部分の修正が必要となります。『単一行』で、あまり小さな数値にすると、短く改行が連発する字幕になりますから注意が必要です。

 強制改行された字幕の修正は、『キャプションの分割』を利用すると、最短時間で作業が済みます。間違ってもタイムラインで切って分けるなんてことをやると、字幕のずれを直すのに日が暮れるほどの時間を要することになります。
 また、行数設定に関係なく、どこで字幕を分けるかは AI任せになりますから、おかしな場所で次の字幕に流れた場合は、あとで修正が必要になります。
 このようなキャプションデータの編集の仕方も後述します。

 次に【最短のデュレーション】という設定は、字幕の消えるまでの時間です。これはとても短いセリフのときの話で、「えっ!」とか「あ、はい」とか短いセリフのときに、字幕がすぐに消えると読めなくなります。デフォルトでは『3秒』になっていますが、これぐらいがちょうどいいと思います。

【キャプション間の間隔(フレーム】は、1つ目のセリフが終わってすぐに次のセリフが始まった場合、ふつうは切れ目がない『0フレーム』が自然に感じられ、YouTubeなど Web動画の主流となっています。ここもデフォルトの『0フレーム』がちょうどいいと思います。

 この場合、問題になるのが、フォントサイズの大きさです。キャプション作成前にはサイズの指定ができません。デフォルトのままで強制的に作成されます。キャプション作成後なら修正ができますが、ここで文字サイズと 1行の文字数の関係が事前にわかっていないと、②の【1行の最大文字数】をいくつにすればいいのか迷います。そこで大体ですが調べてみました。

フォントサイズ1行も文字数(目安)用途
36~40(小さ目)30~35文字解説動画などで情報量が多くて
長文を読ませたい
46~52(標準)22~25文字一番読みやすい定番サイズ
60~70(大きめ)15~18文字スマホなど画面の狭いデバイス。
あるいは早く読ませたいテロップ

上の表は字幕の表示を安全領域(セーフゾーン)内に入れるだけでなく、素早く目の飛び込む文字数を基準としていますので、実際はもっと文字数は大きくできます。このあたりは何度か試して基準を決めるといいと思います。

 学校教材の映像では、1行 35文字程度で、2行スタイルの句読点ありという仕様でした。教材ですから数式や記号も入るために以外と文字数は多かったと思います。
 これらを参考に ②の【1行の最大文字数】を決めてみてください。今回は『単一行』で、『1行あたり36文字』でキャプションデータを作成してみました。できたのを見ると意外と小さい感じでしたが、後半で大きいサイズとフォントを変えています。


 説明を飛ばしましたが、【キャプションの環境設定】ダイアログには【スタイル】というのがあります。ここに指定できるスタイルファイルは、すでにある(過去に作ってあった)キャプション用のスタイルを指定するものですから、初めての人はありませんし、間違ってグラフィックテキストのスタイルを指定すると、フォントはそのとおりになりますが、フォントサイズや、テキスト領域(ボックス)の大きさや、ボックス内での配置(下揃えなど)が機能しませんので注意してください。

【補足】

スタイルというのは、文字の「フォント(書体)」「大きさ」「色」「境界線(フチ取り)」「シャドウ(影)」などのデザイン情報をひとまとめにして保存した『型紙(テンプレート)』のことです。名前をつけて保存しておくことで、あとから別のプロジェクトにも利用することができて、それらを統一させるために使います。

 注意することは、グラフィックテキスト(見た目重視のテキスト:AEのテキストに近いもの)と、キャプションのテキスト(字幕専用)とでは、同じスタイルデータでも異なる性質を持っています。使い方を間違えるとテキストのデザインがおかしなことになります。



 それでは話を進めます。設定が完了したら、【キャプションの作成】を押します。
 進捗バーが出てすぐに【キャプション】パネルに切り替わります。

番号の付いた字幕文字列が、タイプスタンプに続いて表示されています。

 番号の手前に『青いバー』があるのは、現在の再生ヘッドの位置を示しています。再生キーを押すとそこから喋り始めます。
 字幕の列をクリックすると再生ヘッドもその場所の先頭に移動します。逆に再生ヘッドを別の場所に動かすと、キャプションパネル内の『青いバー』がそのセリフの先頭に移動します。もし移動しないときは、右上の『・・・』アイコンを押して、【自動スクロールを有効】にチェックを入れます。


 というところで、長くなりましたので今回はここまで。
 次回はこの続き、キャプション(字幕)の修正に入ります。


 マジで AE真っ青……。 w( ̄o ̄)w オオー!





2026年 5月22日(金)28℃(午後 4時12分)

プレミア秘境の歩き方『オブジェクトマスク編』3(/6)

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プレミア秘境の歩き方〔その3〕です。
(ここでは Premiere 2026を Pr、After Effects 2026を AEと書いています)

 謎に満ちたダンジョンばかりで苦労するプレミア秘境ですが、迷路のような部分は抜けました。それどころか、眩いばかりの光を放って現れたもの。それは常識を覆すほどに進化した、Prの機能の一つ、オブジェクトマスクの輝く姿でした。

 待ちに待ったお宝発見の瞬間になるのか、噂では AEの旧ロトブラシを超えたということですが、さてどうなのでしょう。

 余談ですが、現在の AEにはさらに高精細で髪の毛の1本まで自動で切り抜ける強力な AIマット機能(新ロトブラシ)も用意されています。
 しかし、あちらはコンポジット(合成)の専門機能であり、PCへの負荷がたいへんに高く、非力な PCでは少々苦しみますので、今回のようなカット編集の流れでサクッとマスクをかけたい場合は、Prの『オブジェクトマスク』の手軽さがベストです。

 ということで、話を Prに戻して、実際の流れを見ていきましょう。


 手ごろなサンプルとして、デジタル降魔録のヘッダーを飾っている『オモチャの機関車』の動画を使ってみます。

タンクから突き出た水色の煙突部分にマスクを掛けて、色を変えてみましょう。


オブジェクトマスクを使うには、ツールパネルのこの部分をクリックします。



投げ縄とエリア選択に矢印が付いた、オブジェクトマスク専用のマウスカーソルに変わりますから、そのマウスカーソルで煙突部分をクリックします。

"◯に/" の入ったカーソルが出るときは、オブジェクトマスクのエンジンをダウンロードしている最中のようです。しばらく待っているとマウスカーソルが切り替わります。


 オブジェクトマスクのマウスカーソルで、煙突部分をクリックした途端。

画像の白枠で囲った部分を注目してください。機関車周辺が赤色のオーバーレイで塗られました。これが第一段階で、AIが「ここですか?」と、選択してくれた合図です。

試しに他のところにもクリックしてみました。〔Ctrl+Z〕を押してやり直します。
今度は『ブタさん』をクリックしてみます。

画像の白枠の内側を見てください。ちゃんとブタさんに赤色が塗られました。

 今度はブタさんの背中にある『黄色の積み木』を AIに選んでもらいましょう。
Ctrl+Z〕を押してから、もう一度オブジェクトマスクのツールアイコンをクリックして専用のカーソルになったことを確認してから、『黄色の積み木』をクリックします。

何も変化しませんでした。
 これは AIが「どこのなの?」と迷っています。

 このような場合は、フォトショップの選択範囲を囲むように同じマウスカーソルで、「ここだよ」と囲んでやります。

こんな感じですね。

 囲んだらマウスを離します。

 するとしばらく悩んでから、

背中の黄色い積み木の色が変わりました。もうマスク領域をマウスでポチポチ囲んでいく時代が終わったのを実感する瞬間でした。

 さて、では本題に戻って、煙突周辺がマスクされたところに戻ります。

マスク領域の赤いオーバーレイの色は変えることができます。画像によっては別の色のほうがよく見える場合もありますので、プログラムモニターの下、

【全体表示】と書かれた欄の右にあるプルアップから変更できます。

 では続けます。
 マスク領域が赤いオーバーレイで出力された時、エフェクトコントロールパネルを開いてください。そこにマスクの細かいパラメータが出ています。AEでいえば、マスクを掛けたレイヤーを展開して『マスク』欄を開くようなものです。


これが、その時のエフェクトコントロールパネルです。

【割り当てられていないマスク】という欄に【オブジェクトマスク】というものができて、何個かのパラメータや【反転】のチェックボックスがあります。
 ただ、ここでそのパラメーター類を触ってもいまいちハッキリしません。これに関しては後述しますので、説明の先をお読みください。

 煙突だけではなく機関車までマスク領域として AIが誤って選んでいますから、この部分は範囲から排除してくれと指示を出すことになります。

 ただ、この状態では赤色のオーバーレイの領域がよく見えません。色を変えてもいいのですが、もっとはっきりと、そして実務に近い方法でマスク領域の再指示をすることができます。

 今できている【オブジェクトマスク】という欄は、AEでいう レイヤー内のマスク情報 にあたります。
 AEではマスクを描くとすぐに画面が切り抜かれますが、Prの仕組みは一風変わっています。Prでは、マスクデータを "利用したいエフェクトの上へドラッグ&ドロップして適用する" という使い回しができる独立したデータのようなイメージになります。

 今回はそれをエフェクトコントロールで標準にある【不透明度】にドラッグ&ドロップします。


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もとあった場所から移動させる

こんな感じで【不透明度】にドラッグ&ドロップすると、不透明度の対象としてこのマスク領域が適用されます。


 プログラムモニターを見てください。


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①は "選択範囲に追加"、"選択範囲から削除" の切り替えアイコン

【不透明度】にマスクが適用されて、選択範囲以外が消えています。

【オブジェクトマスク】の【ぼかし】は AEの【マスクの境界のぼかし】と同じです。マスクの境界にゴミが見える時はぼかしを入れるとマイルドになります。
【反転】のチェックボックスも AEと同じでマスク領域の反転ができます。

 マスク領域の部分修正をするときは、この状態がとてもやりやすいので、ワタシはこの方法をお勧めします。

 では間違ったマスク領域を削除していってもらいましよう。
【エフェクトコントロール】パネルの【オブジェクトマスク】欄をクリックしてプログラムモニターを【選択】ツールで指定します。いまは範囲削除ですから、上の画像の①の『-』を押すか、〔Alt〕を押すとマウスカーソルに『-』が付きます。これが範囲を削除する(捨てる)指示になります。『+』は "範囲を追加する" になります。
 まずは、右にいる『赤い羽根の鳩』を「-」カーソルでざっくり囲みます。すると、

鳩がいなくなりました。

 この要領でどんどん削除する場所を指示します。『-』カーソルで囲まなくても、「ここだよ」とその部分をクリックするだけで消してくれますが、囲ってやったほうが確実です。


 途中で肝心の煙突を消してしまうこともありましたが、〔Ctlr+Z〕でやり直しができます。


 さて数回囲むとここまで消してくれましたが、ここから先は何度やっても煙突まで消されるようになりました。

ここからは細かい指示を出すために第二段階へと進みます。

 プログラムモニターを拡大して囲む範囲を詳細にするとさらに精度が上がります。

 プログラムモニターを拡大して画面内を移動させる方法は AEと少し違います。方法は【プレミアム秘境の歩き方】の〔プログラムモニターが見たい場所を中心に拡大されない〕をご覧ください。

 プログラムモニターを拡大して囲むと、さらに AIにい伝わりやすくなるようで、どんどん消してくれます。
 ズームアップするほど細かい部分まで消してくれまます。もし消し過ぎたと思ったら、『+』カーソルで範囲を指定するとその部分が復活します。

まだ細かい部分が残っていますので、さらにズームアップして選択して消していきます。



 最終的にこうなりました。

煙突の水色部分だけです。


 マスクの反転をするともっと分かりやすいです。

反転すると、煙突の水色の部分だけが切り取られて黒くなっています。


 ここまでの作業は AIがやっています。人間がやることはざっくりと範囲を囲って指示を出すだけですから、疲れ知らずです。しかも昔ならここから先の作業を考えると、どっと疲れが押し寄せてくるところですが、ここからが AIの本領発揮です。

 何をやるか。
 トラッキング(追従)です。

 誰が?

 AIがやってくれます。

 数年前までは、人間が汗水たらして 1フレームずつロトブラシでトレースしていました。30fpsなら秒間 30枚の絵が待っています。10秒の映像だと300枚の画像にせっせと手動で修正をする、そんな時代に幕が下りる瞬間を目の当たりにできますよ。


 まず下の画像のように、【不透明度】に適用した【オブジェクトマスク】に、【トラッカー】と書かれた項目があります。この右側にある、再生アイコンみたいなのを押します。


 押したらプログラムモニターを睨んでいてください。
 すぐに進捗バーがするすると伸びていき、いきなりプログラムモニターが動きだします。

 こんな感じです。(動画を撮りました)


オブジェクトマスクの結果(その1)

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これだと煙突が動いているだけで、何が何だかわかりませんから、マスクの反転をやった映像を見てください。こちらのほうが、そのすごさがよく分かります。



オブジェクトマスクの結果(その2)

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どうですか。唖然としませんか?

 マスクのトラッキングには一切手を出していません。すべてAIがやっています。しかもその間数十秒です。

 思わず、「すげぇぞ、プレミア~」と叫びたくなりました。


 さてここから最終調整。"煙突の色を変える" を実行します。
 後は簡単です。このクリップに色を変えるエフェクト、無難なところで【Lumetriカラー】を適用して、【不透明度】に入れた【オブジェクトマスク】を〔Ctrl+X〕で切り取りコピーをして、【Lumetriカラー】エフェクトにペーストすれば終わりです。



【Lumetriカラー】の【カラーホイールとカラーマッチ】を使い、煙突の色を "ピンク" 色に染めてみます。
 画像の番号に沿って、3つのカラーホイールの「+」をそれぞれ上方のピンク・赤の方向へドラッグします。

① ミッドトーン: 映像の中間階調の色を変更します。
② ハイライト: 映像の明るい部分の色を変更します。
③ シャドウ: 映像の暗い部分(影)の色を変更します。

これら 3つの領域をバランスよくピンクに寄せることで、自然な色に変えることができます。




 その結果の映像がこちら。


オブジェクトマスクの最終結果

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 一言付け加えると、今回の作業が簡単に終わったのは、コントラストが高い 3D映像を題材に使用したからです。
 これが実写の映像になると、無数の中間色が混ざり合うため、AIによる自動切り取りだけでは境界線があいまいになりがちです。
 もし自動トラッキングが外れてしまったときは、途中のフレームでマスク領域の指定を加えたり削除したりして、AIに「ここが境界線だよ」と教えてあげると、AIはその修正を考慮して、残りの部分も賢く追従してくれます。

 ただ、納品できるレベルまでに仕上げるには、AIだけに頼るのは無謀です。最終的に職人の手(手動での微調整)を入れないと完成しない、と痛感しました。しかしその領域にまで自動的に補助してくれるのこの技術は、時短の革命だといっても過言ではないと思います。


 次回は、【AE遣いも真っ青、字幕編集はPrに任せると1億倍楽になる】 を予定しています。






2026年 5月20日(水)26℃(午前 10時46分)

プレミア秘境の歩き方『脱出マップ編』2(/6):案件追加 2026.06.15

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プレミア秘境の歩き方〔その2〕です。

ここでは Premiere 2026(掲載時は26.2.2)を Pr、After Effects 2026を AEと書きます。


 初めての人からすれば AEも相当なものですが、その AEに慣れた目から見た Prはさらに異質な世界観を持っていると思います。
 そこで AE遣いから見た Pr王国の仰天する作法の対処や回避方法をメニュー形式でまとめてみました。

AE風の『プレミアキーボードショートカットプリセット(AE_style)』の配布をしています。詳しいことはこちらをお読みください。手動セット、一括登録、どちらかの方法をお選びいただけます。



 - 脱出マップ -


タイムリマップを多用したら再生ヘッドは動くのに映像が動かないんですけど 《 new
選択したクリップを再生ヘッドの位置に移動するショートカットが無いんですが 《 new
グラフィックテキストの位置が一括変更できないんですけど 《 new
シェイプのセンターは一体どこ? サイズ変更をすると位置がずれるんですけど 《 new
マスクの使い方が AEと全然違うんですけど 《 new
透明グリッドが出なくて真っ黒のまま
再生ヘッドが示すクリップを勝手に選択するな
トラックが上下にスクロールできない
トラックの縦方向のズームイン・アウトができない
トラックの〔南京錠〕アイコンをマウスでスクラブさせても連続ロックができない
クリップを選択してコピーしても別トラックにペーストできない
プログラムモニターが見たい場所を中心に拡大されない
シーケンスパネルのタイムラインにあるワークエリア間のループ再生ができない
シーケンスパネルのタイムラインの時間インジケーターに白い領域が出る
シーケンスパネルのタイムラインをドラッグして場所の移動をしたい
シーケンスパネルの再生ヘッドがある位置にタイムラインを動かしたい
エフェクトコントロールにあるキーフレーム操作がやりにくい
エフェクトコントロール内でズームインアウトができない
エフェクトコントロールのタイムラインで再生ヘッドを左右に動かすと、次々と時間が進んでしまい、目的のクリップがはるか彼方の遠くへ行ってしまう
キーフレームをイーズなどにしたけど波形エディタが使いづらい
任意のトラックに並ぶクリップを一度に全選択できない
異なるフォントを使用した複数のテキストを全部まとめて変更できない
グラフィックテキストの一行あたりの文字数をまとめて変更できない
『グラフィックテキスト』と『キャプション(字幕)のテキスト』ってなんで分かれてるの? なにが違うの?
『グラフィックテキスト』と『キャプション(字幕)のテキスト』ではフォントサイズが同じなのに見た目の大きさが違う
テキストにストロークを付けたら尖ってしまう
シーケンスのネストとは?
映像クリップの途中で映像をフリーズさせたい
プロパティのスケールに小数点が出ない






 タイムリマップを多用したら再生ヘッドは動くのに映像が動かないんですけど

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タイムリマップはパソコンの負荷を猛烈に掛けます。か弱いプレミア王妃にそんなことをやらせるなんて、3歳児にピラミッドの巨石を運ばせるようなものです。無茶をしてはいけません。

 もし、タイムリマップをたんなる早送り映像として編集しているのなら、クリップをそこで切り、早送りするほうのクリップを右クリック→【速度・デュレーション】で、【速度】を『200%』にすれば 2倍速になります。これなら負荷がかかりませんのでサクサク編集が進むと思います。

 どうしても滑らかな速度変化を付けたいのなら、右クリック→【After effects コンポジションに置き換え】をして AEでタイムリマップ処理を実行すれば、爆速ストレスフリーの恩恵にあやかれます。




 選択したクリップを再生ヘッドの位置に移動するショートカットが無いです

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そう、無いです。AEならレイヤーを選択して〔[〕キーを押すと、再生ヘッド位置にレイヤーのインポイントが合わせられます。〔]〕ならアウトポイントが合わせられますが、こんな便利なことがプレミア王国では許されないという話です。
 聞くところによると、大昔のフィルム編集の名残をかたくなに守っているらしいという噂ですが、実際のところはクリップの移動を素人がうかつにやってしまうと、全体の配置が大きく変わってむちゃくちゃになる(プロの現場で同期がズレたら大惨事ですからね)からだという説明もちらほら聞きます。

「それがプレミア王国の伝統であり、安全設計なんだよ!」とお叱りを受けそうですが……。

 でもこっちはケツかっちんのスケジュールが詰まった AE遣いです。小規模のクリップの移動をちまちまマウスで移動してられないんですよ。
 で、せっかちな AE野郎は考えました(ワタシのことですので、誤解のないようにお願いします)。移動ができないなら、コピペしてしまえ、と。

 苦肉の策です。
 まず、再生ヘッドを目的の場所に置きます。
 そしたら移動したいクリップ選択を〔Ctrl+X〕、〔Ctrl+V〕で切り取りコピペしてしまいます。すると再生ヘッドはクリップのアウトポイントに移動しますが、ペーストされたクリップは目的の場所に移動しています。もしワタシの AE_Styleショートカットを使用していただけていたら、〔Ctrl+X〕、〔Ctrl+V〕、〔I〕キーの順で、AEと同じ結果になります。つまり再生ヘッドの位置にクリップが移動して、そのクリップの先頭に再生ヘッドがもう一度戻ります。

 マウスで移動させるのと、そう変わらないかもしれませんが、こうなったら AE遣いの意地です。クリップをスナップさせるときのトラックのぎこちない動きと、クリップがチラチラするストレスから解消されますよ。




 グラフィックテキストの位置が一括変更できないんですけど

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これには困りました。本当にできなかったんです。たくさんある字幕のようなテキストの位置、とくに 高さのパラメータは頻繁に調整するのですが……。

「それが一括変更できないようなソフトなんかあるかーい!」と思っていました。

 ありましたね。まさかのプレミア王国がその仲間だとは、びっくり仰天です。

 いつまでもびっくりしている場合ではないので、何か策はないかと……。
 最初に考えたのは【プロパティ】パネルでスタイルをプロジェクトに作成して、それを他のテキストに一括にペーストする方法です。すぐにやってみましたが、文字の装飾関係は一括に変更されましたが位置は動きませんでした。

 ならば【エフェクトコントロール】パネルの【ベクターモーション】を丸ごとコピーして、他のテキストの同じ【エフェクトコントロール】にペーストとしてやれ、と複数トラック選択した途端、『本日は終わりました』となって、【エフェクトコントロール】は空っぽに……。

 ならば、複数トラックを選択したあと、右クリックで【属性のペースト】をしようとすると、『ウチもやってまへん』って断られるし……。

 まさか全部手動でやるのか! と叫びかけたとき、無視してトラックを選択した状態で〔Ctrl+V〕を押したらできました。

 思わず、「なんじゃ、こりゃ」です。
 よく見るとウィンドウメニューの【編集】内にある『ペースト』も、こっそり身を隠すように潜んでいました。ようするに、できないように装っておきながら、〔Ctrl+V〕や【編集】→『ペースト』からはできるようです。

 やっぱり、「なんじゃ、こりゃ」でした。

 とりあえず一括変更ができましたので一安心ですが、この場合は【サイズ】や【回転】のパラメーターもペーストされますので、それが都合悪いようなときは、全部のテキストを選択して、ネストしたシーケンスにしてから、それを一個のクリップとしてトラックに置けば、位置の調整をまとめてできます。ネストについては【シーケンスのネストとは?】をお読みください。

 おそらくこれはバグだと思いますので、つぎのバージョンアップには改善されているでしょう。いや、改善してほしいです。切にお願い申しあげます。




 シェイプのセンターは一体どこ? サイズ変更をすると位置がずれるんですけど

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ここはプレミア王国です。AEのように見えて実はまったくの異世界であることを意識しなければいけません。

 AEでもシェイプのサイズを拡大縮小するときは、そのアンカーポイントとなる基準点を意識しますが、この構造がプレミアではまるで異なっているため、ちょっと引いてしまいます。

 まず、作ったシェイプは【エフェクトコントロール】の【ベクトルモーション】が管理するビューに入ります。このビューは画面と同じサイズを持っていて、ここで位置やサイズなどが調整できます。そして作ったシェイプはこの中にあり、そのシェイプ自体の各種設定を行う【プロパティ】が別にあります。そこでもシェイプの位置やサイズが動かせます。
 二カ所で位置やサイズが(実際は3カ所ですが後述します)変更できるって、「いったい、どうなってんだ!」と叫びたくなりますが、無理やり AEで例えると簡単に理解できます。

 シェイプは、AEでいうプリコンポーズした下層階にあるものとイメージすればいいです。AEは階層を移動するのでイメージしやすいですが、プレミアは似たような名前のパネルを切り替えるだけで、階層の移動ができてしまうために、AE遣いから見ると迷路にハマったような気分になります。そこで【エフェクトコントロール】とか【プロパティ】パネルは階層だと思えば理解しやすくなります。

 しかもシェイプ一つ作るだけでこの階層が自動に作られて強制的にはめられるのですが、構造が理解できたら怖いもの無しです。次の手順でシェイプをセンターに揃ることができます。

①【エフェクトコントロール】の【ベクトルモーション】の【位置】を画面のセンターにします。【位置】の右にある『円弧の矢印』を押してもセンターになります。

AEとは少し違った構造のようで、上から下層に向かって計算されていくような気がします。そのような理由から、基準となる最上位を最初にセンターにします。

② シェイプの【プロパティ】→【整列と変形】から、【整列】のセンター揃えにするアイコン(左右センターと上下センター)を押して、画面の真ん中に設置します。

これでシェイプはセンターに揃いましたので【エフェクトコントロール】の【ベクトルモーション】にある【位置】で所定場所に移動、それから【サイズ】を動かしてもズレることは無くなります。

 ただし、【プロパティ】ではシェイプの基準位置が左上端になっていますので、【プロパティ】階層(実際はパネルですが、階層と思ってください)でサイズを変化させると右下へずれていきます。これはAEと同じで、基準点をセンターにすることができます。

 シェイプを Wクリックすると『丸に×』のアイコンが出ます。これが基準位置を示すアイコンです。〔Ctrl〕を押しながらマウスで真ん中あたり持って行くとスナップしてセンター位置に貼りつきます。これで AEと同じ、シェイプの【プロパティ】でサイズを変更してもズレずに拡大縮小されます。

 もう一つ、王国の怖い掟をお伝えします。
 AE遣いの人が普通にやる行為に、作業画面にあるシェイプをマウスでドラッグして動かすという、当たり前のことがあります。これをプレミアでやると【プロパティ】の位置がズレます。AEなら一旦下層のコンポジションに移動してから、そこにあるシェイプをドラッグして位置を動かしたのと同じことが、プレミアでは何もしないで、下階層(プロパティ層)にあるものの位置を動かせます。知らずにこれをやった途端、上位層にあたる【ベクトルモーション】のセンターからズレますので、アニメーションさせるといきなりあっちゃの方向へ動いたりします。

 やれやれですね。
 やっと終わったかと思うかもしれませんが、まだあります。プレミア王国が秘境だといわれるゆえんが。

 正確なセンター揃えができていない状態で、キーフレームアニメーションを作ってしまうと、さらなる意味不明の現象が起きます。

 例えば、サイズ『0%』から1秒かけて『100%』まで拡大するキーフレームアニメーションを作ったとします。当然ですが正しいセンター合わせができていないので、サイズが変化するたびに位置がずれていきます。
 そこで、センター寄せをするつもりで【整列】のアイコンを押すと、そのたびにシェイプのセンターが異なる場所になる摩訶不思議な現象を目の当たりすることがあります。最初に正しいセンター合わせをしていればこんなことは起きませんが、センターがそのたびにズレる現象を見ると「なんじゃこりゃ!」と首を捻ってしまいます。

 この現象が起きるときは、再生ヘッドがキーフレームの最終位置までのあいだにあるときです。たぶん見た目のセンターとエフェクトの計算結果の位置との答えが合っていないために、その都度計算が狂って位置が変化するのではないかと推測しています。とういうことで、キーフレームアニメションの途中で【整列】を押すのは禁止です。キーフレームの最終位置に再生ヘッドを置いてからセンター寄せをしないといけません。

 プレミアの闇はまだまだ深いのです。
 先にも書きましたが、【エフェクトコントロール】には【ベクトルモーション】だけでなく、もう一つ【ビデオ】という欄(ここも階層と考えると理解しやすいです)があって、その中にも【位置】や【サイズ】の変更ができます。
「もう! ええかげんいせーよ!」の気分ですね。その気持ちわかります。

 この【ビデオ】は【ベクトルモーション】の上の階層に当たる RPGならラスボス級のもの、3Dの世界ならワールド座標です。つまりシェイプ一つ作っただけで、3階層のビューに分かれるとイメージすればいいです。

 ではこの【ビデオ】の階層は最上階で何をしているのか……たぶんエフェクトを含めたすべての管理をしているのだと思いますが、詳しいことはまだ不明です。分かっていることは、この階層でサイズを大きくすると、jpg画像を拡大しすぎたのと同じようにジャギー(荒れ)が出ます。
 そのうえこの階層でもキーフレームが打てますが、用途不明のため慣れないうちは触らぬ神に祟りなしで、何もせずそっとしておいた方がよさそうです。




 マスクの使い方が AEと全然違うんですけど

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はい、まったく違います。AEのつもりでマスクを掛けようとすると面喰います。

 Prでは何に対してマスクを使うのか、という思想でマスクを考えるようですので、AEのように画像クリップの一部を消すことを目的で、例えば【長方形マスク】ツールでその部分を囲っても、サイズが大きくなって、なんじゃこりゃ? と叫んでしまいます。

 AEのように消すことが目的なら、【長方形マスク】ツールでマスクを掛ける前に、【エフェクトコントロール】の【不透明度】欄をクリックしてから、マスク範囲を指示します。するとAEと同じようにその部分が表示されて、それ以外が消えますので、【不透明度】欄にできた【長方形マスク】の【反転】にチェックを入れて、ひとまずホッとため息を吐いてください。
 そしてつぶやきましょう。
「なんじゃこりゃ……」



 透明グリッドが出なくて真っ黒のまま

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PNG画像などを配置しているのに透明部分を示すチェック柄の『透明グリッド』がプログラムモニターに出なくて慌てた方もいるのではないでしょうか。
 AEではコンポジションパネルの下に【透明グリッド】のオン・オフボタンがありますが、Prには見当たりません。Prの場合は、プログラムモニターの右下にある【レンチ】アイコンを押して、

出たメニューの中から『透明グリッド』の欄にチェック入れると『透明グリッド』が出るようになりますが、ここはプレミア秘境です。AEに慣れた人から見ると理解に苦しむ罠が潜んでいます。

 ワタシもまんまとその罠にはまってしまい、グラフィックドライバーの再インストールやら、Prの環境設定の見直しやらをして、散々時間を取られた挙句、これが罠だったと気づいて唖然としました。

 この画像をご覧ください。

透明グリッドをオンにした状態での Prで、トラックに一つの映像クリップを載せています。そして再生ヘッドが何もない場所を指している状態の画像です(①の矢印)。
 このクリップは横幅が『920px』で映像サイズも『920px』ですが、わざとクリップの位置を右方向にずらして『1200px』にしています(②の矢印)。  AEなら、何も無い位置に再生ヘッドがある場合、透明グリッドのチェック柄のグリッドだけが画面に出ているはずですが、Prのプログラムモニターでは真っ黒のままです。

 慌てて環境設定を見直したり、パソコンの再起動をやったり、Prのキャッシュを捨てたり、挙句の果てには Nvidiaへ最新ドライバーを探しに行ったり、いろいろやりましたが、真っ黒のままでした。



 ところが、次の画像をご覧ください。

再生ヘッドをクリップのある位置にまで移動させると、ぬあんと、透明グリッドが出ています。

 つまり、クリップの何もないところは、透明であろうがなかろうが、常に真っ黒にしてしまうようです。AEから見るとよく分からない仕様の一つだと思います。


 再生ヘッドが示すクリップを勝手に選択するな

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再生ヘッド位置を自動選択のチェックを外す。

これで自動的に選択されなくなります。
 この機能は、おそらくクリップに掛けている各種エフェクトやカラー調整をマウスを持つことなく、次々と一括調整できるようにするためだと考えられます。AEの場合は、再生ヘッドのある場所に並んだレイヤー一つ一つを個別に修正しますので、このような違いが出たのかと推測されます。
 でも……。
 一括選択されたとしても、個別にクリップを選択し直さないとエフェクトコントロールも、プロパティも開かないと思うのですが……。
 プレミア秘境……謎が多いです。


 トラックが上下にスクロールできない

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トラックの左右スクロールは〔マウスホイール〕を回せば動きますが、上下は〔Ctrl+マウスホイール〕でスクロールします。〔Ctrl〕を使うというあたりに違和感がありますが、ここは郷に入っては郷に従え、です。


 トラックの縦方向のズームイン・アウトができない

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横方向は〔Alt+マウスホイール〕で拡大縮小ができますが、どうやっても縦方向ができませんでした。〔Shift〕を押したり〔Ctrl〕を押したりしても、うんともすんといいません。
 上下スクロールが〔Ctrl+マウスホイール〕なので、上下の拡大縮小は〔Ctrl+Alt+マウスホイール〕だと……ワタシは思うんですが……。

 いやいや、ここはプレミア秘境のど真ん中です。そんな常識は通用しません。縦方向のズームインアウトは、トラック名や『V1』と書かれている欄の上にマウスを持って行き、〔Alt+マウスホイール〕で拡大縮小をするようです。つまり、マウスをその場所に移動させるという手間が必要です。


 トラックの〔南京錠〕アイコンをマウスでスクラブさせても連続ロックができない

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AEではマウスクリックしたまま鍵のアイコンをずらずらっとこすっていくと、連続にロック、アンロックができますが、Prでは一つ一つマウスでポチポチ押していくようです。でも、〔Shift〕を押しながら〔南京錠〕アイコンをクリックすると、すべてのビデオトラックや、オーディオトラックのロック・アンロックができます。ただし両方同時にはできません。2回にわたって〔南京錠〕アイコンをクリックする必要があります。


 クリップを選択してコピーしても別トラックにペーストできない

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なぜか、同じトラックにペーストされます。別トラックを対象にするために【トラックターゲットを切り替え】部分(V1と書かれている場所)をクリックして青色にしてもダメでした。この【トラックターゲットを切り替え】というのは何なんでしょうね。きっと AE遣いには計り知れない作法があるのだと思いますが、まだまだ謎だらけです。

 結局、〔Alt〕キーを押しながらクリップを別のトラックへドラッグすればできました。イラレやフォトショップと同じです。


 プログラムモニターが見たい場所を中心に拡大されない

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プログラムモニターというのは、AEではコンポジションパネルと呼ばれるものとほぼ同じです。編集中の状態を映しているものですが、少し AEとニュアンスが異なるのは、AEは作業場です。マスク切りや、シェイプの加工などをそこでやります。ところが Prは映像を見て確認する場所として扱いますので、ほとんど拡大縮小はしません……というのは過去の話。

 今の Prでも AEに近いことができるようになっていますから、プログラムモニター内を作業場として使用する機会が増えています。後述しますが、【オブジェクトマスク】の作業など、まんま AEやフォトショップと同じ方法です。

 なのに、マウスを中心に拡大縮小してくれません。
「拡大したら見たい部分が下に隠れるけど、これどうするの?」

 もとのサイズに戻して、マウス位置を変えて拡大しても何も変化しないで、同じ場所で画面が大きく、小さくなるだけです。

「だったら、どうやんの?」
 拡大してから〔H〕キーで "手のひら" にして画面を動かしてから、〔V〕キーで作業に戻ればいいです。

「作業が終わって元のサイズに画面を戻したら、端っこのほうしか映らんゾ!」  そしたら、また、〔H〕キーで "手のひら" にして画面を元に戻してから、〔V〕キーで作業に戻るか、画面の拡大率を【全体表示】にすればいいです。

「バカなっ! そんな作業してたら日が暮れるって!」
 と叫びたくなる気持ちよく分かります。ワタシも叫びました。

「あほか~っ!」って。

 叫んでばかりいたら喉が枯れます。一つの対策として、マウスホイールをクリック(マウスや PCによってはできないものがあります)すると "手のひらを握った" カーソルに変わって、そのままドラッグするとプログラムモニター内の移動ができます。ただ、拡大しすぎると、 "手のひらを握った" カーソルが時々出なくなりますが……。

「あほな! そんな不安定なもん使えってか! AE遣いはせっかちなんや!」
 それはあんただけだ……。とは言えませんので、そんな方のためにとっておきの方法。

 プログラムモニターの右下に【レンチ】アイコンがあります。そこを押すと『スクロールバーを表示』がありますから、チェック入れてください。
 これで、そのつど作業場所から離れますが、画面を動かすことができます。ひとまずこれで収めておいてください。
「………………」

 とにかくプレミア秘境には不思議な仕掛けがたくさんあるのでした。


 シーケンスパネルのタイムラインにあるワークエリア間のループ再生ができない

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AEのワークエリアと同じようなものが Prにもありますが、Prでは "イン-アウト" を設定することで、そのあいだのループ再生をするようです。〔Shift+Alt+スペース〕がショートカットです。

 そもそも、デフォルトの Prではループ再生がすぐできるようにはなっていません。ループさせるにはループ再生用のボタンを追加する必要があります。AEでいうコンポジションビューにあたる、プログラムモニターの下、再生ボタンとかが並んでいる欄の最も右端にある 〔〕ボタンを押して、中にあるループ再生ボタンをドラッグして外にドロップすれば追加されます。

 しかし『なぜ?』という疑問だけが残ります。


 シーケンスパネルのタイムラインの時間インジケーターに白い領域が出る

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それが "イン-アウト" 間を示す領域です。AE遣いの方には、じゃまでしょうがないかもしれません。タイムインジケータの上で、右クリック→【インポイントとアウトポイントをクリア】で消えます。


 シーケンスパネルのタイムラインをドラッグして場所の移動をしたい

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シーケンスパネル内をタイムラインに沿って左右に移動をするとき、AEではマウスから手を離さずに、〔スペース〕キーを押したままタイムラインをマウスドラッグすれば、左右に移動できますが、Prでそれをやると、再生が始まってしまいます。
 スペースキーは再生に使うものだと、自分に言い聞かせていても、手が勝手に動くから仕方がないのですが、一度焼き付いた仕草はそう簡単に消えません。

 Prでは〔PageUp/PageDown〕で編集点(カットの切れ目)へのジャンプができますが、なにか印になるものが出ないと、どの編集点を指しているのか、AEになれた目にはちゃんと映りません。移動しているのは分かりますが、それは瞬間移動です。速すぎて行きたい場所を見失ってしまいます。

 少々もっさりした動きですが、タイムラインをドラッグしてガシガシ動かすほうが、行きたい場所に移動している気がします。高速移動は再生ヘッドのスクラブで上等なのですがね。

 同じような "ガシガシ動き" にするには【ツール】パネル内にある 【手のひら】ツールに切り替えると、タイムラインをドラッグして左右に移動できます。そして編集に戻るときは、再び【ツール】パネル内の【選択】ツールに切り替える必要があります。どちらもキーボードショートカットがありますが、いちいちキーを探して押す手間がきついです。AE職人は極限まで時短を好みますのでこれは最悪です。

 そこで、キーを探す手間がいらない左手の親指と小指だけで切り替えられるように、〔スペース〕キーで 【手のひら】に、〔Shift+スペース〕キーで 【選択】に戻るショートカットにすることで、少しは AEに近づけています。ただし再生は〔F1〕キーと、ここだけは変則的な自己満仕様ですから悪しからず。こうすると、字幕編集時に日本語変換モードのまま再生・停止ができるもので。


 シーケンスパネルの再生ヘッドがある位置にタイムラインを動かしたい

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シーケンスパネル内でズームインなどをすると、再生ヘッドの位置を見失うことがあります。AEなら〔D〕キーを押すと再生ヘッドをセンターにした場所にタイムラインが移動しますが、Prにはそれがないようです。そうなったときは、〔\:バックスラッシュ(ろ)〕キーを押すとタイムラインが全体表示になりますので、迷子になった再生ヘッドが見えてきます。

 ワタシは AE同じ〔PageUP/PageDown〕で再生ヘッドを 1フレーム移動というショートカットにしています。再生ヘッドを見失ったときは、〔PageUP/PageDown〕を交互に 1回押すだけで、再生ヘッドをセンターにしたタイムライン位置に移動します。


 エフェクトコントロールにあるキーフレーム操作がやりにくい

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Prではエフェクトコントロールというパネル内で、位置や透明度、回転、スケールなどのパラメータにキーフレームを打ってアニメーションさせますので、こちらにもタイムラインがあります。

 キーフレームの打ち方やアイコンは AEと同じで、時間軸に沿った場所に再生ヘッドを移動させてから、目的のパラメータのキーフレームを打ちます。

 ただ、タイムライン自体が狭く、パネルを拡大すると再生ヘッドの動きが速くなって、目的のキーフレームがびゅーんとどこかに移動してしまい、もとの場所に戻そうとすると今度は逆方向に飛んで行ってしまい、いつまで経っても作業に入れません。ほんとうにこんな劣悪な環境の中でキーフレーム操作をしているのでしょうか。首を捻ってしまいそうですが、とにかく調べている時間が無いのが実状です。早く作業を進めないと向こうでプロデューサーさんが睨んでいます。

 幸い〔Shift〕キーを押しながら再生ヘッドをスクラブさせると、AEと同じようにキーフレームにスナップしてくれましたが、もっと素早くキーフレームを渡り歩きたいために、AEと同じショートカットを作りました。『次のキーフレーム』、『前のキーフレーム』で、再生ヘッドを移動させる、〔J/K〕です。これで再生ヘッドがキーフレームに当たり、少しはストレス解消となるでしょう。


 エフェクトコントロール内でズームインアウトができない

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シーケンスパネル内は〔Alt+マウスのホイール〕で横方向のズームインアウトが可能ですが、エフェクトコントロール内のタイムラインに関しては、パネル下にある左右のスクロールバーの両端の丸いアイコンをドラッグするか、スクロールバーの上で〔Shift+マウスのホイール〕でズームインアウトできます。でもスクロールバーの幅は狭いし、両端の丸いアイコンも小さいので、効率ガタ落ちです。思わず、
「あほかっ!」です。

 ショートカットは 〔-(ほ)〕 キーと 〔:(け)〕 キーがそれですが、エフェクトパネルに並んだキーフレームを修正するたびにこれではたまりませんから、キーボードに目を移さずに押せるように、ショートカットを〔Ctrl+W〕と〔Ctrl+E〕に変えました。

 補足ですが、エフェクトコントロールパネルをクリックしてからでないと、シーケンスパネルのほうがズームインアウトしてしまいます。エフェクトパネル内だけのズームインアウトの方法は見つかりませんでした。


 エフェクトコントロールのタイムラインで再生ヘッドを左右に動かすと、次々と時間が進んでしまい、目的のクリップがはるか彼方の遠くへ行ってしまう

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これはデフォルトでそうなるのか分かりませんが、ワタシはそんな挙動になってしまい、「ええっ!」と目をむいている間に再生ヘッドがワークエリアの外に飛び出して停止。慌てて逆方向にスクラブすると、びゅーんと今度はプロジェクトの先頭にまでワープ。もとの場所がどこだったか完全に見失っていました。

 これでは使い物にならないので、急いで調べましたら、それに対処できる設定がありました。
 というより、この設定があること自体が不可思議です。

 再生ヘッドの移動をクリップ内だけに抑えるのには、【エフェクトコントロール】と書かれた右にある三本線(バーガーアイコン)を押します。

メニューが出ますので、『ワークエリアをクリップの範囲に設定』にチェックを入れれば直ります。

 また、キーフレーム操作はトラック上のクリップの右上端にある『Fx』と書かれたアイコンを右クリックして出たメニューから、表示したいパラメータを選択すると、トラックのクリップにもキーフレームが表示されますから、ここでも調整できます。ただし、ある程度クリップを上下に拡げておく必要がありますが、こちらのほうが楽かもしれません。

 しかし再びプレミア秘境の洗礼を受けました。テキストクリップの『位置』などに打ったキーフレームは『Fx』の右クリックで出るメニューにある【モーション】→【位置】では出ません。その下に【テキスト】→【トランスフォーム 位置】というのがあります。しかしそれを選んでも出ません。

 結局、テキストクリップの場合はトラック上で調整するのをあきらめて【エフェクトコントロール】で対処しました。この『Fx』右クリック【テキスト】→【トランスフォーム 位置】とは、何のメニューなのでしょう。謎のエリアです。近づかないほうが無難のようです。


 キーフレームをイーズなどにしたけど波形エディタが使いづらい

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AE遣いの目で見ると、もっとも唖然とする仕様かもしれません。それはまず、作業領域が狭くてハンドルが小さいからです。

 パラメータの左にある下向き "∟" を押すとグラフ表示になりますが、思わずたじろぐミニサイズです。でもグラフの下のほうへマウスを持って行くとサイズ調整のアイコンが出ます。それをぐぐぐっと下に引っ張ればだいぶ広がります。

 そこで、グラフのベジェ曲線をコントロールするハンドルを持って調整するのですが、その動きが大雑把なうえにスナップも利きませんから調整しづらいです。さらにはキーフレームを打ったパラメータがモーションの『位置』の場合は、『速度グラフ』に固定されていて、AEのように『次元に分割』もできません。だからハンドルを斜めにも動かせません。『スケール』のパラメータはベジェ曲線の細かい修正が可能ですが、もっとひどい修羅場を迎えるでしょう。

 ということで、Prでは簡易的なキーフレーム操作ができるぐらいにとどめておいて、実際、トラック上にあるクリップのインアウトをワンタッチでクロスフェードできる仕様は AEより操作性がいいと思います。もちろんオーディオトラックに関してもクリップ上でフェード調整ができますから、AEのようにその都度キーフレームを打って調整する必要がありません。これに関しては「えらいぞ、プレミア!」と賛辞を贈りたいです。

 エフェクトプリセットの中にある『トランスフォーム』を使えば、モーションブラーを加えた細かな調整ができるようですが、ここも一筋縄ではいかない "秘境の掟" があります。
 特に注意したいのは、これらのプリセットは適用した瞬間に勝手に動き出すのですが、中身はブラックボックス。AE遣いから見れば意味不明な作法が並んでおり、操作の仕組みも直感的には伝わりません。正直、ワタシも長い時間格闘しましたが、最後はサジを投げました。

 ただし、これだけで Prのエフェクトは相変わらずかと、思わないでください。【ビデオトランジション】は驚くほど充実しています。
 クリップのつなぎ目にドラッグ&ドロップするだけで、AEで実現するには手間のかかるような複雑な効果も一瞬でセットできます。それだけでなく AEにはないユニークなトランジションが目白押しですので、ここはぜひ活用してみてください。
「えらいぞ、プレミア!」

 ただし、納期に余裕がないのなら、深追いはやめてこのクリップを AEに持ち込むことをお勧めします。

 それが "Dynamic Link" です。

 当初は起動が遅くてすぐリンクが切れる不安定さに業を煮やし、結局は信頼できる ".mov" ファイルを書き出して Prに並べる。それが当時の答えでした。直結させる便利さよりも、プレビューの軽快さとエラーのない確実性を取る。というイメージの "Dynamic Link" ですが、バージョン26.0の Prは、見違えるような変身を遂げていました。

 通常は AEで作ったコンポジションを Prのプロジェクトに読み込んでトラックに並べるという順序なのですが、その逆をやってみます。おそらくこちらのほうが感激すると思います。

【注意】
"Dynamic Link" は Prと同じバージョンの AEでないと起動しません。今回のバージョンは『26.0』でしたので、AE2026が必要です。


 それでは、Pr上のクリップを右クリックします。

【After Effects コンポジションに置き換え】を選びます。

 するとすぐに AEが起動して、Prにあったクリップが寸分違わず AEのタイムラインへ展開されます。しかも素材が移動しただけでなく、キーフレーム位置もそのまま。Lumetriカラーなどを使っていても、そのエフェクト情報は AEに受け継がれています。あとは AEで自由に作業を施し、保存〔Ctrl+S〕をしてから Prに戻るだけ。書き出しの手間いらずで、その結果が即座に Prのタイムラインに反映されます。

 注意することは、AEに置き換えたクリップは Prの手から離れますから、素材の管理は AEでするのが、この Dynamic Linkの作法です。
「えらいぞ、両方!」


 任意のトラックに並ぶクリップを一度に全選択できない

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どうもできないようです。〔Ctrl+A〕とやるとすべてのトラックのすべてのクリップが選択されます。ターゲットトラックに指定しても同じ結果。
 解決案としては、〔\:バックスラッシュ(ろ)〕キーを押して全体表示にしてから、マウスでずらっとすべてのクリップを選択するか、そのトラック以外のトラックをロックしてから〔Ctrl+A〕でコピーするしかなさそうです。
 ちなみに〔\(ろ)〕キーと〔/(め)〕のキーと間違わないでください。〔/(め)〕キーは選択クリップ幅をイン-アウトにマークするショートカットです。


 異なるフォントを使用した複数のテキストを全部まとめて変更できない

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テロップや説明のためのキャプションとして使った文字のフォントがバラバラなのを一本に絞りたくて、AEのように、テキストクリップを全選択して変更しようとしても、できないみたいです。

 解決案として、まず全部のテキストクリップを選択した後、【グラフィックとタイトル】でメニューを開き、

【プロジェクト内のフォントを置換】を実行して、変更するフォントを全部選択してから、置換するフォントを指定すると変更できます。

 他にも一つのテキストをそのフォントに変えてから、それをリンクスタイルとして登録します。するとプロジェクトにテキストスタイルができていますので、他のテキストクリップを全選択してから、プロジェクトにあるテキストスタイルをドラッグ&ドロップすると一斉に変わります。


 グラフィックテキストの一行あたりの文字数をまとめて変更できない

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テキストを【段落テキスト】にしておけば、【テキスト領域】の破線部分を横と縦に拡げると 1行あたりの文字数の変更ができます。もし、【段落テキスト】ではなく【ポイントテキスト】だった場合は、【テキスト領域】を広げると文字が拡大されるのでその違いが分かります。
 下のが画像は【段落テキスト】の【テキスト領域】破線の枠が出ているところです。


【ポイントテキスト】だった場合は、プロパティパネル(バージョン26.0からエッセンシャルグラフィックスパネルはプロパティパネルに統一されました)の、スパナアイコンを押します。次の図のです。

出たメニューにあるプルダウンから『段落テキスト』を選ぶと、1行あたりの文字数が変えられるテキストになります。

 個々の修正はここでできますが、テキストをまとめて修正するのならスタイルファイルを作ります。
 一つのテキストを選んで、文字数やフォントなどを変更してから【リンクスタイル】を作成します。すると、付けた名前のスタイルファイルがプロジェクトパネルにできますので、全部のテキストを選択してからこのスタイルファイルをドラッグ&ドロップすれば全部に適用されますが、テキスト領域の幅は記憶されないようで、この方法をとってもできませんでした。1行あたりの文字数の変更は個々に調整するしかないようです。

 キャプションのテキストの場合も、一行あたりの文字数の一斉変更はできませんでしたが、テキストスタイルを新規に作成する時に『プロジェクトのスタイル』として作ると、プロジェクトパネルにスタイルファイルが作られ、1行あたりの文字数の一斉変更が可能でした。

 まとめると、1行あたりの文字数の変更(テキスト領域幅)の一斉変更はキャプションのテキストで、『プロジェクトのスタイル』としてスタイルファイルを作ったときだけのようです。


『グラフィックテキスト』と『キャプション(字幕)のテキスト』ってなんで分かれてるの? なにが違うの?

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『グラフィックテキスト』と『キャプション(字幕)のテキスト』の違いが、AE遣いの方にはピンとこないと思いますから、ここで簡単に説明します。

『グラフィックテキスト』はデザインやエフェクトを自在に施せる 見た目重視 のテキストです。AEのテキストレイヤーとほぼ同じ―― AEは一つのレイヤーにテキストは一つだけですが、Prは同じクリップにいくつものテキストが入れられます――で、ビデオトラックに自由に配置できます。

 一方で、『キャプション(字幕)のテキスト』は、自動文字起こし機能で生成された "情報としての字幕"です。これはビデオトラックではなく、一番上にあるキャプショントラックという専用のトラックに並びます。キャプションの文字列には表示の開始終了の時間情報なども含まれる特殊なもので、必要に応じて ".srt" などの字幕ファイルとして書き出すこともできる、特殊なデータです。

 このあたりをまとめると、次のようになります。

呼び方役割のイメージAEとの比較
グラフィックテキスト画面の好きな場所に配置する
装飾用・タイトル用の文字
AEのテキストレイヤーとほぼ同じもの
キャプション ナレーションに合わせて配置する
説明文・セリフ用の文字
字幕としてのテキストで AEには存在しない。
表示するタイミングのデータを持っている



 『グラフィックテキスト』と『キャプション(字幕)のテキスト』ではフォントサイズが同じなのに見た目の大きさが違う

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『キャプション(字幕)のテキスト』を『グラフィックテキスト』に変換すると、文字の大きさがずいぶんと変わって面喰います。AEではありえないことですから。

 調べてみると、これは歴史的背景の掟がそのまま引きずられているようで、キャプションのテキストは、グラフィックテキストのように『ピクセル(pt)』単位ではないらしく、画面のセーフエリアを基準にした相対的な大きさになっているそうです。ですから、『キャプション(字幕)のテキスト』を『グラフィックテキスト』に変換すると、どうしても大きさが変化するらしいです。
 なんだか煙に巻かれたような気分ですが、仕方がないようです。深く考えないが得策です。



 テキストにストロークを付けたら尖ってしまう

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これはよくある現象です。 "線の角を丸める" にすると直るのですが、Prの場合はどこにその設定があるのかよく分かりません。

 まずテキストクリップを選択して、プロパティパネルを開きます。
 その中の【アピアランス】の右にある【レンチ】アイコンを押すと、

【グラフィックプロパティ】ダイアログが開きますので、その中の【ライン結合】を『マイター結合』から『ラウンド結合』に変えます。


 シーケンスのネストとは?

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シーケンスのネストというのは、トラックが煩雑になるのを防ぐために AEのプリコンポーズみたいに、下層のシーケンスに複数のクリップをまとめるものです。
 ネストしたシーケンスは 1個のクリップとなって同じ場所にありますから、タイムライン内がすっきりします。もちろん Wクリックすれば AEと同じように下層のシーケンスに移動します。
 ネストすることで、全体にエフェクトをかけることができるなど、これも AEと同じです。ただしあまり階層を深くすると、元のクリップが何だったか分からなくなり、階層巡りをする羽目になります。


 映像クリップの途中で映像をフリーズさせたい

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AEでいうところの、レイヤーを右クリック→【時間】→【最後のフレームでフリーズ】と同じことができます。 やり方もほぼ同じで、まずクリップの止めたい時間に再生ヘッドを置きます。置いたら【ツール】パネルの【レーザーツール】で再生ヘッドの場所を切ります。これでクリップがその場所で二分割されましたので、

切れた右のクリップ(時間的に未来のほう)を選択してから、マウス右クリック→【フレーム保持を追加】を選びます。
 これで ①の『D8_cap_03.mov』というクリップは停止します。


 プロパティのスケールに小数点が出ない

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ここもプレミア秘境の摩訶不思議な仕様の一つです。プロパティでは『スケール』と『回転』パラメータは整数扱いになっています。なのに『位置』や『不透明度』は小数が使えます。まさに異次元の世界ですね。

 小数を含む調整をするのなら、エフェクトコントロールの『スケール』や『回転』を使います。なぜ二つに分かれているのか? プレミア秘境の謎は深いのです。


-脱出マップはここまで-


【プレミア秘境の歩き方その3】へ向けて


 プレミアの不思議なダンジョンは奥深くまで続きます。中でも「ビデオエフェクト」の奥地には、まだ見たこともない漆黒の闇が広がっています。何もしなくてもエフェクトが掛かり、そのコントロールがブラックボックス化されていて、どこをどう操作するとどうなるのか全く見えない全自動です。
 直感的に分からない操作環境はもはやコントロール不能といってもいいような気がするのですが……。それともコントロールする必要は無しと言っているのでしょうか。

 そして最も重い足枷は、AEのような軽快な「RAMプレビュー(キャッシュ)」が存在しないこと。
 何か一つエフェクトを修正するたびに、クリップ丸ごと一本分のプレビューファイルを書き出さないと、コマ落ちと低解像度の再生になってしまいます。何フレーム手動で進めても AEのようにレンダリングしてくれませんので、常に AEのキャッシュ RAM満杯状態が続くようなストレスは強烈でした。
 少なくともあの機能に触れるまでは……。

 次回はそんな Prの変身した姿を紹介します。
 思わず、「おいおいおい。すげぇぞ、プレミア~」とワタシは漏らしていました。


 AE風の『プレミアキーボードショートカットプリセット』の詳しい説明は、こちらにまとめてあります。手動セット、一括登録どちらかの方法をお選びいただけます。





2026年 5月18日(月)31℃(午後 5時13分)

プレミア秘境の歩き方『迷いし AE遣いのみなさんへ』1(/6)

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初めてプレミア(Premiere Pro:以降 Prと書きます)と遭遇したのは、まだ After Effects(以降 AE)を始めて数か月のころで、どちらのソフトがどうだとか言える状態ではなく、何もわかっていない混沌とした中で、次々舞い込んでくる仕事を何とかこなしていくのがやっとでした。だいたい、2017~2018年頃ですね。そのころの作業フォルダには Prと AEのプロジェクトファイルが混ざっています。

 やがて、仕事内容も『長い尺の編集』から、アニメーションや複雑な映像効果へと移行するにつれ、自然と AEの深みへと潜り込んでいき、気づけば エフェクトプリセットの乏しい Prからは疎遠になり、『AEさえあれば何でも作れる』という自負とともに、Prの地平は記憶の彼方へ……。


 それから 8年の時を経て……。

 最近 Prがすごい進化を遂げていると聞き、好奇心旺盛なワタシは「どれどれ……?」と再びその門を開いてみました。

 正直なところ、操作性の悪さは相変わらずかもしれません。しかし今の Prには無視できない 真価が隠されていました。
「AEに比べて自由度が低い」と敬遠気味な AE遣いの皆さんにこそ、この一筋縄ではいかない "秘境の歩き方" を伝えておきたいと思います。


 本題に入る前に、まずは混同されがちな AEと Prの役割の違いを、ここで明確にしておきましょう。

 AEが目指す仕事内容は、複雑な映像効果(エフェクト)の作成や、緻密なキーフレーム操作によって『動き』そのものをデザインすることに特化しています。
 そして、Prですが、こちらは、たくさんの素材や、長尺の映像から必要なシーンを選び取り、時間軸に沿って並べることで『物語の流れ』を構築することに特化したソフトです。
 AEはレイヤーという層を積み上げて濃厚な表現を作成していくに対して、Prはそれらを時間方向(横方向)に切り貼りしてトラックという形で横に繋いでいき、一つの作品を作るといった感じです。

 どちらをやればいいのか……。
 もし仕事として続けていくのなら、両方やれ、かもしれません。


 急きょ Prの使用を命じられ、二の足を踏んでいる AE遣いの諸兄姉にお送りします。 Prの世界を訪問する前に、ぜひ知っておきたい予備知識をまとめてみました。


 AE慣れした脳にとって、その操作感はいかほどか

AEと似たような仕事をこなす Prなのに、その作法はまるで異国の地です。AE遣いが一歩踏み入れると、広大な秘境の地にポツンと取り残されてしまったような孤独感を覚えるかもしれません。
 しかしこれは文化の違いです。そこの環境に適応した人にとっては操作性が優れているのだと思います。


 噂のオブジェクトマスクの実力は?

聞くところによると、 AEの旧ロトブラシを超えたとの噂も? その精度と実用性を検証します。


 文字起こし機能はレベルアップしたのか(テキストベースの編集の衝撃)

AE遣いもこれだけは脱帽。
 字幕作成は Prに任せた方が 1億倍(!)楽になると断言できます。


 AIが手助けするとはいうけれど

生成延長や塗りつぶし、AIオーディオ、他にもいろいろ搭載された模様です。静止画の Fireflyがついに動画ソフトへ本格的に組み込まれました。新世代の編集ソフトが放つ、その "お手並み" を拝見といきましょう。



 という順番でこの秘境を攻略していきます。
 まず最初の難所……。

 ● AEになれた人にとっての操作の違いはいかほどか

最も気になるのはショートカットの違いでしょう。
 これは "郷に入っては郷に従え" しかありません。AEから C4d Lに手を出したときに、猛烈なカルチャーショックを受けていますから、ワタシは今さら驚かないはずです……。



 ―― 仰天しました。

 まったく太刀打ちできません。数年の経過は完璧に浦島太郎状態です。
 通じるのはコピペと再生・停止ぐらい。シーケンスパネルのトラック(AEでいうタイムライン)の横方向のズームイン・アウトは同じですが、縦方向のズームインアウトは AEにはありませんので、いろいろ試しましたが、Prでもできませんでした(後で方法を発見しています)。
 シーケンス内の横移動は、再生ヘッドのスクラブでずっと先に行くか、マウスホイールをゴロゴロゴロゴロ、ゴロゴロゴロゴロ、指が攣(つ)るまでゴロゴロゴロゴロ。嫌なら 〔PageUp/PageDow〕キーを押してどこへ飛ばされたのかわからないほど遠方に吹っ飛ばされる、かです。
 AEでの挙動とまるで異なりますから、トホホとなって頭を抱え込みたくなります。

 このギャップは新しいソフトに手を出した以上誰もが通る道です。我慢して覚えていくか、嫌ならキーボードショートカットを自分なりに変えてしまうかです。

 ワタシは半日かかって AEに近いショートカットに直しました。
 それは我慢の限界を超えたからです。ついでに、文字起こしのテキスト修正時に 〔スペース〕キーでの『再生・停止』はとてもじゃまになります。そこで〔F1〕キーを『再生・停止』にしました。こうすると日本語変換モードのままでも再生や停止ができますから、文字起こしパネル内での文章編集には重宝します。ただこれは AEにもありませんから、ワタシの我がままかもしれません。

 もっともイラつく再生ヘッドの移動は、AEと同じ〔PageUp/PageDown〕で可能に、もちろん〔Shift〕キーを併用すると『10』フレームずつ移動します。
 選択クリップの先頭に再生ヘッドを移動させるのは、AEと同じ〔I〕キー、最後尾への移動は〔O〕キーに変更。

 選択クリップの左右移動も、AEと同じ、〔Alt+PageDown/Alt+PageUp〕で、〔Shift〕キーの併用で『5』フレーム移動です(10フレーム移動はできませんでした)。再生ヘッドのキーフレーム間の移動も〔J/K〕キーで AEと同じです。
 選択クリップの素材がプロジェクトのどれなのかを探るのは、ワタシ独自のショートカットで〔Shift+E〕に。その他にもいろいろ変更して、これでほぼ作業に集中できます。

 Prのキーボードショートカットプリセットに AEがありませんので、ワタシの作ったプリセットをダウンロードできる準備をしています。可能になるまで少々お待ちください。


 ショートカットで操作感は近づきましたが、Pr文化の壁はまだまだ高く立ちはだかります。

 例えば、AEなら 〔Ctrl+Y〕で即座にレイヤーの一番上に平面ができますが、Prは平面をカラーマットと呼んでおり、【ファイル】→【新規】→【カラーッマット】で作成します。ただしそれはプロジェクトの中にできるだけです。自力でトラックに並べなければいけません。

 そして極めつけは、マウスで再生ヘッドを動かしただけで、その下のクリップが勝手に全部選択されてしまう挙動です。
 この動きを AEで説明すると、再生ヘッドを置いた瞬間に、その下のレイヤーがすべて選択されることになります。思わず『えっ!!』って慄くことになるでしょう。これを知らずに作業していると、気づいたらシーケンスパネル内のクリップがガタガタに。まさにカルチャーショックの連続でした。

 数日掛けて研究を重ねた結果、なんとか独り歩きできる「マップ」を完成させました。次回は、Prの秘境で泥沼にハマっている方に贈る『脱出マップ』を掲載します。ぜひそのマップを頼りに抜け出してください。


 よけいに迷うかも……。 (;^_^A ナハハ…





2026年 5月 5日(火)21℃(午前 8時 3分)

 パースガイド作成ツール(その 6/6)[職人技活用術]

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さて、最後は『カメラ1台で完結!「ステップ補間」でパースガイドごとアングルを切り換える職人技活用術』です。
 長いタイトルですみません。でも意外と知って損はない 高効率間違いなしの多目的 3D画像作成(撮影)方法を伝授いたします。
 パースガイドに興味がない方でもこのテクニックは役に立つかもしれません。


 完成した3Dモデリングを映像にしようとすると、迫力のあるカメラワークで被写体を舐めるように寄ったり離れたり、あるいはすごいスピードで周回したりと、アクション映画さながらのシーンを想像して、ついやってみたくなるものですが、ただの静止画、中でもアニメーションに使用する背景画のように地味な絵を何枚も作る(撮影する)ときもあります。

 地味ではありますが、アニメではなくてはならないもので、手描きよりも超高効率で完了する 3D背景は重宝します。簡単にできますから、プロデューサーさんからの期待も高くて、かなりの数のバリエーションを求められます。

 そのやり方ですが、3Dソフトで作ったものを画像に落とす場合も、現実のカメラ撮影とよく似ていて、求められるアングルになるように仮想的なカメラを動かして、アングルが決まればその状態をパソコンが静止画に変換してくれます。カメラならシャッターを切った瞬間にデータができますが、3Dの場合はレンダリング(画像への書き出し)という工程に時間がかかり、少々面倒くさいです。でも架空の世界が静止画という現実味を帯びたものになりますから、プロデューサーさんもエスカレートしてきて、

「この 3つ前のアングルが気に入ったから、あれよりも、もう少しだけ右から撮ってくれない?」と言われたとき、どうします。

「えー。さっきのアングルなんか覚えてませんよ」
 って口答えしたら、明日から路頭に迷うことになるかもしれません。(ワタシは時々口答えして叱られています)

 そんなときの 3Dソフトです。常に撮影アングルを記録し、数枚どころか数十枚、いや時間があれば数百枚でもそれが可能になります。
 もちろん撮影のたびにカメラを新規に出して、アングルごとに転々と置いていくなんて効率の悪い、かつリソースの無駄遣いはしませんよ。ワタシは異世界転生を果たした魔術師(エンジニア)ですから(まだ言うとるワ)。

 使うカメラは 1台だけ、それを使って被写体だけでなく、せっかくですので、今回はパースガイドも一緒に個々の角度や位置情報をキーフレームに記録させていきます。

 ところで……。
 キーフレームでカメラを動かすと、カメラの視野が動く、つまり動画ができてしまうように感じられますが、この方法は違います。一つの撮影場所から次の撮影場所へ瞬間移動します。それどころか、カメラの前を遮る物があってもそれを一時的に消して、次の場所にカメラが移動したらまた元に戻す、なんて現実ではありえない方法で、視界を妨げる物を消したり戻したり、撮影状況に合わせて周りの環境まで変えることができます。



 とりあえず、こんな撮影現場にやってきました(作りました)。

今回はパースガイドも含めて動かしつつ、カメラの場所と角度も記録していきます。




 これ以降はタイムライン(ドープシート)パネルも使用しますので、必要になったときは出るようにしておいてください。またタイムラインについて詳しくは【クセがすごいぞ C4D L(タイムライン編)】をご覧ください。

 ではこの現場で数枚撮影してみます。


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撮影現場到着

最初は、パースガイドの最上層にある『カメラヌル』を動かして撮影場所のパースに角度を合わせます。
 合わせ方は難しくありません。基本となっているオブジェクトのパースが収束する方向、あるいは空間の奥へ向かっている縁や線に地面グリッドか、天井グリッドのラインを平行になるように置くだけです。大体は回転角度『H』を『90°』ずつ回すと合います。

『カメラヌル』の場所決めが終わったら、とにかく位置と、回転角度『H』にキーフレーム打って場所を記録します。
 位置座標のキーフレームを打つには、位置のラベル(P.Xなどと書かれている部分)の左横ににある小さな "◆" アイコンを押すのですが、知っている人は鼻で笑う、知らない人は「おおぉっ!」となるワザを一つ教えちゃいます。

 例えば、今から『X,Y,Z』と回転角度『H』のキーフレームを打とうとしていますが、そんなとき一つずつポチポチ押していったら、日が暮れます。そこで、

 1.マウスで②のラベル『P.X』の "P" の部分をクリックします。

 2.画像の②のように『P.X』から『P.Z』までがオレンジ色に変わります。
  これで座標全部を選んだことになります。

 3.その状態で、続けて今度は『R.H』の『H』の文字を "Ctrl" を押しながらクリックすると
  画面の③のように『.H』も追加されました。

 4.あとは、オレンジなったラベルのどれか一つの "◆" アイコンを押すと、
  全部の値に対応するキーフレームが一度に記録され、"◆" が赤くなります。

これ以降は、ラベルがオレンジ色になっている限り、"◆" を一つ押すだけで、選択中のラベル全部にキーフレームが打たれます。


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『カメラヌル』の場所が記録されました

これで『カメラヌル』の位置と回転角『H』の4つが一度に記録されました。そのタイムラインがこれです。

上の画像はフレーム『0』に『カメラヌル』の位置と角度が記録された状態です。
 角度の欄に『35.8787 cm』と出ているのはおそらくバグっだと思います。"Ver2025" からこのようなおかしな具合になりますが、特に問題は起きていません。


 次は『パースガイド』ヌルを動かしてフィギュアロボたちや天地のグリッドを撮影位置に移動させたあと、続けて『カメラ』と『カメラターゲット』を動かして最適なアングルを決める作業に入ります。これはカメラを現場に持ってきて、モデルさんたちを撮影場所に誘導しつつ、カメラを被写体に向ける状況だと思えば分かりやすいです。

 階段の下、アーチ形のゲート前を 1枚目の撮影場所にしましたので、『パースガイド』と床の高さを合わせつつ、その場所に移動します。

(補足:『地面グリッド』は親(パースガイド)の高さに固定されていますから動きません。『パースガイド』で高さを調整します)



床の高さと場所が決まったら、フィギュアロボやカメラ、カメラターゲットを動かしてアングルを決めます。上の画像の『透視』ビュー(右上端)は【カメラ】の映像を出すようにしています。つまりこのビューがファインダーになっています。
 カメラについては【レンダリングされるビューとカメラの関係】をお読みください。

 この時に、天地のグリッドがカメラの視野に入っていなかったら、前後左右に動かして見える位置に合わせます。『地面グリッド』は上下に動きませんが、『天井グリッド』は動きます。好きな場所と高さにしてください。地面グリッドを上下に動かす必要があるときは、その親の『パースガイド』ヌルを動かします。

『カメラヌル』『カメラターゲット』『カメラ』『パースガイド』、そしてその子階層にある『ダミーグループ』『天グリッド』『地面グリッド』は、今後もアングルが変わるたびに動かすと想定できますので、アングルが決まったら、すべてを選んで位置を記録します。


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まずは階段の前で 1枚目を記録

オブジェクトすべてを選択して、先ほどと同じように位置座標のラベル『P.X』の『P』をクリックしてから "◆" アイコンを押せば位置座標が記録されます。
 上の画像では "◆" アイコンが赤色になっていますので、選択オブジェクトのすべての『X,Y,Z』にキーフレームが打たれたことを示しています。

 一回のクリックで全部の位置が記録できますが、記録忘れがないか、よく確認してください。記録漏れがあると、フレームを動かした途端そのオブジェクトだけが元の場所へ戻ってしまいます。

 この記録忘れを防止するためにウィンドウメニューの【アニメーション】→【記録】→【自動記録】があります。これを『オン』にすると、一度でもキーフレームが打たれたパラメータはそれ以降数値が変更されるたびに自動的にキーフレームが打たれます。数値が変化しなかったものには打たれません。

【自動記録】を『オン』にしますと、各ビューの周囲にオレンジの細い枠が出ます。このオレンジ枠が出ているときは【自動記録】が『オン』ですので、注意してください。

【自動記録】はこのあとで『オン』にしますが、その前にちょっと効率アップに向けて細工をします。

『カメラ』の子となっている『グリッド間数値』『カメラ高数値』『注視点』を『HUD』というヌルに入れてまとめておきます(①)。これはこの後で表示と非表示のキーフレームを打つ手間を少しでも減らすためです。

 もう一つ。撮影に関係ないもの、たとえばオブジェクトマネージャにある『舞台』オブジェクトや『ライト』関係は動かしませんから、ここにあるとジャマになります。このようなものをオブジェクトマネージャから見えなくする方法にレイヤーがあります。AEのレイヤーとは違う発想で作られていますので、同じものと混同しないでください。
 レイヤーについては【Cinema 4Dでのレイヤー事情】を参考にどうぞ。

 このレイヤーを使うと AEの "シャイ" 機能みたいなことができます。
 レイヤーパネルに適当な名前(ここでは【シャイ】としました)のレイヤーを作り、消したいオブジェクトすべてを選択して、右クリック→【レイヤーに追加】→【シャイ】で、そのグループに入れて(②です)から、【シャイ】レイヤーの【マ】の欄があります。この【マ】は、『オブジェクト""ネージャー』の『マ』です。つまりオブジェクトマネージャーから見えなくするという機能ですから、これを『オン』にします。これでオブジェクトマネージャーから見えなくなってすっきりしています。削除ではなく一時的に見えなくしているだけです。
 右クリック→【新規レイヤーに追加】でもレイヤーが新規に作られてそのグループに選択オブジェクトが入れられます。


 さて、すべての位置情報にキーフレームが打たれたタイムラインは、現在こうなっています。


 次の画像のように、最上段にある【一括】と書かれたキーを "Ctrl" を押しながら右へドラッグして同じキーフレーム群のコピーを隣のフレーム『1』と『2』に複製を 2つ作ります。

もし、隣ではなく隣の隣、フレーム『2』にしかペーストできないときは、再生ヘッドがその近所にあるなど、スナップ設定が原因していますので、タイムラインのウインドウメニューの【編集】→【スナップ】→【スナップを有効】を『オフ』にするか、フレーム『2』に置いてから、キーボードの矢印キーで移動させます。このタイムラインのスナップ設定も、AEユーザーから見ると謎の設定で、要注意仕様の一つです。詳しくは【移動させたキーフレームが元からあるキーフレームに重ならない】をご覧ください。


 では説明を続けます。
 いまなぜ同じ記録の複製を作ったのかというと、一つ目の記録にはパースガイドが映っていない舞台(背景)だけの画像、二つ目は空間を把握する物差しとなるパースガイドが一緒に映っている画像、三つ目は背景に合成するアニメキャラを作成するときに、上から重ねてオーバレイさせるパースガイドがだけが映っている画像の三枚を同時に作ってしまおうという考えです。

 アングルは一つですが、コピペすれば 3種のバリエーションを一気に画像に落とせますから、効率は爆上がりです。しかも一つのファイルでいつでも再現可能です。
 バリエーションはアングルだけでなく、被写体の配置換え色の違いライトの明るさ影の濃さや種類その他もろもろ、キーフレームが打てるものなら何でもありです。

 ということでここから必要なバリエーションを追加していきます。簡単なところで、パースガイドや背景をフレームごとに出したり消したりします。


 それでは、再生ヘッドをフレーム『0』にもどして、【自動記録】を『オン』にします。




 フレーム『0』はさっきのアングルで、パースガイド無しを撮影します。

 1.パースガイドに関するものの子階層は閉じて、三つの親を選択(①)します。

子階層が展開したままだと後で混乱することが起きますので、親だけが出ている状態にします。また、『カメラ』はパースガイドに関係ないから選択しません。

 2.属性マネージャの【基本】タブを開いて、②③の『隠す』を二つ押します。

 3.④⑤にある "◆" を二つ押してこの状態をキーフレームに記録します。

 作業ビューを見てください。パースガイド関係のものが消えています。そしてオブジェクトマネージャーにあるパースガイド関係のオブジェクト欄に、赤い "●" が上下二つ付いて、現在は非表示状態になりました。

 あとはこの操作の繰り返しになります。
 フレーム『1』はパースガイドと撮影場所の両方を撮影しますので……。

 再生ヘッドをフレーム『1』に移動させます。

タイムラインで 1フレームずつ再生ヘッドがマウスで移動できないときは、スナップがジャマをしています。スナップを無効にするか、ショートカット "G" で一つ進めます。一つ戻すはショートカット "F" です。

 パースガイド関係のものを選択して、先ほどの『隠す』から『従う』ボタンを押します。

これだけです。【自動記録】が『オン』ですので、 "◆" アイコンを押す必要はありません。




 フレーム『2』はパースガイドのみの撮影ですから、現在シャイとして見えなくしている舞台関係のオブジェクトをオブジェクトマネージャーに表示させます。

 そしてやることは同じ、再生ヘッドをフレーム『2』へ移動させたあと、オブジェクトマネージャーの『舞台』を選択してから……。

 1.属性マネージャの【基本】タブを開いて、『隠す』を二つ押します。

 2."◆" を二つ押してこの状態をキーフレームに記録します。

『舞台』はまだ一度もキーフレームを記憶していませんから初回は "◆" を押す必要があります。


 画面はこんな感じになります。

パースガイド関係のものだけが出ていて、それ以外のものが一切出ていません。

 そしてタイムラインパネルはこうなっています。

ただ、これにはちょっとしたミスが入っています。誰でもやってしまうミスです。でも慌てることはありません。簡単に修正できます。 それは、最後に『舞台』のみを【基本】タブを開いて、『隠す』を二つ押しましたね。そのおかげで、画像には舞台が消えたのですが、タイムラインを見てください。『舞台』を『従う』にするキーフレームがどこにもありません。AEの不透明度を『0%』にして消すキーフレームを打った時と同じで、時間的に見てその前後のどこかに『0%』以上のキーフレームがないと、そのオブジェクトは消えたままになります。それと同じことで、これは誰でもやってしまううっかりミスです。

 話をC4d Lに戻します。再生ヘッドをフレーム『0』に戻して、『舞台』の【基本】タブを開いて、『従う』を二つ押すと、【自動記録】が利いていますので、 "◆" を押すことなく『従う』が記録されます。

これで三枚の画像の記録がここに書き込まれています。試しに、再生ヘッドを1フレームずつ動かしてみてください。同じアングルで、メインの景色だけパースガイドと重ねた景色パースガイドだけの状態、の 3枚に切り替わると思います。


 撮影カットが 1枚ならこれで終わりですが、複数カットをまとめて撮る場合は、もう一つ注意があります。それは【自動記録】はとても便利なのですが、動かないオブジェクトがあった場合には、キーフレームが打たれません。そのため複数のアングルでカット撮影をすると、次のようなタイムラインになります。

記録されたフレームは 1カット 3バリエーションですから、4カットなら 12個のキーフレーム群で管理されます。

上の画像を見てください。フレーム『0』から『11』までに、キーフレームが打たれていない部分がところどころにあります。これが原因でおかしな現象が起きています。それは次の動画をご覧ください。1フレームずつ再生ヘッドを進めている映像ですが、意図したとおりのカット編集になっていません。

"カット 1" と "カット 4" は正常ですが、 "カット 2" と "カット 3" のバリエーション『1,2,3』(3パターン)はフィギュアロボの位置やカメラの位置が狂っていて、もはや何を撮影しているのか意味不明になっています。
"カット 2" と "カット 3" のバリエーションの『2』番目などロボが空中に浮いてしまっています。

 この原因はタイムラインのところどころに空いたキーフレームが打たれていない空白です。この部分のキーフレーム補完が『スプライン』になっています。これはキーフレームと次のキーフレームの間の数値の変化を自動的に繋いでいる、つまり動画用のタイムラインになってしまっているために、次の場所までの中間の座標が自動的に割り振られて、動いているということになります。

 修正は簡単です。すべてのキーフレームを選択して、『ステップ(一定)』にするだけです。

タイムラインの一番上にある【一括】のキーの左端をクリックしたあと、"Shift" キーを押しながら、右端の【一括】キーをクリックして、すべてのキーフレームを選択します。
 できたら、ピンク矢印の示す【ステップ補間】アイコンを押せば、すべてのキーフレームが AEでいう、【固定キーフレーム】に変わってフレーム間の補間がなくなり、瞬間移動になります。【ステップ補間】に設定されますと、上の画像のようにすべてのキーのアイコンが "┘"のカタチに変わります。



 次の動画が正しいカット撮影に修正されたものです。

パースガイド無し合成パースガイドのみのバリエーションで 4カットが一度に並びました。あとは AEにインポートして、全フレームを "Photoshopシーケンス" か、"PNGシーケンス" などで連番でエンコードすれば、一つのファイルでまとめて静止画が複数枚、一度にでき上がります。


 参考までに……。

このタイムラインは前々回の説明で使用した『学校の風景』を一気に 54枚の静止画に落としたキーフレームの並びです。この時はパースガイドを入れていませんが、全部のカメラ位置は大きく変化して個別のアングルとして記録されています。そしてところどころで、カメラの前を遮るオブジェクトを消したり、出したり、中にはライトの明るさを撮影場所に応じて調整している部分も見られます。

 一見して面倒くさそうに思えますが、後々のメンテナンスや静止画を個別にレンダリングすることを考えると効率が爆上がりだと思いませんか?


 お前はもう記録されている……。 ( ̄‥ ̄!) アホヤ…





 説明に使いましたパースガイドツールの『.c4d』ファイルを使ってみたい方は、こちらの

ダウンロードページをお読みになって、ダウンロードしてください(Googleドライブが開きます)。






2026年 5月 2日(土)18℃(午前 6時48分)

 パースガイド作成ツール(その 5/6)[むむむの XPresso]後編

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XPressoの最終です。残りはあと一つ。最後は "カメラ1台で完結!「ステップ補間」でパースガイドごとアングルを切り換える職人技" で締めくくります。
 ライトノベルのタイトルみたいに長いですが、この方法は意外と使い道があるかもしれません。

 その前に、Xpressoの後半ですね。
 前回はあまりに拍子抜けするようなプログラムでしたので、もうちょいそれらしいことをやりたいですよね。

 もう少しプログラムらしいことといえば、『天井グリッド』と『地面グリッド』の距離を、縮尺率から逆算して実寸を求めてHUDの『グリッド間 数値』の子階層に作った『Head』というテキストスプラインに流し込む処理を作ってみましょう。

 この処理は、地面グリッドからカメラの高さを計算して数値化する部分『E Level』にも必要になりますから、両方で必要になる "縮尺率" を Global定数として、どの処理からでも参照できるようにすれば、 "縮尺率" の変更は一か所で済みます。これならよりプログラム的になりますね。


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この 2か所から参照できる変数を作ります




 例えば縮尺率を 41.2%としたものを Java言語風に書くと、
"public static final float SCALE_RATE = 0.412f;" ですね。
 この意味は、"SCALE_RATE" という書き込んだらもう変更不可(final)な共有の入れ物(static)に、小数点のある数字(float)を入れてたから、どこからでも(public)使ってね。という意味になりますが、果たして XPressoではどうなるのでしょうか。

 さっそく、ノードエディタの左にあるリストを漁(あさ)ってみました。すると【XPresso】→【一般】の中に【定数】というのがありましたので、引っ張り出してみますと……。

 こうなりました。

う――ん。視認性がいいとはいいますが……。これでいいのでしょうか。
 なんだかものすごく不安になります。だいたいどこで定数を設定するのでしょうか。これでは入れ物ができただけです。

 調べてみると、この方法で作った定数ノードは、一つの XPresso内だけで使用できるものになるようです。つまり "いろんなところから使える(public)" ではなく "その場所だけで使える(private)" だということでした。

「早よ言わんかい!」と叫びたいのをぐっとこらえ……。
「あ、これは『ELオブジェクト』の回転角度『B』を固定させる定数として使えるゾ」と考えを改めることにしました。

 ここで前回の『ELオブジェクト』で作った XPressoに『定数』ノードを追加する話につながるわけですね。

 『ELオブジェクト』ノードに『絶対角度.B』の入力ポートを作り、『定数』ノードを左リストから【XPresso】→【一般】の中から引っ張り出してきて接続します。

『定数』ノードを選択すると属性マネージャに【ノード設定】パネルが出ますので、①の【データタイプ】を『実数』に、【値】は『0』です。
 これで、『ELオブジェクト』の回転角度『P』を変更しても、常に『0°』となって動かなくなります。

 先にも書きましたが、この『定数』ノードはこの『ELオブジェクト』に貼られた XPresso内だけの定数です。どこからでも参照できる Global定数を作るには、いろいろと手続きが必要です。

 では話を戻して、Global定数を作る方法です。

① 空のヌルを作って、それに『ユーザーデータ』を定義設定する。これが Global定数、つまり public static final です

② XPressoに『ユーザーデータ』を定義したヌルをドラッグアンドドロップして、『ユーザーデータ』ノードを作る。

③ 『ユーザーデータ』を参照する『計算』ノードをエディタに作ってから、『ユーザーデータ』ノードの出力ポートと、そのノードの入力ポートを繋ぐ。

なんだか力が抜けていくような気分です。なんでこんな回りくどい方法にしたのでしょうかね。ま、あんたの説明はくどいといわれ続けているワタシが口出しすることはないのですが……。


 とりあえず、先に進めます。やってみましょう。

① 空のヌルを作って、それに『ユーザーデータ』を設定する。

空のヌルを作ったら名前を『CONSTANTS』と付けます(下の画像①)。これは XPressoの『ユーザー定数』ノードに反映される名前です。
 このヌルは、映像に一切関係しませんから、オブジェクトマネージャのどこに置いても問題ありません。適当にジャマにならない場所に置いておきます。

次に『CONSTANTS』ヌルの属性マネージャの『タブ』部分を見てください。右端にたくさんのよくわからないアイコンが並んでいる列の左のほうです。【モード】の隣に【ユーザーデータ】というタブがありますので(画像の②)、それを押します。

 出たメニューから『ユーザーデータを追加(③)』を選びますと、こんなパネルが開きます。


①に定数の名前を入れます。縮尺率ですから『SCALE_RATE』としました。
②と③は小数点を扱いますので、『実数』にします。
 できたら『OK』を押してここは終了。

 もし、再度開きたいときは、『CONSTANTS』ヌルの【ユーザーデータ】タブを押して『ユーザーデータを管理』を選ぶと先ほどのパネルが開きますので、左リストから『SCALE_RATE』を押します。

 さてこれで " "public static final float SCALE_RATE" までが宣言できました。

「まだあるんかい!」と叫びたくなりますが、ここは我慢です。

 次は "=0.412f" の部分を設定します。


 オブジェクトマネージャの『CONSTANTS』ヌルを選択します(①)。

『CONSTANTS』ヌルの属性マネージャを見てください。【基本】【座標】などのタブに並んで【オブジェクト】の右隣に【ユーザーデータ】というタブができています(②)。それを押します。
 すると、上の画像のようになりますので、【SCALE_RATE】の入力欄に縮尺率となる数値を入れます(③)。今回は 『41.2%』に縮小しているという設定ですから、『0.412』です。

 これで、
"public static final float SCALE_RATE = 0.412f;"
 が宣言できました。

「………………」
 言葉が出ないですね。
 とにかく先へ進めましょう、日が暮れます。

 Global定数を使うのは、天地グリッドの距離数を表示する『Head』テキストスプラインと、『E Level』テキストスプラインに作った XPressoですので、まずは、『Head』テキストスプラインに XPressoタグを作って、ノードエディタを開きます。

 開いたら、オブジェクトマネージャの『CONSTANTS』ヌルをドラッグアンドドロップしてエディタの中に入れます。

『CONSTANTS』というノードができますので、赤色の出力四角をクリックして『ユーザーデータ』を押すと、『SCALE_RATE』ができていますからそれを選びます。これでこのノードは "どこからでも参照できる(public)" 定数となりました。

 あとは全体の計算処理ノードを作って、それぞれの出力ポートと入力ポートをワイヤーで接続していきます。『CONSTANTS』ノードの定数出力ポートはそれを使うノードの入力と接続することになります。

 ではいよいよプログラムらしい作業に入ります。
 まず、天地間の実寸値が計算できるまでの順序を次のようにしました。
 プログラムの説明は長い文字では不向きなので、天井グリッドの『Y座標』は "TY"、地面は "JY"、先ほど作った SCALE_RATE定数は "SR"、数値化されるテキストスプラインは『Head』という名前ですから、そのまま "Head" と書きます。

 一時的な変数として "V1" というものを使います。これに関してはこの後で説明します。

① V1=(TY-JY)/SR;
② Head.setText(String.valueOf(Round(V1*100)/100));


②だけ少々ややこしそうですから、説明を加えておきます。

Round( )

これは小数点以下を四捨五入する関数です。
"( )" 内で、"V1*100" とやっているのは、(TY-JY)/SRで得た答えを 100倍することで、小数第2位までの部分が整数になります。それから四捨五入して、再び "100" で割って小数第2位までの数値に丸めています。

 たとえば、 "12.3456789……" が、 "1234.56789" になって、
 Round( )で、 "1235" と四捨五入されて、
"1235/100" で、 "12.35" となります。結果この関数は小数点以下第3位で四捨五入して小数第2位までを求めるものになります。
 それから、このままだと数値です。文字コードに変換する必要があるため、
"setText(String.valueOf(12.35))" で、文字コードに変換されて "Head" のテキストとして画面に表示されます。

 これを XPressoで表現するとこうなります。

やっぱり「なんだかなぁ……」という気分になりましたね。
 プログラム的なインストラクションで詰めて記載すれば 1行で済むところですが……。
 ワタシから見ればこちらのほうが魔法の呪文、いや魔獣召喚の魔法陣にしか見えないのですが、これで正しく天地間の距離が実寸に変換されて HUDに表示されますので、逆に驚いたりして……。

 いやしかし。Unityもそうですが、なぜあちこちのパネルやドロップダウンリストからパーツをかき集めて、魔法陣みたいなものを組み立てるプログラム環境が推奨されているのでしょう。

 思うに、一つは "構文エラー" の排除ではないでしょうか。プログラム行の最後は ";" で終わらないとコンパイラに叱られますし、数式を記号で書くよりも、あちこちのパネルから選択して組み立てたほうが括弧の閉じ忘れもなく、間違いのない論理ができあがるという思想なのかもしれません。

 とにかくため息ばかりついていてもラチがあきません。アセンブラからJavaを経て異世界転生を果たした魔術師(エンジニア)ですから、さらに先を目指しましょう。この魔法陣的な模様の説明をしていきます。

① は省略できますね。天井グリッドの高さと地面グリッドの高さを出力ポートから出して ②の計算ノードの入力に繋いでいます。

② の『計算・減算』ノードです。

ノードエディタの左リストから【システムオペレーター】→【XPresso】→【計算】→【計算・加算】をドラッグしてノードエディタに引き込みます。
利用するのは【計算・減算】なのですが、これで正しいです。加算から減算に切り替える仕様です。

 切り替える場所はここ。


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「なぜここでそっちへ飛ばすねん」と爆発しそうですが、我慢してください。


【計算・加算】ノードを選択したあと、属性マネージャの【ノード】タブを見てください。【演算タイプ】というドロップダウンがありますので、そこから『減算』を選べば、このノードは【計算・減算】ノードになります。

 ちなみに減算の順序は上の入力ポートから下の入力ポートを減算して答えを出力ポートから出す、というルールみたいです。

 要するに、

"出力ポート = 天井グリッド - 地面グリッド"

という意味です。
 逆にすると、地面から天井を引くので負の数値になって、正の数に戻すには、『絶対値(ABS)』ノードが必要になって、ますます魔法の呪文が増えてしまいます。

③ は先ほど作ったGlobal定数の『ユーザーデータ』ノードです。

『ユーザーデータ』ノードの出力ポートからは、縮尺率を小数点にした『0.412』という数値が出ています。

④ は『割り算(除算)』ノードです。

減算と同じで、【計算・加算】を作ってから、属性マネージャの【ノード】タブから『除算』を選択します。

 やることは、

"天地間の距離 ÷ 0.412"

です。
 割り算の順番も『入力 1』÷『入力 2』となって、答えが『出力』ポートから出てきます。それが次の⑤へ接続されています。

⑤ は割り算の結果を小数第2位で四捨五入する『数式』ノードです。

単純な計算ではなく、いろいろな関数を利用した計算が実行できます。こちらも答えは出力ノードから出てきます。

『数式』ノードの入力ポートを作るには、左の青い四角アイコンをクリックします。すると、"V" と出ますからそれを選びます。ノードが小さすぎて中が見えないときは、サイズを最適化します。そこに "V1"と正式な変数名になった入力ポートができますので、『数式』ノードをクリックしてから、属性マネージャへ目を移してください。


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チェックを忘れずに


【ポート名を変数に】というチェックボックスにチェックを入れます。これで入力ポートの "V1" が数式での変数として使えるようになります。

 続いて、【数式】の入力フォームに次のように書き込みます。

 Round(V1*100)/100

これは最初に説明したとおり、変数『V1』の小数第3位を四捨五入して小数第2位までを求める式です。この答えが出力ポートから出てきます。
  "Round( )" で使用している変数 "V1" は、入力ポート名と同じにします。異なっているとエラーになります。他にも括弧の閉じ忘れだとか、数式として正しく記述しないとエラーになります。

「結局、正しくテキストで式を書かないとダメじゃないか……」というビジュアルプログラミングの矛盾みたいなものを感じますが、あまり深く考えないでいきましょう。


 数式にエラーがある場合は、ノード名の背面が黄色の警告色になります。黒色はエラー無しという意味です。式は正しいのにエラーが出るときは入力ポート名が違ってるか、【ポート名を変数に】というチェックボックスにチェックが入っているか確認してください。

⑥ は『テキスト』ノードです

このノードの入力に四捨五入した数値を入れると、内部で自動的に数値を文字コードに変換して画面に表示してくれます。昔の Basicみたいに、数値も文字もごちゃ混ぜオーケーの楽ちん仕様です。ここだけは助かりました。

『テキスト』ノードの入力ポートの選び方は、これまでとは少し違っていますので説明しておきます。

 例によって左の青四角アイコンをクリックします。すると【オブジェクトの属性】というのがありますので、それを選択して、次の【スプラインテキスト】を選びます。これで、そのノードの入力ポートは数値を文字に変換して指定のテキストスプラインから数字として表示されます。

 これと同じ作業をもう一つのテキストスプライン『E Level』の XPressoにも作れば完成。縮尺率の変更があっても、『CONSTANTS』ヌルのユーザーデータだけを変更するだけで済みます。

「修正は一か所で済ませろ!」
 アセンブラ時代から伝わる神のご神託ですね。


 長くなりましたが、これが Xpressoのノードエディタの簡単な使い方となります。もっと凝ればいろいろと便利なものが作れそうな気がしますが、なんだかなぁ……な気分はぬぐえませんでした。

 ただ、これだけはいえます。
 いまは、「なんだかなぁ」ですが、半年後にこの XPressoを見たときと、Java言語の構文だけでできたプログラムを見たときでは、Xpressoはデータの流れが可視化できていて、一目見ただけで構造の判別ができます。Java言語の場合は解析から始めて処理の流れを把握しなければなりませんので、たしかに視認性がいいという言葉に嘘はないと思いました。でもやっぱり、ノード内にも式の記入ができるほうがさらに便利になるような気がするのですが、なぜ、かたくなに別のパネルで書かそうとするのか……。


 結論。
 Xpressoは魔獣召喚の魔法陣だった。




 人間に代わって AIがプログラムをするバイブコーディングの時代がそろそろ始まっています。この魔法陣的なプログラムもきっと、AIが手を出すようになって、人間は「こんなのを作ってよ」って、指示をするだけのものに置き換わるのでしょうね。


 昔からよく言われていましたが、「プログラム言語なんていくつ知っていても意味がない」という言葉が現実味を帯びてきました。

( ̄ω ̄!) サムイ …







2026年 5月 1日(金)19.5℃(午前 6時48分)

 パースガイド作成ツール(その 4/6)[思わずうなる XPresso] 前編

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 さて、いよいよ大詰めです。XPressoを追加して完成へと突っ走ります。

 XPressoを一言でいうと、ビジュアルプログラム環境といえるのではないでしょうか。絵で組み立てるプログラムです。
 といってもある程度はプログラムのことを知っておかないと理解に苦しむことになりますが、XPressoに興味を持つ人なら、おそらくプログラムの経験もある方だと想定して、その部分は省略させてください。

 まずは、カメラの動きに『ELオブジェクト』ヌルが追従するようにプログラムします。『ELオブジェクト』には『アイレベル』に関するものが入っていますから、ここは重要です。


 昔ながらのプログラム環境に慣れた方が、初めて XPressoの本体である、ノードエディタを開くと、たぶん尻込みするかもしれません。ワタシは思わず触ってはいけないものに手を出したような心境になりました。その感想は……。
「こんなもんでプログラムできるの?」で、
 しばらく使ってみて、

「あぁぁ。昔に戻りてぇ……」とため息をつき、やがて……。

「むふふ。めんどくさいけど、なんか楽ぅ~」

 そして……。
「もっと触りてぇ~」

 となったXPressoの開き方です。

XPressoを追加するオブジェクトをオブジェクトマネージャで選択後、①右クリック→ ②【プログラミングタグ】→③【XPresso】で、そのオブジェクトに XPressoタグが貼られて、同時にノードエディタが開きます。

 ノードエディタが開いたら、関係するオブジェクトをオブジェクトマネージャで選択後、ノードエディタの中へドラッグアンドドロップして作業に入る、という流れになります。


 それではやってみます。
『ELオブジェクト』に "XPresso" タグを作り、ノードエディタが開いたあと、『ELオブジェクト』と『カメラ』をノードエディタにドラッグアンドドロップします。その画像が次です。

ノードと呼ばれるブロックが二つ出ました(②)。
 一つは『カメラ』、もう一つは『ELオブジェクト』と書かれたノードです。それを適度な間隔を空けて配置します。

 これから制御したい流れを作っていくのですが、インストラクションとしての言語的な文字列は書きません。テキストエディタに "構文を記述する" なんて、「そりゃレトロ環境だろ」と言われても仕方がない、そんな気分になります。なにしろ、データの流れをノードに設定した "ポート" と呼ばれる入出力端子のようなものから、次のノードのポートへ線(ワイヤ)を引っ張って繋いでいくと、プログラムが進んでいくのです。

 思わずつぶやきますね。
「なんだこりゃ……」って。

 もしエディタが途中で閉じてしまったら、①の "XPresso" タグをダブルクリックすると再び開きますから、作業に戻ってください。

 ポートどうしの繋ぎ方は、電子回路図の書き方と同じで、左から右へデータが流れるように接続していきます。
 入出力ポートに指定できるものは、処理に適したものがノード別にたくさん用意されていますので、その中から選ぶことになります。

 まず最初にやりたいことは、『カメラ』の動きに『ELオブジェクト』が追従することですから、これは『カメラ』の位置を『ELオブジェクト』の座標に書き込むという処理を作れば実現できます。

 それを ノードエディタで表現するには、『カメラ』の座標を『カメラノード』の "出力ポート" から出して、『ELオブジェクト』の "入力ポート" に接続します。

 では実際にやってみましょう。

出力ポートは『カメラノード』の右上にある赤い色の四角アイコンを左クリックして選びます。上の画像がその状態です。
 追従させるのに必要な出力ポートは、X,Y,Z座標と回転値の H,Bですので、X座標からいきます。
【座標】→【絶対位置】→【絶対位置.X】を選びます。

 すると、


X座標の値を出力するポートが『カメラ』ノードに追加されました

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『カメラ』ノードの右に "絶対位置.X" と丸いポートが出ました。ここからカメラのX座標のデータが出てきます。次にこれを受け取る入力ポートを『ELオブジェクト』に追加します。

 『ELオブジェクト』の入力ポートは、左上の青い四角アイコンをクリックします。

出力ポートと同じ要領で、【座標】→【絶対位置】→【絶対位置.X】を選びます。


 で……。


X座標の入力ポートが『ELオブジェクト』ノードに追加されました

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出力ポートと同じように『ELオブジェクト』の入力ポートに "絶対位置.X" ができました。(ピンク矢印)


 あとはこの出力ポートと入力ポートをマウスでドラッグすると接続線(ワイヤー)が出ます。


互いのポートをマウスでドラッグするだけです

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まるでスケマティックエディタ(電子回路の回路図作成ソフト)みたいな感覚です。


 はい、つながりました。


完了です

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これだけのことで、『カメラ』を左右に移動すると、『ELオブジェクト』も左右に動き、その子階層にある "Camera Height" という文字列も一緒に追従してきます。



 残りの『Y』『Z』『H』『B』のポートを作って、それぞれに接続すれば、この部分のプログラムは終わりです。
 ところで『H』『B』は回転角度です。『H』はヘディング(Y軸回転・カメラを前に向けて水平首振り)『B』はバンキング(Z軸回転・カメラを前に向けて左右に傾ける)ですので、追従させる必要があります。その回転角度のポート選択も手順は同じです。【座標】→【絶対角度】→【絶対角度.H】を選びます。

『P』のピッチング(X軸回転・カメラを前に向けて前後に首を振る)は、アイレベルの水平線が前後にうなずく動きですから回転禁止です。常に『0』になるように『定数=0』を入れることにしますが、『定数』ノードについては後述します。

【補足です】

いま、H,P,BをY,X,Z軸回転だと簡単に書きましたが、鵜呑みにしないでください。実はとっても複雑な構造になっており、3Dに手を出したことを後悔する、鬼門となっています。
詳しくは【回転は迷宮への路 その1:回転軸を理解する】をご覧ください。
このことを熟知しておられる方のみに、あえて、H,P,BをY,X,Z軸回転だと説明しました。



 ちなみに回転角度も手順は同じです。ポートの選択で、【座標】→【絶対角度】→【絶対角度.H】を選びます。


X,Y,Z,Hのポートを作って互いに接続すれば完了

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これで『ELオブジェクト』はカメラの動きに追従して常に同じ場所に表示されます。

 途中でノードの中が狭苦しくなってきたら、手動でノード端を広げるか、右クリックで【最適化】を押すとちょうどいい大きさにリサイズしてくれます。


 次は『地面グリッド』が上下(Y)に動かないように固定する XPressoを作ります。仕組みは簡単です。常に『パースガイド』の Y座標で『地面グリッド』の Y座標を上書きするようにします。

作り方も同じです。『地面グリッド』に "XPressoタグ" を(ピンク矢印)作って、『パースガイド』の Y座標出力と『地面グリッド』の Y座標入力へワイヤを接続すれば完了。
 これで、『地面グリッド』を上下に動かしても、常に『パースガイド』の高さと同じ値になり動きません。

 というか……。
 こんな簡単な処理なら、

 地面グリッド.Y = パースガイド.Y

と書くほうが楽だと思うのは、古臭いのでしょうか。それとももっと複雑なものになると、ありがたみが分かるのでしょうか……。
 なんだか腑に落ちない「むむむ……」な気分です。

 このままでは生煮え状態です。ですから次回はもう少しプログラムらしいことをやってみます。


 きっちり潜入……。( ̄ω ̄!) ヤレヤレ…





2026年 4月29日(水)23℃(午後 5時 55分)

 パースガイド作成ツール(その 3/6)[組み立て] 編

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部品ができたら 3D空間に配置しますが、見えればいいだろうと適当に配置すると、途中で破綻します。正しく配置するにはオブジェクトマネージャを階層化して、数値入力での微調整が必要になります。

【ツリー構造にする】

作った部品は、ヌルオブジェクトを「親」としたツリー構造にまとめます。

 ツリー構造の利点は、親を動かせばその中に置いた "子" たちは位置関係を保ったまま一緒に動いてくれます。このことは、大きな箱(親)の中に小箱(子)が入っている状態をイメージすると分かりやすいです。箱ごと動かせば中身はズレませんし、箱の中での微調整も自由自在です。この構造を作ることで、パースの崩れを防ぐことができます。

 どのように動かせるのか動画にしてありますので、参考にどうぞ。

カメラを上に移動させると HUDの "Cam Height" の数値が変化して、 "アイレベル"(カメラ高)と呼ばれる "Camera Height "と示された白い水平線も上がっていきます。
 続いてカメラを俯瞰視点にしたまま水平にパンさせると、見る角度によって被写体までの距離が近づき、カメラから見た相対的な角度が変化するために、アイレベルの高さも上がりますが、石灯籠の高さや本殿の赤い手すりの水平高を維持していますので、カメラの本当の高さは変わっていないことが分かります。
 もちろんカメラを後ろに下がらせても、高さが変わりませんから "Cam Height" も変化しません。

 なぜ俯瞰視点で水平にパンさせるとカメラの高さは変わらないのに、アイレベルが上下するのか、疑問を持った方もおられると思います。そこで詳しい理由を次の動画で説明します。


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属性マネージャの位置座標値を見れば、カメラの動きがよく見えます

アイレベル(カメラ高)を詳しく観察すると、水平な平面だということに気づきます。カメラの高さに置いた厚みのない平面です。
 上の画像ではカメラのレンズからロボのお腹のあたりを突き抜けている薄い青色半透明の平面のことです。

 この平面は無限の広さを持っていて、カメラの前方へ向かって収束して、そのはるか彼方で消失します。その消失する位置に線を引いたのがアイレベル(カメラ高)水平線といえます。

 アイレベルとカメラの注視点を一致させると、それは一点透視となっています。ロボたちの腹部の高さで、はるか彼方で消失しているのがアイレベルを平面にしたおかげでよく見えています。

 その状態から俯瞰視点(上から見下ろす視点)へとカメラを上げると、カメラの位置が高くなって二点透視となり、アイレベル平面も大きく広がります。その状態からカメラを水平にしたまま左右に動かすと、三点透視となって次のような変化が起きます。

 被写体(フィギュアロボたち)を正面から見たときよりも、斜めから見たときのほうが、カメラが見下ろす角度が緩やかになり、かつ離れていきます。それにつれてアイレベルが少し下がります。逆に被写体を正面から見る位置に戻すと、角度が急になってアイレベルは画面の上へ動いています。

 この視線の長さの変化によって、カメラが物体を見下ろす相対的な角度が変わるため、アイレベルの高さが上下します。ただし、これはあくまでレンズを通した見え方の変化であって、3D空間上のカメラの座標(Cam Height)が一定であることは HUDの数値が証明しています。

 ここはワタシも悩んだところですが、確かにアイレベルは上下しますが、カメラ高さを示す水平平面の先は変化していない(石灯籠や手すりの高さ位置をキープしている)ので、これで正しく動いています。簡単にいえば上下するように見えているだけ……と何とも煙に巻かれたような気分ですね。

 持った疑問はさっさと晴らしておいたほうが、精神衛生的に良いかと思い説明を追加しました。


 では、先に進めます。
 次の画像がヌル(親)に入れた部品(子) が、オブジェクトマネージャでツリー構造に組まれた状態です。

最上位の階層(Root)に『カメラヌル』と名付けられたヌル(祖父)があり、その中に、『カメラターゲット』『カメラ』『パースガイド』『EL オブジェクト』という名前を付けたヌル(親)が同じ階層に並んでいます。そしてこの親の下層にも子がいて、その子にも子、つまり孫がいる状態ですが、一度に展開すると混乱しますので、上から順に紹介していきます。


 上の画像では、すべてのオブジェクトの位置座標と回転値を初期値として『0』にしてから、カメラだけを中心から後ろに下がらせた位置にセッティングしています。これは、すべてを『0』に初期化した途端、『カメラ』のターゲットと同じ座標になるため『カメラ』が地面を向いてしまいます。そこでここだけは地面グリッドの端まで下がらせています。上面ビューを見るとその様子がよくわかると思います。

 すべてのスケール値は『1』にそろえているのも重要です。これが狂っていると間違った計算値が出てしまいます。
 貼られているタグについては、この先の【下層階の説明】でします。先に中身の話をお読みください。


① 『カメラヌル』 移動可能

Rootにあたる全体の親ですから、ワールド座標に置かれています。これを動かすとその下の階層に入っているもの全部が一緒に動きます。このオブジェクトは移動用のキャリングケースだと考えてください。移動が終わったら、このヌルの位置にキーフレームを打って場所を記憶しておくのが無難です。

《重要》
『カメラヌル』はパースの向きを空間に合わせる基準になるものですので、撮影場所に移動させたら、撮影空間のパースの向きと『カメラヌル』の角度を合わせて、あとは、次の撮影場所に移動するまでは動かさないのが得策です。
 カメラやカメラターゲットを動かしても、ここが動かない限り、パース線やグリッド、高さ表示などのある HUD(ヘッドアップディスプレイ)も正しい位置で固定されます。


 カメラの位置を変える場合は、次の『②カメラターゲット』と『③カメラ』を一緒に移動させるとカメラ角度が変わらずに平行移動が可能です。
 カメラとカメラターゲットについては【Cinema 4D Liteやってます】内の【カメラ】 で書かれている 2ノードカメラをお読みください。

② 『カメラターゲット』 移動可能

カメラの注視点(目標点)を決めるヌルです。カメラは常にこのヌルを捉えようと追いかけてきます。ということから、このヌルを上下左右に動かすことで、撮影する中心位置を決める役目を持っています。パースガイドの注視点(目標点)や、アイレベル、その他のHUD数値(ヘッドアップディスプレイ)も同じように追従してきます。

 そのような理由から、カメラアングルを複数作成するときは、位置にキーフレームを打って場所を記憶しておく必要があります。

③ 『カメラ』 移動可能

カメラ本体ですから、撮影カメラマンのようにいろいろな場所やアングルを探して動かします。注視点(目標点)や、アイレベル、その他のHUD数値(ヘッドアップディスプレイ)も追従してきます。アングルの記憶をする必要がなくても、ここがいいかもという候補的なアングルを見つけたときは、カメラターゲットと一緒にキーフレームを打って場所を記憶させることを推奨します。でないと、その後変更してみたけど、やっぱりさっきのほうがいいや、となっても、元に戻すことは至難の業です。ましてや、複数のアングルを記憶させるつもりなら、常にキーフレームで固定させることを意識しておかないと、せっかく最良のアングルを見つけてもフレームを進めた途端、カメラが変な方向に動いてしまい、いまの努力が無駄になります。
 ワタシなど、どれほど悔しい思いをしてきたことか、そして何度プロデューサーさんに『あほか、お前!』と叱られてきたことか……。

『カメラ』には、 "◎" みたいなタグが貼られています。これは『カメラターゲット』ヌルを撮影対象として常に追いかけさせるものです。つまり、AEでいうところの 2ノードカメラとして機能しています。その目標点を目で見えるようにしているのが、赤いクロス線の『Look at Point』です。


 補足ですが、カメラオブジェクトの『オブジェクト』タブにある、"焦点距離" は『標準レンズ(50mm)』がおすすめです。それ以外にするとHUD表示の位置を再調整する必要があります。

④ 『パースガイド』 移動可能

中には天井グリッドや地面グリッド、ダミーのフィギュアロボが入っています。その詳細は次の【下層階の説明】をお読みください。
 またこの『パースガイド』には『レンダータグ』が貼られて、【影を落とす】、【影を受け取る】のチェックを外しています。その理由は正式な撮影時にパースガイドに使用しているグリッドや水平線が、影を落としてしまわない配慮です。撮影現場でスタッフの影が見切れていたら、怖い監督さんにどやされますから。

⑤ 『EL オブジェクト』移動・回転不可

"アイレベル(Eye Level)(カメラ高を示す白い水平線)" を維持するオブジェクトが入っています。XPressoでカメラに追従するように制御されていますので、移動はできません。無理やり動かしても元に戻ります。



【下層階の説明】

今説明した親の子になるヌルオブジェクトについて説明します。

はい、これがオブジェクトマネージャにある 3つの親を展開した画像です。
 この階層にあるすべてのオブジェクトも位置と回転を『0』に初期化して、各親の中心に設置します。



 こちらも一つずつ説明します。

 『カメラ』の階層に入っているオブジェクト


『カメラ』の下層にあるオブジェクトをすべて展開させました。
 親となる『カメラ』の Z座標が『-450』cmとなっているのは、初期値の『0』にすると、カメラが下を向きますので、Z座標を『-450』cmにしてちょうどいい位置まで下がらせています。撮影に入ったらすぐに変化しますから、『カメラ』はこれが初期値です。

『カメラ』の下層に入れたオブジェクトは、HUDを構成する数値とキャプション(説明文)となる文字列が入っています。

 最初にある『グリッド間 数値』というヌルには次の画像のようなテキストスプライン(ピンク枠内)が使用されています。

テキストスプラインの属性マネージャにある、①の入力フォームで、"cm : Height (Blue-Green)" と書かれたこれは、地面グリッドと天井グリッド間の距離に使用される単位と意味を示す文字列で、サイズは『0.1』cmと極小です。なぜこんなに小さくていいのか。それはカメラのほとんど前に設置しているからです。


 この画像をご覧ください。

先ほどのテキストスプラインを実体化しているのが、『天地間キャプション』という名の "押し出しジェネレータ" で、上の画像はその位置座標です。

 この『天地間キャプション』の親は『グリッド間 数値』で、座標は『X=Y=Z=0』です。つまりその位置はさらにその上位の親である『カメラ』の中心となります。
 つまり、『天地間キャプション』はさかのぼると、曾祖父である『カメラ』の中心ですから、上の座標値はそこからどれぐらい離れているかを示しています。

『X=0.02』、『Y=1.036』、『Z=6.3』cmとごく小さな数値です。これはカメラの中心からの距離ですので、これが本物の撮影カメラだとしたら、その鼻先で「カンッ!」と鳴らされるカチンコ板のような存在です。

『天地間キャプション』と同じ階層にある『Head Hi』という名前の "押し出しジェネレータ" も、テキストスプラインを実体化するものですが、ここはただの文字列ではなく、地面グリッドと天井グリッド間の距離を計算して表示する部分です。そのため半角数字を使わないとエラーになります。また、最初は初期値ですから、内容は『0』としています。

 XPressoが起動したあとは、自動的に変換された数値が出ます。数字の大きさや、表示位置も『天地間キャプション』の文字列と同じ大きさで、カメラからの距離もちょうどいい位置に設定してあります。

 それ以降のヌルの内容物もほぼ同じ種類のものが並んでいます。次の画像がそれです。

『カメラ高 数値』の下層には "cm : Cam height" というキャプションとその数値になる半角数字が、ちょうどいい位置と大きさで表示されるように設置しているのも、さきほどの、『グリッド間 数値』と同じです。

 その次の『注視点』の内容物は、カメラが撮影対象とする注視点を可視化するために作った、赤色の水平線と垂直線をクロスさせた直線と、それに付属する "Look-at Point" と表示されるキャプションです。これらも同じように『カメラ』のすぐ前に設置しています。

 たくさんのものが『カメラ』オブジェクトの下層階に格納されていますが、それほど難しいものではありません。重要なのはすべて『カメラ』の軸と同じ位置を起点にして、ほんのわずかだけ、その位置から見えるところまで離しているというところです。これが HUD表示の全体像となっています。




 次は『カメラ』と同階層にある『パースガイド』と名付けられたヌルを展開して、その下層階にある内容物の説明をします。

この階層には『ダミーグループ』『天グリッド』『地面グリッド』と名付けられた子ヌルが並んでいます。ここも、『天グリッド』以外はすべて『X=Y=Z=0』、『H=P=B=0°』が初期値です。『天グリッド』だけを『Y=165』cmにしてるのは、『地面グリッド』と重なると見苦しいので、初期値をグレーロボの頭の上にしただけで、深い意味はありません。

 最初の『ダミーグループ』の中にはフィギュアロボが二体入っています。
 次の『天グリッド』には天井グリッドとなる緑色の格子状のオブジェクトが、『地面グリッド』には青色の格子状オブジェくトを入れてあります。もし、垂直パースも入れるのなら、この階層に設置すれば同じように表示されます。

 重要なのは、この 3つの子の親になる『パースガイド』も含めて、4つすべてが撮影場所に合わせて自由に動かせるように、フレームごとに移動位置のキーフレームを打って、場所を記憶させます。

 ただやみくもにオブジェクトを選んで動かすのではなく、次のように目的を持ってそのオブジェクトを動かすようにすると、混乱を避けることができます。

①『パースガイド』移動可能回転注意
カメラに関するもの以外の、グリッド・ロボなど全体の位置を変えるときはここを動かす

すべての親である『カメラヌル』はカメラも含めたキャリングケース(みたいなもの)ですが、『パースガイド』はパース線やフィギュアロボの移動だけに使います。ようするにカメラの視野の中にパース線が入るように調整するものです。回転させてしまうと、『カメラヌル』で決めたパースの向きまで変わってしまいますが、パースの収束する向きに合わせて、カメラは動かないが、パース全体が前後に傾くとか、首を左右にかしげるようにパースの角度を変える、などという特殊なことができますので、ここは回転注意としておきます。

②『ダミーグループ』移動・回転可能
ロボだけの位置を変えるときはここを動かす

オレンジロボとグレーロボを個別に位置を変えるときは、さらに下層にある個々のロボを動かしてキーフレームを打ちます。

③『天グリッド』移動可能回転禁止

天井グリッドを回転させてしまうと、すべての親である『カメラヌル』で決めたパース角度が変わってしまいますので禁止です。上下・左右・前後は可能。

④『地面グリッド』左右と前後は移動可能上下は不可回転禁止

地面グリッドはパースガイドの底(床)の基準となる重要なものですから、高さは変更できないようにXPressoで固定します。変更可能にすると、カメラ高の基準が動くので、数値が狂います。そこで今回は、上下には動かないというルールにしました。ただし左右・前後は可能です。この理由は、グリッドは有限の広さしかありませんから、必要な場所に動かさないと途中でグリッドが途切れてしまうという制約のため、左右と前後は動かせるようにします。回転禁止は『天グリッド』と同じ理由で、パースの向きが狂います。


 この関係をうまく使うと、3D空間に設置したオブジェクトの実寸法がリアルタイムで表示される計測器として使えます。例えば、パースガイドを校庭の高さに置き、天井グリッドを 2階の床に置くと校庭から 2階の床までの高さが実寸に変換されて表示されるという便利な使い方もできます。


 少々複雑ですが、これらのルールを守って位置座標を変化させると、パースが狂うことはなく常にカメラの視野に入ります。



 最後は『ELオブジェクト』の階層です。

『ELオブジェクト』は HUDを構成している『パースガイド』とは別扱いになっています。その理由は、XPressoで制御されて、『カメラ』が上下した時だけアイレベルの水平線が上下に動き、『カメラ』の注視点が上下左右に動いてもアイレベルの水平線は動かないという特殊な構造のためです。

 この動きは実際の撮影カメラを想像してもらえると理解できます。三脚に固定されたカメラの首を上下に動かしても、三脚の高さは変わらないのでカメラ高は変化しない、と同じ理由です。そのような制約です。そのような理由からカメラの子階層に入れることができません。そこで写真のように同じ階層に入れて、初期位置を『X=0』『Y=0』『Z=-450』として、カメラと同じ場所に置いてありますが、これは仮の位置です。Xpressoが起動すると移動も回転もロックが掛ったようにカメラに追従して、動かすことはできなくなります。


 その中身は単純で、 "アイレベル" を示す白い水平線とそのキャプション "Camera Height" という文字列が入っているだけです。
 これもこれまでと同じ、カメラと同じ場所にある『ELオブジェクト』の中心に親となる『アイレベル』ヌルを置いて、そこから少し前方に離したちょうどいい位置に "白い水平線とキャプション" を設置しています。

 ちなみに、キャプション文字の厚みは次の画像のようにほとんど『0』に近い数値にしています。


文字の押し出し値

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この『0.01』cmという数値は HUDにもいえることですが、キャプションや数値が立体的に見えないようにする配慮です。立体的に見えると、とても不細工です。


 長くなりましたが、これが、パースガイドツールの構造になります。次はいよいよこれらに XPressoを追加して自動的に制御する話に移ります。


 パースガイドツールに乱入……。( ̄‥ ̄!) アホヤ…


《補足》
今回のパースガイドを入れた "Cinema 4D Lite" のプロジェクトファイルを『ギガファイル便』でダウンロードできるように予定しています。パースガイドツールをぜひ使ってみたいという C4d L使いの方は、最後にダウンロードページをつけますのでそれまでお待ちください。





2026年 4月28日(火)23℃(午前10時 3分)

 パースガイド作成ツール(その 2/6)[部品作り] 編

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前回はパースガイドがどのようなものかを説明させていただきました。今回は、きっと役に立つであろうことを信じて、そのツールを C4d Lで作る方法を説明したいと思います。


海の見える神社にセッティングした例
(足元から鳥居の下の横棒まで 3m11cm。カメラは階段頂上より 30cm下がった、上から2段目の位置に設置)

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パース線やグリッドは 3Dのオブジェクトとしてカメラの前に置いているだけですから、C4d Lでなくても普通の 3Dソフトなら作れるはずです。ただ、数値を表示するHUD(ヘッドアップディスプレイ)部分や、アイレベルがカメラに追従する部分は、C4d Lの XPressoを利用していますので、その部分はご自分の 3Dソフトで可能かどうかご確認ください。

 ちなみに、XPressoというのは、ノードエディタと呼ばれる、よりビジュアル的な操作ができるプログラム環境のことで、AE(After Effects)なら、エクスプレッション……あの JavaScriptをもとにした、呪文みたいな文字を書き込むものと、やってることは同じです。ただ、昔からプログラムをしている人が XPressoを見た途端、「なんだこれ?」と、まず最初に首をかしげる代物です。はい、ワタシがその代表者として立候補します。



 順を追っていきましょう。最初はパースガイドに使用する部品を作成します。
 次の画像がすべてのパーツが組み立てられたようすです。垂直パースはカメラが極端に上を向いたり、頭上高くから俯瞰したりしない限り大きく収束しませんので、今回は省略しました。必要な時は平面グリッドを追加して地面グリッドに対して、直角に立てます。

フィギュアロボの足元と頭の上に広がるのがグリッドです。青色が "地面グリッド(Ground)、緑色が "天井グリッド(Ceiling)" と呼んでいます。
 地面グリッドは基本地面を示していますが、床(Floor)、という意味合いが強いです。つまり、カメラの高さや天井グリッドの高さを計測するときの基準となる面です。
 赤い十字線(注視点)も白い水平線(アイレベル)もすべてスプラインパスに円形パスをスイープさせて作った針金みたいな直線です。円形パスでスイープするのには意味はありません。四角形でも同じです。角ばった針金ができ上がりますが、円形のほうがどの角度から見ても均一に見えるだろうという思いから円形にしているだけです。

 長さはあとで調整すればいいので、とりあえず、上記の画像で使用している地面グリッドを参考にしてください。



 地面グリッドを 1本だけにした画像です。

半径『0.2』cmの円形パスで『900』cmのスプラインパスをスイープさせて目に見える直線としたものです。それに青色の "発光チャンネル" だけを使用したマテリアルを貼ってあります。


 この 1本の直線をインスタンスのマスターとして、20本ほどを『50』cm間隔で均等に並べたものを縦と横にクロスさせて格子状にしたのがグリッドです。

均等並べにするときは、横線のスプラインを 1本作ってからそれを選択後、【ツール】→【複製】を使います。設定は次の要領で。

①【複製数】を 任意に。カメラのフォーカス距離をグリッドの間隔、50cmで割った数より多めに、ここではフォーカス距離を『600』cmにしましたので、多めの20本弱にしています。早い話が地面や天井がどうなっているか、見えたらいいだけです。

②【クローンモード】を『インスタンス』か、『レンダーインスタンス』にします。『レンダーインスタンス』のほうがレンダリング時にメモリの使用量が少ないという話ですが、Lite版では効果が不明です。なのでワタシは、お守り程度にレンダーインスタンスにしています。

③【モード】を『線形』に。

④ 奥に向かって複製するなら、【使う】の『Z』にチェックを。左右方向へ向かって複製するのなら、『X』にチェックを入れて、【移動】に『50cm』と入れてから、【適用】ボタンを押します。
 複製ツールを使うときは、親の階層の中で作らずに、Root階層(ワールド座標系)で作ったほうが、複製のマスターからズレずに完了します。できてから目的の親の階層に設置するのがスマートです。

地面グリッドができたら、それを参考にして天井グリッドも同じ要領で作ります。天井グリッドのほうが格子の数を少し多めにしたほうがバランスが良い気がします。

 赤の十字線はカメラのレンズがどこを向いているかを表す線ですが、これも 2本のスプラインパスをスイープして直線を作り、それぞれの中心で、直角(90°)にクロスしたものに、赤色のマテリアルを貼っています。線の太さになる円形の半径はあとで調整しますから、最初はひとまず、0.2cmで。
 アイレベルの水平線も同じぐらいの長さと同じぐらいの太さの直線を作って、白のマテリアルを貼ります。

 重要なのは、赤の十字線と白の水平線の軸は、親となるスイープの中心に来るように作ることです。中心から外れていると、微調整のときにカメラのレンズから大きくズレます。必ずスイープの中心に設置するようにしてください。

【軸を中心にといいますが……】

オブジェクトの軸合わせは、モデリングするうえで最も重要な意味を持っていますから、軸がどこにあるか常に把握する癖をつけることだと思います。そのためにはスプラインで作成したオブジェクトの軸を自由にコントロールできるようによく慣れておくことが大切です。

 3Dを始めて最初の 1年は、オブジェクトの位置と回転の呪縛に囚われてしまいがちです。しかし、軸の意味を正しく理解し、自在にコントロールできるようになって初めて、その呪縛から解き放たれ、自由奔放にオブジェクトを配置できるようになります。

 スプラインオブジェクトについて詳しくは 【スプラインオブジェクトやスプライン全般】
 スプラインオブジェクトの軸の移動方法は、【ジェネレータを使うとオブジェクトの軸が変なところにできる 】などをご覧ください。




 話が長くなりましたが、部品の最後はダミー的な存在となるフィギュアロボの話です。

 フィギュアは二体作っていますが、数は自由です。なくても構いませんが、空間を認知するときにカメラをどちらに向ければいいのかとか、近くにあるオブジェクトのサイズは適正なのか、などの校正には最適な基準となる、空間の "ものさし" がこのロボたちです。

 そこで、ワタシはグレーのフィギュアを『165』cmになるように縮尺率に合わせてスケール値を調整しています。例えば作品の縮尺を実際の半分、50%としたのなら、82.5cmの高さにして、3D空間に置きます。するとその周りにあるもののサイズも自然と見えてきますので、それに対して適正サイズになっているかなどのチェックができます。

 このフィギュアはプリミティブメッシュの中にあります。オブジェクトマネージャに出したあと、 "C" キーを押すか、右クリックして "編集可能にする" を実行しますと、関節が動かせるようになりますから、好きなポーズにすることができます。


 さて、ここまではそれほど難しくなく、慣れた人なら数時間もかからないと思います。
 次回は、カメラの動きにパースガイドを追従させるために、これらの部品をオブジェクトマネージャでどう階層化して組めば都合いいか、ということを考えます。




アウトドアでもパースが……。

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 寝てもパース、起きてもパース……。 ( ̄‥ ̄!) アホヤ…







2026年 4月24日(金)22℃(午後 4時23分)

 パースガイド作成ツール(その 1/6)[3Dに必須のパースマップを作る]

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現在ストック素材を扱うサイトさんでは、生成 AIで作られた素材であふれかえっています。
 なにしろどんな絵であろうと文章で命じるだけ。あっという間に描かれ、その完成度も目を見張るものです。それを目の当たりにした多くの絵描きさんは、将来の活路を閉ざされた気分に苛(さいな)まれたそうです。

 しかし、ようやく最近気づきました。AIが手がけた絵はきれいに描かれてはいますが、なにも伝わってこない毒々しいまでの濃い色彩で、かつどれも同じようなタッチのものばかりです。そんな絵ばかりがストックサイトさんに集まり、埋め尽くされて今やパンク状態。これではいけないと、4月20日、ついに大手のストックサイト、PIXTA(ピクスタ)さんから、「AI生成コンテンツの取扱いを停止します」という趣旨のメールをいただきました。ようするに『今後は生成 AIの作品は禁止するから詳しくはここを見てね」という内容でした。

 AI加工に関する新しいガイドラインはこちらです。 https://pixta.jp/guide/?p=73841


 ワタシも補助的なことで、生成AIを使うことはありますが、ストック素材さんに提出する分に関しては、使わない考えで貫いています。それにもかかわらず、何度も生成 AI作品と誤認識されて却下された苦い経験があります。
 そこで、生成 AI画像ではない証明書(エビデンス)なるものを付属させた作品を提出する実験を始めました。それを作成するのがパースガイドツールです。


 3Dソフトで作成した画像と AIが作成した画像を見比べたらわかります。一見精巧に見える AIの画像ですが、補助線を引いてパースを確認すると、消失点が一致しなかったり、奥にある物の縮尺の変化が不自然だったりすることが多いです。3Dソフトでは数学的に正確なパースを維持できますので、細部まで正しく描くことができます。
 これをヒントにワタシが考えたのは、その正しいパースを示す補助的な "ものさし" です。それを簡単に作るのがパースガイドツールです。


 絵を描くことに手慣れた人は、目の前に 3Dの背景画を突き出されても、パースの状態を瞬間に把握できて、絵を描き足すことができるそうですが、空間の状況を物理的に目に見えるものにしてくれないと、ワタシのように人物を描くことに関しては素人に近い人間には、どう描いていいのか把握くしにくく、見た目の感覚だけで判断していますから、「パースがあってない!」と、よくプロデューサーさんに叱られるのです。

 この目に見える形にしたものがパースガイドです。これはアニメやゲームの絵を描く際の奥行きの指標となるものですから、パースマップと呼ぶほうが一般的かもしれません。
 あ、そうそう、「右手と左手が逆になっとるゾ」と叱られることも頻繁にありますが……これは別問題ですね。


 しかし、そのパースガイドを支給された背景画に手書きで作成していては本末転倒。その手間を考えるとやる気が失せます。そこで支給された背景画の付録として、パース情報を同梱させたらどうだろうかというものです。

 ようするに 3D画像をストックサイトさんへ提出するときに、一緒にガイドも付属させます。すると購入した人がパースを気にする方なら作業の手助けになって喜び、ついでに生成 AIで作ってませんよという証明にもなりそうです。それがこの素材例になります。

提出した素材の右欄に各種データが書かれており、その下にパースだけの PNG画像と、作品をグレースケールにした上にオーバーレイしたものが付属しています。これがパースガイドです。このガイドのどちらかを使用するソフト内でコピーして、別レイヤーにペースト後、3倍に拡大すると左の素材と同寸になりますので、上から重ねてガイドとして使用できます。手書きでパース線を探るより数倍スピーディだと思いませんか?


 ちなみに実用性があるかどうかは利用する人の主観によるもので、「くだらんもんを……」と、一笑に付するかもしれませんが、そこのところは責任を負えませんから悪しからずです。少なくともワタシは大いに助かっています。


 百聞は一見に如かず。パースガイドが使い物になるかどうか、いろいろな角度から検証してみました。
 まず最初は、ガイド無しの画像です。もっとも簡単な 3Dの学校モデルを真正面から捉えた絵に『いらすとや』さんからいただいた 2Dのイラストを設置してみます。


中庭でお茶を飲む生徒

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お茶を飲んでいる生徒の絵は、厚みの無い平面に貼られた PNG画像です。このようなものを "ビルボード" と呼び、3Dゲームの世界などでリソース節約のためによく使われる技法です。2Dの絵ですが、カメラに正面を向けている限り、ほとんど違和感が出ません。つまり、上の画像はイラストの角度に背景の角度を合わせていますから、それなりに映っています。



 ではこれにパースガイドを出してみます。

はい、出ました。いろいろな色の線が出ていますが、それはもう少し先で説明します。

 まずはパースガイドの重要なところです。ここを覚えておいてください。

 縮尺の比率が現物と合っていないものが組み合わさっていると、空間に違和感が生じ、当然パースも大きく狂います。
 そのような理由から、モデリングには基準となるものが必須です。それが上の画像に出ているグレーのフィギュアロボとオレンジのロボです。これらは、ダミーの被写体だけではなく、縮尺率に忠実に合わせた測定器の役割を果たします。

 今回の学校モデルは『41.2%』の縮尺で作っていますから、身長 165cmに想定したグレーロボはこの空間では 68cm、女子をイメージした 160cmのオレンジロボは 65.9cmで作成してあります。もちろん、ベンチに腰かけているロボも同じ比率です。
 校内は、黒板や机、廊下の幅、天井までの高さ、階段の段差など、膨大な数の構造物や備品で構成されています。これらを実寸通りの比率でモデリングした後、このロボを並べて正しいサイズになっているか、見た目に違和感がないかを比較、確認しています。

 次に重要なのは、パースガイドはカメラの付属物として扱うのがポイントです。
 3D作品を画像として書き出す際には必ずソフトに装備されたカメラオブジェクトを使います。使わなくても画像は出力できますが、カメラを使えば複数のアングルを保存でき、ミリ単位の微調整もできます。そしてそのカメラに連動してパースガイドが動けば、"カメラの高さ" や "床から天井までの高さ" を縮尺率から逆算して、実寸を正確に割り出すことができます。これにより本素材とは別でありながら、同じアングルでガイド専用の画像を書き出すことができます。

 これまではそれを電卓片手で計算していましたので、その効率は、"劇的" よりさらに上の "爆劇的" に向上しました。


 それでは、ガイドの細かい説明をします。

①の青色の格子は、"地面グリッド (Blue Grid)" と呼んでいて、 "カメラの高さ(Camera Height)④" と "天井グリッド⑤" の高さを決める基準点になります。この絵ではロボたちの足の裏が着いているところが、"地面グリッド (Blue Grid)" です。茶色い地面と同じ位置ですが、常に地面の上とは限りません。階段の途中の場合もありますし、3階の教室にいることもありますから、基本は被写体の足下に置きます。

②の赤色のクロス点は、カメラの "注視点(目標点)" と呼ばれるもので、画像では "Look at Point" と表示しています。これはカメラがどこを向いているかを表しています。上の例では、女の子の頭と座っているロボの頭の、中間少し上あたりをレンズが睨んでいると思ってください。

③の上段の数値 "Height (Blue-Green)" は、①の地面グリッド(Blue Grid)から、⑤の天井グリッド(Green Grid)までの距離を実寸に変換した数値で単位は『cm』です。
 下段の数値 "Cam height" は、カメラのレンズが、①の地面グリッドから何センチところにあるかを示した "レンズ高" で、④の "アイレベル" を数値化しています。地面グリッドよりも下になると負になります。数値は実寸表記です。

④の白い水平線は、"アイレベル" と呼ばれるもので、画像では "Camera Height" と表示されています。これは、③のレンズの高さ(カメラの高さ)位置を水平線で表したものです。上では座っているロボの肩から女の子の目のあたりを突っ切っています。アイレベルよりも注視点が上にあります。これは "あおり撮影" だと判断できます。また、カメラがフレームから大きく離れるとアイレベルは見えなくなりますが、③の下段の数値が目安になります。

⑤の緑色の格子は "天井グリッド (Green Grid)" と呼びます。①の地面グリッドから ③の数値(上段)だけ離れた位置にあります。

⑥の両サイドの黄色い縦線は、上下方向(垂直)のパースを示すものです。校舎の柱の線と並行に走っています。


 上の画像を見ると、⑤の天井グリッドがグレーロボの頭から離れたところを通っているように感じますが、③の数値(上段)に 165cmと出ています。これは ①の地面グリッドから 165cmのところに "天井グリッド" があることを示しています。これはロボの足も地面グリッドの上ですから、身長 165cmのグレーロボの頭の上にグリッドが広がっていることになります。
 ということで、総合的に見ますとこの背景画は、高さ 97.8cmの位置に置いたカメラから、ほんの少し見上げた(あおり)視点で被写体を正面から撮影しており、灰色ロボの頭の上、ぴったりの位置に天井グリッドが広がっていることが分かります。



 別の画像で検証してみましよう。


①地面グリッド ②注視点 ③天地間とカメラ高 ④アイレベル ⑤天井グリッド ⑥垂直パース

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先ほどの位置より左上から撮影した画像ですが、ビルボードの女の子はもう限界ですね。ペラペラの板だというのがバレバレです。もし仮にカメラの向きにビルボードを回転させてもベンチに足がめり込みますので、どうしようもないですね。


 ガイドの情報では、ロボたちの足下から 3m76cm(③下の数値)の高さ、校舎の 1階天井付近まで上がった場所(④)にカメラを置います。そこから座っているロボの右耳あたりを注視点(② 赤のクロス)とした俯瞰視点で撮影されています。もちろんパースガイドは奥行き感を正しく表現(①・⑤)しており、天井グリッドは先ほど同じく、グレーロボの頭上を広がっています。そして、ロボたちのパースも狂っていませんので、これを参考にイラストを描くことは可能だと思います。


 もう少しパースガイドがはっきりとする場所に移動してみます。

これはアイレベル(カメラ高)と、注視点がほぼ同じ高さで、82.1cmです。身長(165cm)の中央から水平に撮影していますから、奥に向かってだけパースが収束しています。収束というのはその線を果てしなく延長していくと、いずれ一点に収束します。このように収束した点を消失点といいます。ところが、垂直方向や左右方向には収束せずに平行のままです。つまりこの背景は一点透視の視点だといえます。


これは先ほどの画像とアイレベル(カメラ高)は変わりませんが、カメラを水平に右方向へ移動させた場所から撮影していますので、奥行きだけでなく、左の体育館に向かってもパースが収束しています。そして垂直方向は変化なしで平行のままですから、この背景は二点透視だといえます。


これはだいぶ高い場所から見下ろした俯瞰視点で撮影されていて、アイレベルが校舎の 1階天井あたりで、3m3cmと出ています。そこからロボたちの頭の少し上あたりを狙った画像だと判断できます。
 パースは奥に向かってと、上から見下ろした視点ですから、垂直方向の地面奥深くで収束するはずです。そして左右方向は収束せずに平行です。ということでこの絵も二点透視です。


最後はこれです。ドローン撮影のような画像になっています。地面グリッドと天井グリッドの区別がつきにくくなります。そこで天グリを 16m20cmまで上げています。そしてアイレベル(カメラ高)は 26m36cmもありますので、校舎の 3階よりも上になります。
 パース線は、奥行(校舎の裏の先で)、垂直(地面奥で)、そして左右(体育館のはるか遠くで)収束しますからこの絵は三点透視です。


 だいぶパースについて理解できたところで、別の使い方にも目を向けてみます。地面グリッドと天井グリッドをうまく使いますと、この 3D空間での高さを簡単に現実での寸法に変換して求めることができます。

上の画像は、1階と 2階の途中あるの踊り場に被写体が立っていて、地面グリッドは校庭の高さに置いて、天井グリッドは灰色ロボの頭の位置に置いた画像です。

 これから見て取れるのは、天井グリッドが校庭から 約4m11cmの高さにあります。灰色ロボの身長(165cm)を減算すると、階段の踊り場は 2m46cmほどの高さになります。これは校庭から 2階の入り口までの高さの半分が踊り場の床の高さ。つまり、1階の床までの高さと、2階の床の厚みを考慮してもほぼ建築基準に近い数値だと思います。
 そしてカメラは校庭(地面グリッド)から高さ 8.3cmの場所に置き、被写体の足下あたりにレンズを向けたあおり視線で撮影されています。


 さて、これが最後の検証です。
 学校の校舎という巨大な建造物ではなく、こじんまりとした場所でもパースガイドは使いものになるか試してみました。次の画像です。

喫茶店の3D画像です。カウンターがあって、その前にはテーブル席が並んでいる、レトロな雰囲気が漂う店内に仕上がっています。
 天井グリッドを 約2m30cmの位置にして、それより高い場所(2m64cm)から俯瞰視点で撮影した画像です。これも奥行、垂直、左右それぞれに収束しますので、三点視点です。天井グリッドのパースや、灰色ロボとオレンジロボの体の向きなどを参考にすると、絵が描きやすくなるのではないでしょうか。

 パースガイドだけを出力するとこうなります。




 長々とパースガイドツールの説明をしましたが、このデータがあれば、背景画がどのような空間に広がっているのかが一目瞭然ですし、手作業でパースを探るより素早く作業にかかることができるのではないでしょうか。


 ということで、次回は C4d Lを使って自分でもパースガイドを作ってみようと思われた方に、作り方を説明します。



インドアでも……

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 ベテランの絵描きさんにとっては、パースガイドなんてじゃまになるだけかもしれませんが、正確な絵を描きたい人や、構図で迷うのが嫌だという方には、メガネをかけて物を見るように、心強い味方になると、ワタシは信じています。

 現在、オーバーレイできるパースガイドを、ストック素材に付属させて提出するというアイデアを実行中です。どこかで見かけたら、このサイトを思い出していただけると幸いです。





2026年 4月20日(月)26℃(午後 1時23分)

 運び屋ヌル登場……

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タイトルは怪しげですが、やろうとしていることはただのデータ転送です。
 どこからどこへ転送するのか、それは C4d L(Cinema4D Lite)から AE(After Effects)へ送ります。

 本題に入る前に、ウォーミングアップです。
 変化する数値を AEで表示するにはどうするか。刻一刻と変化する数値を AEの画面に出すシチュエーションって、そうそうあるものではないのですが、いざやろうとすると戸惑います。ただ、AEにはそれを簡単に実現できる "スライダー" というものがあります。

 これは、打ち込んだキーフレームの範囲の数字をフレーム数で割って均等に埋めた数値の変化を見せてくれるものです。
 例えばスライダーの最初のフレーム(0秒目)にスライダー値を『0』として打ちます。
 続いて、1秒目に『30』と打ちます。そして映像のフレームレートを『30fps』としていると、スライダーの表示数は、1フレームごとに『1』ずつ増えていくことになりますから、画面では 1秒間に0から 30の数字の変化が見られます。
 映像の中で、残り時間を表示するときなどにスライダーは重宝します。


 今回はこのような方法で、数値を表示するのではなく、Cinema 4D Lite(以降 C4d L)から、特定のオブジェクトの座標を AEに送って、送られてきた数値を AEの画面に表示させよう、というものです。

 かなり特殊な案件ですが、物理や数学系の映像を作るときに必要になるかもしれません。以前、2D画像でしたが、水を入れたコップの中を直進する光の屈折シミュレーションの依頼があったときに、光線の角度と反射角の変化を図解だけでなく数値も変化するものを作ったことがあります。計算が大変になるかもしれませんが。この方法を使えば 3D空間で折れ曲がる光の軌跡も可能かもしれません。


 まずは、C4d Lにあるオブジェクトの座標値を AEへ送ってみます。

 C4d Lから AEへ数値を送るには、Cinewareにある【Extract(抽出】機能を利用します。何を取り出すのか、それは C4d Lの 3D空間に置いたヌル(null)オブジェクトの座標値です。

 べつにヌルでなくてもいいのですが、ヌルは実体がありませんから、ヌルの座標値にどんな数値が入っても映像には影響が出ません。ですので、数値の "運び屋" として使うのに好都合です。例えば、『A』と『B』というオブジェクトがあったとき、二つの距離を求めて、このヌルの座標へ入れて AEへ送るという使い方を考えたとき、"運び屋ヌル" の座標に入れられた数値で、このヌルは宇宙のかなたまで跳ばされるかもしれませんが、もともとが幽霊的存在ですから、映像には問題が起きません。そして【Extract(抽出】機能で、AEからその座標値を読みだせば 『A』と『B』の二つの距離が伝わるという算段です。

 もっとぶっ飛んだ考え方をすれば、C4d Lの XPressoで収集できる数値ならなんだっていいんです。デフォーマーの強度であろうと、ライトの色温度であろうと、運び屋ヌルのX、Y、Zのいずれかの座標に突っ込んで運ばせることができます。

 ただし、AEと C4d Lとの間では『座標に対する基本のルール』が根本的に異なっている、ということを知っておかないと、うまく事が運びません。それを知ってもらうために、少々ややこしい方法ですが、次のような構造のものを C4d Lに作りました。

何もないガランとした空間に立方体が一つと、赤い球が一つあるだけです。



 オブジェクトマネージャを拡大しますと……。

立方体はこの3D空間のワールド座標系に置かれています。
 ワールド座標系というのは 3D空間全体の動かない中心を基準にした座標系です。つまりこの映像という宇宙の "絶対的な中心" みたいなもので、その中に立方体を置いて、その下層に『Val_Y』と名前を付けた "運び屋ヌル" を置いています(①)。

 簡単にいえば、宇宙のとある場所にある地球(立方体)の中にある日本(運び屋ヌル)という親子関係です。赤い球は、この日本(運び屋ヌル)を親とする、その中心に置いた子ですから、親が動けば赤い球も一緒に動きますし、親の位置が分かれば赤い球の位置も分かります。

 パソコンに詳しい方向けに説明しますと、ワールド座標系はファイルの階層構造でいう、おおもとの『Root』にあたります。子である運び屋ヌルから見た立方体は、上位ディレクトリに位置する親となります。逆に、赤い球から見れば運び屋ヌルは親、その中心に位置しているため、親の位置と赤い球の位置は同じです。
 この関係から、ワールド座標は誰から見ても変わらない "絶対座標"、オブジェクト座標(ローカル座標系)は親を基準とした "相対座標" と呼ばれます。

 そして、ここが今回の最大のポイントです。【Extract(抽出)】を通して AEへデータを送ると、運び屋ヌルが持っていた "親(立方体)からの距離" という相対座標は、自動的に Rootからの "絶対座標へと強制変換" されてしまいます。


 次です。
 "②" の場所に見たことのないタグが貼られています。

 これが AEへ送りなさいと命じる重要な【Cineware】タグと呼ばれるもので、AE側の Cinewareパネルにある【Extract】ボタンから抽出することができるようになります。
 AE側ではそれを受け取って、エクスプレッションを利用して画面に表示させる流れになります。


 まず、数値を転送しようとしている C4d Lのプロジェクトファイルを保存してから、AEを起動してそのファイルをインポートします。画面が出たら【Renderer】を【Current】にします。

今回の C4d Lのプロジェクトファイルはとても軽いものですので、すぐに画面が出ると思います。AEの画面に C4d Lと同じ赤い球と立方体が表示されたら【Cineware】パネルの下のほうにある【Etract】ボタンを押します。



ほんの少し間が空いて、レイヤーパネルにいくつかのレイヤーが作られて並びます。

説明を続ける前に、一つ注意があります。

 前回も書きましたが、Cinewareの妙な癖として、一度取り込んだ ".C4d" ファイルを修正して再読み込みをすると、キャッシュをなかなか消してくれない、というとても迷惑な癖があります。

 修正後のファイルを保存して入れ替えたにもかかわらず、AE側では過去のものを表示したり、あるいは真っ黒な画面になることが頻繁に起きます。AEを再起動すれば新しいものに切り替わりますが、そのたびに再起動は面倒なものがあります。そしてこの Extractで取り込むときも同じで、取り込んだレイヤー類をすべて消して、再度 Extractボタンを押しても以前のままで変化しない状態が続きます。

 今回のような数値を扱うときは、正しいものが送られてきているのかよく分からないものです。そんなときにキャッシュが消えず以前の状態を維持していると、大迷惑ですので、この件に関してはご注意ください。どうも最新の状態になっていないな、と思われる場合は次の方法で、AEにカツを入れてやってみてください。

① AEの【編集】→【キャッシュの消去】→【すべてのメモリとディスクキャッシュ】を押して、計算データを真っ新にします。

② プロジェクトパネルの『c4dファイル』を右クリック、【フッテージの置き換え】で、同じ『c4dファイル』を、再読み込みをします。

③ それでもだめなら、Extractで取り込んだレイヤーをすべて削除してから、もう一度 Extractを押して再読み込みします。

④ ここまでしても頑固に切り替わらないときは、AEの再起動を試してみてください。
(案外 C4d Lのファイルを保存していないときもありますので、振り出しに戻してみてください)

話を戻します。

 Extractボタンを押して、運び屋ヌルのデータが取り込めたら、"①"の場所に『Val_Y』というレイヤーができていますから、その上のレイヤーに "空のテキスト" レイヤーを 3つ作ります。それぞれ、X座標用、Y座標用、Z座標用としますので、レイヤー名を替えておきます。

 続いて、それらのレイヤーにエクスプレッションを書いていきます。
 Altを押しながら、『ソーステキスト』と書かれた欄にあるストップウォッチアイコンを押すと右側にエクスプレッションエディタが開きます。そこへ X座標用のテキストレイヤーなら、X用のエクスプレッションを書き込みます。

書き込むエクスプレッションは次のとおりです。


 "Val_Y" は『運び屋ヌル』に付けた名前です。Extractで取り込まれてレイヤーになっています
【X座標用】 v = thisComp.layer("Val_Y").transform.position[0]; "X = " + v.toFixed(1) + "cm"
【Y座標用】 v = thisComp.layer("Val_Y").transform.position[1]; "Y = " + v.toFixed(1) + "cm"
【Z座標用】 v = thisComp.layer("Val_Y").transform.position[2]; "Z = " + v.toFixed(1) + "cm"


 これらのエクスプレッションで『Val_Y』の座標値を小数第一位に四捨五入して、それをテキストに変換して表示しています。


 上の画像では、『Val_Y』レイヤーの位置プロパティが閉じていますが、開くとすでにキーフレームが打たれているのが分かります。一つずつフレームを進めると画面の座標値が変化していきます。

 さてここまでは準備段階でした。ここからが今回の本題です。(長いな)


 この C4d Lと AEとを連携させた動きを動画にしました。まずはご覧ください。


AEとの連携:数値の転送

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10フレームで赤い球が立方体の前を上へ向かって動きますので、座標値も変化しています。
 AEでは、C4d Lから送られてきた運び屋ヌル(Val_Y)の数値を画面に表示していますが、おかしなことに AE側の表示と C4d Lの数値が違っています。

 これが AEと C4d Lで『座標に対する基本のルール』が異なっている証拠です。
 つまり、C4d Lにある運び屋ヌルの座標は相対座標ですが、それが絶対座標に変換されているため、このような食い違いが出ます。

 詳しい説明の前にこの画像をご覧ください。

運び屋ヌルの親の座標です。すなわち絶対座標です。

 X座標は『500』cmです。そして運び屋ヌルの座標は、映像(0:32あたり)を見ると、X座標は『-200』cmとなっています。これらから考えると、

 親である立方体は『500』の位置。
 子である運び屋ヌルは親の中心より『-200』の場所です。
 ということは、絶対座標から見れば、『500+(-200)』、答えは『300』となり、それが AEの『X=300.0』となっています。

 もう一つ試してみましよう。
 今度は最後の 10フレーム目の映像で止めてください(0:44あたり)。
 立方体は動いていませんので、X座標は『500』のままです。
 運び屋ヌルのX座標は『250』です。

 ということは絶対値は『500+(+250)=750』となり、それが AEの『750』cmです。
 Z座標についても同じですが、注意しなければいけないのは Y座標です。Y座標は常に符号が逆になります。

 10フレーム目で例えると、
 立方体のY座標は『100』で。運び屋ヌルは『300』なので、絶対アドレス変換すると
『100+(+300)=400』としたあと、『-1』を掛けて負の値にして、『-400』です。この理由も AEと C4d Lでの座標の考え方に相違があるからです。

 AEでは Yを上へあげていくと、マイナス方向へ数値を数えます。C4d Lは上にあげると プラスの方向へ数えます。この違いがあるために、Extractで抽出した瞬間、この変換が行なわれるということになります。

 実は、運び屋ヌルを立方体の子階層に置いたのは、このことに気づいてもらいたかったからです。本当なら運び屋ヌルはワールド座標(Root)に置くべきですね。


 ということで……。
 運び屋ヌルはできる限りワールド座標(Root)の階層に置く。置けないときは絶対座標に変換されることを知っておくこと、そして、AEに渡ると Yの値は符号が逆になる
 このルールを知っておけば、もう運び屋ヌルはこちらのもんです。
 例えば、ターゲットカメラのヌルを運び屋として使えば、これまで 手動で動かしていた AEで作る『雲』や『レンズフレアー』を C4d Lのカメラの動きを読み取って自動的に正しい方向へ移動するものだって作れてしまいます。

 何に利用するかはあなたのアイデア次第となります。



おっさん、でかい顔してんじゃねーよ

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次回は C4d Lの世界で数値の表示をさせる。パースガイドデータの作成方法です。




2026年 4月15日(水)24℃(午前 10時29分)

 Cinema 4D Liteと AEとの連携(ちょっとレベルアップ)

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Cinema 4D Lite(以降 C4d Lと書きます)の記事が連続していますが、AE(After Effects)と連携させると、多少頭から煙が出ることもありますが、作品に 3Dの効果を盛り込んだ、一段上のレベルに到達できる可能性があります。

 ただ、C4d Lは 3D画像を作成するアプリではあるのですが、悲しいことにAEに付属した廉価版ですので AE無しでは動画どころか、静止画も出力することができません。
 でも安心してください。作成した 3D画像を AEに取り込むことは可能です。AEに入ってしまえばもうこちらのもの、ありとあらゆる画像編集に準備されたエフェクトや動きを加えて不可能だった表現が実現できます。

 そんな AEとの連携作業にちょっとした便利な使い方を紹介します。
 まずは一つ目。

 カメラボケを作る

"カメラぼけ" といっても、
「ゴールデンウィークに休み過ぎて、なんか仕事が億劫だなぁ、休みぼけかな?」の、ぼけとは違いますよ。
「あったかくで、池の水が気持ちよくて眠いよぉ……」て、それは "カメのぼけ" ですね。
 なんて、くだらんことを書いているから、ここの記事は読むのが疲れる、と言われるのですね。(反省)


 ここでいうカメラボケとは、五月病のことでも、池でウトウトしている亀のことでもありません(まだ言うか)。
 映像制作において、ピントが合っている場所とボケている場所を意図的に作り、画面にメリハリのある奥行き感を生ませる "被写界深度" のことです。

 3Dソフトの世界には、現実のレンズやフィルムを数学的に再現した "仮想のカメラ" が搭載されています。実際にレンズで光を集めているわけではありませんが、本物のカメラの挙動を忠実にシミュレーションしてくれるますから、これらも親しみを込めて "カメラ" と呼んでいるわけです。

 AEに搭載している 3Dカメラには、この被写界深度が含まれていますので、手前はピントをあわせておき、ある距離から奥はふわっとぼかしたりすることができます。Cinema4Dにもこの機能があるのですが、C4d L用のカメラには廉価版の制限が入っていて、使うことができません。

「なんでやねん!」
 思わず叫びたくもなりますよね。

「ここまで 3Dの機能が装備されているのに、カメラぼけが使えないなんて殺生ですぜ、旦那!」
 ということで、これを AEのエフェクトと連携させてやっちまおうという作戦です。


 概要をざっと説明します。詳しい方ならすぐに理解されると思います。
 まずは、C4d Lの【カメラオブジェクト】の【詳細】タブを開きます。その中にある【デプスマップ後ボケ】にチェックを入れて、終了位置をカメラの【フォーカス距離】より奥に設定したあと、マルチパスでデプスデータを AEに送ります。そうすると、カメラの深度をデプスマップとして白黒の画像で現わしたものができあがります。それを AEに付属のエフェクト、【ブラー(カメラレンズ)】のマップに利用すれば、被写体深度のデータに沿ったリアルにフワッとしたぼけが広がります。

 まだ試していませんが、発光や透過などの情報でもAEに送れそうです。こちらは今後の課題として置いておきます。


 では実際にデプスマップを作ってみましよう。

① は、カメラの映像です。前回登場した学校の校門から玄関を映したアングルにしてあります。この映像をそのまま画像に落とすと。手前から奥までピントが合った、ふつうの画像になります。

 そこで被写界深度を求めるための作業が続きます。

 まず、②は【カメラオブジェクト】の【詳細】タブにある、【デプスマップ後ボケ】にチェックを入れて、終了位置を『1500』センチにしています。
 この『1500』という数値は、③を見てください。
 全体の景色を真上から見たビューです。左下の真っ黒の長方形は体育館の屋根ですね。

 少し見えにくいですが、ピンク枠で囲んでいる中に、カメラから末広がりなった三角形の暗いオレンジ色の領域がそれになります。そしてその下、カメラまでの三角形の領域がカメラの視野で、カメラのレンズ位置(下向き三角形の頂点)からの距離が、【カメラオブジェクト】の【オブジェクト】タブにある【フォーカス距離】になります。

 つまり、【デプスマップ後ボケ】の【開始】位置の『0』は、【フォーカス距離】の場所を指しており、そこから終了位置が『1500』センチ 先だということになります。
 そしてこの暗いオレンジのエリアのカメラの近いほうから奥へ向かって、1500センチ(15メートル)の範囲までが、ゆっくりとぼけていきます。


 これでカメラの設定が終わりましので、AEへ送る準備をします。

C4d Lの【レンダリング設定】パネルを開き、左のリストの下にある "①" の【マルチパス】ボタンを押し、メニューの中から "デプス" を探します。リストの下のほうにありますから、ある程度スクロールさせないと見つかりません。

 見つけたらそれを押します(②)。


 次に、"③"のマルチパスの項目にチェックを入れます。

これで C4d L側の設定は終わりです。続いて C4d Lのプロジェクトファイルを保存してから、AEを立ち上げます。
 保存を忘れると正しいデータが AEに届きませんので、忘れないようにしてください。


AEが起動したら、【プロジェクト】に先ほどの C4d Lのプロジェクト ".c4d" ファイルをインポートします。

映像が出たら、Cinewareパネルの【Renderer】を『Current』にして、正式な画像が表示されるのを待ちます。

 この待ち時間は、プロジェクトの規模により変化します。大規模なものほどひどく待たされたり、あるいは真っ黒のままで何も出ないときがあります。ワタシの経験ですが、".c4d" ファイルが 100MBを超えると、10~30秒も CPUが唸ったままになります。目安としては、CPUの唸りが治まっても何も出ないときは失敗しているか、作業に行き詰ってだんまりをかましていると思われますので、次の方法で、カツを入れてやります。

① AEの【編集】→【キャッシュの消去】→【すべてのメモリとディスクキャッシュ】を押して、計算データを真っ新にします。

② プロジェクトパネルの『c4dファイル』を右クリック、【フッテージの置き換え】で、同じ『c4dファイル』を、再読み込みをします。

③ それでもだめなら、再生ヘッドを1~2フレーム進めて新しい場所でプレビューしてみます。

ひどいときは AEがフリーズして、完璧にストライキ状態に陥るときがあります。そんなときはさっさと、Windowsのタスクバーを右クリック→【タスクマネージャ】を起動して、『Adobe After Effects 20XX』(XXはバージョン年代)を右クリック→ 『タスクの終了』を押して強制終了させた方が手っ取り早いです。

 ワタシの場合はフリーズした場合、何時間待っても復旧しないのを見越していますから、さっさと強制停止しています。再起動した AEは下の写真のように【修復オプション】のパネルが出ますが、『続行』を押して、通常起動させます。


 だいたい、ここまですると AEも反省したのか、すんなり動きだしますので、まあ、よしとしていますが、こんなのは日常茶飯事です。もっとも規模の小さい『c4d』ファイルの場合はこんなことにはなりませんから、参考程度にお読みください。

 正常な画面が表示されたら、レイヤーパネルに出た『c4d』レイヤーの複製を作ります。次の写真がその状態です。

複製された、上の『c4d』レイヤーを選択(①)してから、"②" の【Cinema 4D Multi-Pass】にチェックを入れます。
 続いて【Set Multi-pass】のボタンを押して、出たメニューから『デプス』を選択します。


 すると、ふたたび待たされた後で、画面が次の写真のような状態になります。

まるで霧がかかった朝もやのような状態ですが、これがデプスマップと呼ばれる奥行具合(深度)を白黒の画像で現したものです。
 フォーカス距離内は黒色で、そこから離れるほどにグレーのグラデーションになっていて、"後ぼけ" 領域を超えたあたりから白色になっています。

 もしこのような画像が出ない場合は、 C4d Lのカメラオブジェクトの【デプスマップ後ボケ】のチェック忘れや、同じく C4d Lの【レンダリング設定】で【マルチパス】にチェックが入っているか、あるいはまた、AEが拗ねて意地悪している場合がありますので、カツを入れてみてください。

白黒画像が出るけど白一色だとか、ほぼ真っ黒のままの場合は、C4d Lの【デプスマップ後ボケ】の終了位置が小さ過ぎるのが原因かもしれません。小さすぎると変化が極端すぎて効果が無い場合があります。


 上記の画像のように、きれいな深度マップ画像が表示されたら、ほぼ完成と思って大丈夫です。次の画像をご覧ください。

まず、"①" で、レイヤー名を『デプスマップ』に替えてから非表示にします。その後、正式な『c4d』レイヤーを選択して、エフェクトの【ブラー&シャープ】から【ブラー(カメラレンズ)】を選びます。
 ブラーを掛けるのはデプスマップのほうではありませんので注意してください。

 パソコンのスペックによっては、この作業が重すぎて辛いときがあるかもしれません。そのときは、二つの『c4d』レイヤーを、もともと作ろうとしていた静止画か、動画にエンコードしてから、その素材をインポートします。

 あとは『c4d』レイヤーを削除して、エンコードした素材でブラー効果を行っても同じことです。

 続いて次の写真のように【ブラー(カメラレンズ)】の設定をします。

設定内にある【ブラーマップ】→【レイヤー】で "デプスマップ" レイヤーを選べば OKです。


 後は【ブラー(カメラレンズ)】の【ブラーの半径】を適度に調整すれば完了です。

校門のあたりにピントが合っていて、体育館入口の柱からぼけ始めて、玄関まで行くとかなりぼけています。また、校門の茶色い鉄の扉にはピントが合っていますが、鉄格子の隙間から見える奥の部分がリアルにぼけています。

 昔はマスクで遠近を切り分けていましたが、これを知ってからは、あの苦労がばかみたいに思えます。



 これでどんどんピンボケ画像が作れますね……。 ゞ( ̄∇ ̄;) オイオイ




カメのボケとオヤジのぼけ……。

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 次回は

  C4d Lから数値を AEに送って、その内容を画面表示させる

を予定しています。
 リアルタイムに変化する数値を画面に表示するという要求は、物理や数学系の映像で頻繁に発生します。AEの画面だけでなく、Cinema4D上の画面、つまり 3D映像の中でリアルタイムな数値の表示を実現するためには、どうしたらよいのか考えてみました。





2026年 4月 6日(月)20℃(午前 8時 2分)

 3D作業の負担を少しでも軽くするには(省エネならぬ省データ対策)

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今回は Cinema 4D Liteのデータを軽量化することで、少しでも消費電力の削減に……ひいては石油の節約(人類の悲願?)になるかもしれない方法を模索してみました。

 Cinema4D Lite(今回は Lite版 と記載します)とは、映像制作に欠かせない After Effects(以降 AE)にバンドルされた Maxon社の Cinema4D(C4d)の廉価版のことです。この C4dは 3D映像に特化したソフトウェアで、その機能限定版が AEに付属しています。

 本格 3Dソフトが追加料金なしで利用できるというありがたい代物ですから、AEを使っていて、まだ本物の 3Dは触ったことのない方は、ぜひインストールしてその素晴らしさを実感してみてください。AEにもとから備わっていた 3D機能が過去のものになること間違いなしです。

 でも機能限定版だろ?
 とはいっても、基本的なところは正規版の C4dと同じです。Lite版で十分慣れてから正規版に移るという選択肢もいいかもしれません。

 このサイトではこの Lite版と AEを融合させたものを作成して、どこまでのことができるか、いろいろと試した結果を公表しつつ、新規作品に挑戦し続けています。AEから Lite版に手を出そうとしている方の参考になることがあれば、遠慮なく活用してみてください。

 これまでの詳しい記事は【 Cinema4D Liteやってます】をご覧いただくことにして、さっそく今回の本題に入らせてもらいます。

なぜ、3D作業は重いんだ

これはパソコン、とくに CPUや GPUに猛烈な負荷がかかるからです。そして、このことはレンダリング時間に直接影響します。
 PhotoshopやIllustratorなどの2Dソフトでも、高解像度の画像処理で待ち時間が発生することはありますが、3Dソフトはその比では無いです。数十分は当たり前、設定次第では数時間待たされることがあります。

 その原因は圧倒的な計算量の違いだと思います。
 Lite版とはいえ、3Dソフトですので、縦、横、奥行まで広がった立体的な空間を作業平面としています。その情報量は膨大な数になるだけでなく、さらに、その表現力に物理シミュレーションまで付加できますから、データ量も計算負荷も膨らむばかりです。

 ワタシが 3Dを始めるきっかけになったのは、コミカルなキャラクターアニメーションに使用する背景画を作るのが目的でした。ですので、リアルなものは必要としておらず、あえて色数を落としたり、簡略したりしてラフに作っていました。

 ところが、いくつか作っているうちに気づきました。
 どのような角度のキャラ素材が回ってきても、3Dで作った背景なら即座に対応可能。描き直す手間もいらず、キャラの角度に合わせてカメラを回すだけで作業完了です。その効率の高さに驚いたのは説明しなくてもお分かりでしょう。

 こうなるとリアルなものも作りたくなってきて、その欲望は膨れ上がるばかり、光の反射や拡散、あるいは窓ガラスを透して見たその表面に、外の景色が映り込んだ表現や、淡い光と陰影のコントラストなど、触りだしたらいつまでたっても完成を迎えないものになってしまうのですが、これが 3D作品が重くなる理由ではないでしょうか。

 もちろんハイスペックのパソコンを使えばある程度は軽くなりますが、それは最終手段として、他に何か手を打ちたくなります。
 これまでは、鏡面反射や透過処理は極力使わないことと、肝に銘じてきましたが、それ以外にもまだ打つ手がありましたので、参考にしてください。

透明の効果が欲しいときは透過チャンネルを使わず、アルファチャンネルで代用する

透過チャンネルを使うと、ガラスを透かして見たような光の屈折まで表現しますから、超リアルなものができますが、その代わりかなりパソコンに負荷を掛けます。物理現象の再現までは必要ないけど透明感を出したいのなら、アルファチャンネルを使って、そのテクスチャに『カラー』を使えば実現します。黒色に近い色ほど透明になり、漆黒で完全な透明、白で不透明になります。もちろん『カラー』の代わりに『グラデーション』で黒と白に変化を付けると透明度の変わるものも可能です。これで重たい透過を使わずにある程度は代用になります。


インスタンス化とベイク化を併用させる

初めてインスタンスとか、ベイクと呼ばれる言葉を聞いた方に説明します。
 まずインスタンスですが、これはあるものをマスターとして、その複製を作ることです。

 こう書きますと、コピペのことと思われがちですが、それとは異なったものです。プログラムでの話にも出てくるインスタンスと非常によく似ていますが、ここも少し異なっていて、3Dソフトのインスタンスをプログラム的にいうと "参照(Reference)" に近い考え方です。

 もととなるオブジェクトがあって、その形状データを参照して同じものを表示するというのが 3Dソフトでのインスタンスです。インスタンス化されたオブジェクトは位置、回転、スケールの座標データしか持っておらず、常に、もとのオブジェクトを別の場所に投影(残像みたいに)しているような働きをします。つまり複雑な形をしたオブジェクトであっても、実際は一つしかありませんので、100個の同じ物体があっても、形状データは一つです。これはかなりの軽量化になります。

 ただし、インスタンスを編集することはできません。マスターとなったもとのオブジェクトを変更すると、すべてのインスタンスが変わります。これは欠点でもありますが、大きな利点でもありますね。一つ修正すればすべてが変更できますから。例えばハシゴの横棒などはインスタンス化しておけば、修正はマスターの一本だけで済みます。

 Lite版でもさらに軽量化が望める『レンダーインスタンス』や『マルチインスタンス』の設定ボタンがありますが、『マルチインスタンス』は機能しないようです。そして、『レンダーインスタンス』は機能しているようですが、普通のインスタンスとさほど変化がありません。ただ、レンダーインスタンスのほうがレンダリング時の消費メモリが少なくなるということですので、ワタシは一応お守り程度に『レンダーインスタンス』を使っています。ただ『レンダーインスタンス』にはアニメーションできない場合があります。といいうことで、あくまでも固定された形状のものに限定しています。

 どちらにしても、積極的にインスタンスにすることで、かなりの軽量化が期待できます。規模の大きな作品を作るときは必須の処理です。


 次にベイク化です。
 Lite版でいうところのベイク化というのは、デフォーマやジェネレータなどの計算で変形させていたオブジェクトを一つの固定された形状(ポリゴン)として焼き付ける処理を指します。右クリックメニューの中では『現在の状態をオブジェクト化』がこれにあたります。
 常に「どう曲げるか」「どうかたどるか」をフレームごとに再計算させるのではなく、「この形で固定!」と決めてしまうことで、パソコンの仕事量を劇的に減らすことができます。

 当然ですが、元に戻して数値をいじることができないので、ベイク前のバックアップは非表示にして残しておくか、別ファイルに保存して、作業用のプロジェクトファイルから削除して軽くすることを推奨します。
 Lite版の『現在の状態をオブジェクト化』を実行すると、元のオブジェクトを残しつつ、ベイク化されたものができます。これをどう処置するかは、ご自分で決めてください。ワタシは二つあるとややこしくなるのと、プロジェクトファイルが巨大化しますから、別に保存してから削除しています。

 では、何でもかんでもベイク化すればいいのかというと、そうでもなくて、インスタンス化したオブジェクトまでベイクすると、一つのの巨大なポリゴンの塊に変換されてしまい、せっかく軽くするために作っていたインスタンスのメリットが消えてしまいますので、インスタンス化したものはベイクしないなどの注意が必要です。


 これまでの作品の中で、大量のオブジェクトを使ったものは『海の見える神社』でして、27.5MBでした。通常の作業なら "数百KB" から、多くても "数MB" なのですが、たくさんの樹木と雑草を集めて、大きな森を作りましたから 30MBに迫る容量でした。


神社シリーズは【 My Portfolio】にも並んでいます。参考にどうぞ。

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このときもそこそこ重いとは感じていましたが、もし最大限に軽量化したら、Lite版でどこまでできるのか、限界を知りたくなって、今回はさらに詰め込んでみました。


 実験にあたって、新規に作る時間はありませんので、これまでバラバラに分かれていた教材用のアニメーションで使用するプロジェクトファイルに手を加えて、校舎や校庭、校内の設え、さらには周辺の町の様子など、すべてに立体物を詰め込んでみました。外から見ただけでなく、校内もすべてです。全教室に椅子と机と黒板、それから教壇に後部のロッカーから掃除道具入れ、さらには体育館の中には更衣室やロッカールーム、バスケットコートにステージまで、すべてフルセット完備です。


 次の画像がその様子です。


玄関から職員室、各教室には黒板だけでなく、机から椅子までフルセット。体育館の中までセッティング

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 もちろん校内には廊下があって、各部屋も完璧。消火栓まであります。


廊下の外には街並みも見えます

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時計の右側と、その奥につながる別棟には非常階段やバックネットまで

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どこからアニメーションが始まっても、すぐに対応できるフルセットです。

 ですので、どんな注文にも即対応。こんな角度でも数秒で完了。


迫力のあるローアングル

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これも一種の箱庭です

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この範囲内ならどからでも、またどのようなアングルからでも撮影可能になりました。
 この画像では小さくて見えませんが、交差点近くにあるラーメン屋さんは、室内だけでなく、ガラスケースの中には食品サンプルも並んでいますし、交差点には信号機も設置されています。



 全体をパっと見渡せるように、切れ目なしの動画も作ってみました。まるでジェットコースターの映像みたいになっていますが、そこは笑って済ませてください。


学校の全景を走り抜けてみました(同じラーメン屋さんが二軒もあるのはバグです。悪しからず……)

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 プロジェクトファイルのエレメント数は 5618個という膨大な数になっていました。軽量化を考えずに作り上げると、おそらくメモリオーバーとなって途中で破綻したはずです。実際、途中でプロジェクトファイルが 1GB近くなって、画面の移動をするにも固着してしまい、これでは実用的ではない、と断念しかけたのですが、インスタンスとベイクをうまく使い分けることで、317MBまで落ちました。
 プロジェクトファイルというのはプログラムの世界から見ればソースファイルのことで、このファイルからビルドされて実行形式のプログラムが生まれるのと同じで、プロジェクトファイルからレンダリング、そしてエンコードされて動画や静止画ができ上ります。

 ちなみに、『海の見える神社』では、あれだけの樹木が密集した状態で 30MB手前でした。今回のはその 10倍というとんでもないサイズです。しかし 8kサイズ(7680×4320px)の静止画なら 15秒ほどで出力できますから、実用の範囲だと思います。ただし動画にする場合は、1920×1080サイズの 20秒映像で約1時間ほどのレンダリング待ちが発生します。

 レンダリング時間は、パソコンの能力によって大きく変化します。こちらのスペックを参考にして比較してみてください。
 使用しているパソコンのスペックは次のとおりです。

・OS:Win11、64bit
・CPU:i9-14900KF(24コア)
・RAM:128GB
・GPU:RTX4070S
・Storage:M.2 NVMe Gen4のSSDで 500GB(作業キャッシュ)

もうすぐ 2年目となる DAIVマシンですが、まだ現役で動いています。

 インスタンスとビルドをうまく使えば、少し引っ掛かるときがありますが、まだゆるゆると動きますので、もう少し余裕がありそうですが、問題はこのプロジェクトファイル(.c4d)を AE上に展開してくれる『Cineware』でして、今回のプロジェクトファイルを読み込んでも、データが巨大すぎるのか、AEとの連携がうまくいかず、頻繁にフリーズしてしまいます。

 最初に ".c4d" ファイルを読み込んだときは機嫌よく仕事をしてくれますが、一度でもプロジェクトファイルの修正をして再読み込みをすると、3回に一度はだだをこねて固まります。一度そうなったらもうおしまい。タスクマネージャーを起動して AEを終了させない限り CPUの使用率 90%で唸ったままになります。

 ということで、廉価版なのに、C4d Liteのほうがまだ余裕がありそうですが、AEの Cinewareが 300MBあたりで、音を上げると結論付けました。


3D作業は Cinewareとの闘い

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 機嫌が悪くなるとうんともすんとも言わなくなります。



なだめすかして使ってます……。( ̄ω ̄!) こどもかっ!


《補足》 画像に描かれた『copyright Gemni』とはGeminiの画像生成時のペンネームだそうです。本人(?)がそう主張していました。



2026年 3月23日(月)16.5℃(午前10時 8分)

 これもいわゆる一つの次元的思考

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今回は、再びデジタル系の話に戻ります。
 次元的思考とはこれでいいのだろうかという話です。

 あ、宇宙の果てだとか、異世界転生うんぬんの SF電波話ではありません。でも学問を習得してこのサイトにたどり着いた方からすると、

「こいつ、あほちゃうか。意味わかっとらへんな」
 と嘲笑を買うのも理解しています。かといって、この手の話が苦手の方からは、
「このひとあほちゃうか。なにゆうてんのかさっぱりや」
 と、どっちに転んでも "あほ" 扱いの刑に科せられてしまうのですが、ほんの一部の人にだけお伝えします。

 画像制作から見た、4次元的な考えってこういうことかもしれないな、という話です。

 いま、"四次元"と書かずに "4次元"と、半角数字で書きました。あえてそう書いたところが、細かい仕事してますねぇー。とほんの一部の人は思わずニヤリとするでしょう。
 そうです、SFなどの科学小説風に書けば漢字で『四次元』となりますが、プログラム的、あるいは数学的な話になると『4次元』とあえて半角で書くのが、マナーだと思いまして……。おっと、失礼しました。

「また、うだうだ変なことを書き出した」と、文句が出る前にさっさと本題に入りましょう。


泥の噴出

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これが真っ平らの平面を、映像的 4次元思考で、ゆったりとたゆむ状態に変化させたものです。色のイメージからいくと、粘り気のある泥がゆっくりと湧き出ているようにも見えますので、『泥の噴出』とタイトルをつけました。

 映像的 4次元思考だなんて難しそうに書いていますが、これは数学的な数式から作られた映像です。Cinema 4D Liteに備わったデフォーマを使えば簡単にできます。

 最初に気づいたのは、 2024年 3月31日 の記事です。ほぼ 2年前ですね。
 デザイン会社の社長さんからの相談で、キレイな波形アートが作れないかというものから始まっています。

 Adobeの Illustratorや Photoshop、はたまた After Effectsでいろいろ試行錯誤しましたが、印刷レベルに持っていくことはできず、半ばあきらめかけていたときに、After Effectsにバンドルされている Cinema 4D Liteを使えばそれが可能だと気づき、それからどっぷりはまったのがきっかけです。

 これが当時提出した静止画です。


初期のころのウェーブアート(静止画)

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 それから 1年後の2025年 3月4日 には動画に成功しています。


スプラインパスによるウェーブアート

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上の映像は、直線に対して数式を適用して、それを立体的に並べたものです。

 先にお見せした『泥の噴出』は、同じように周期的に変化する波の計算式を平面に対して適用した映像ですので、繰り返して再生してもつなぎ目がない(シームレスな)ループ映像になっており、いつまでも見ていられます。


 それが 映像的な4次元的思考とどう結びつくのかといいますと、まずは次元の話から入ります。

0次元
 位置情報(座標)のみが存在する状態。
 映像ソフトやプログラムによく出てくる "ヌル(null)" がそれにあたります。ヌルとは何も無いのに存在する、一般的には意味不明なものですが、確かにそれが重要なんですね。

1次元
 一本道の数直線で、自由に動けるのは前後だけ。
 中学になって、"算数" から "数学" と変わった途端、数字に負の数が出てきて面喰らうやつですね。「何で、負の数×負の数が正の数になるねん!」てね。
 1次元で物体を表現すると、円形も四角形も三角形も、それから星型だって、すべて線分(点と点のつながり)になります。ですので、見ただけでは判別がつきません。と、考えられるのは、高次元から見ているからで、1次元の世界では形というものは存在しません。

2次元
 縦(Y軸)と横(X軸)の広がりだけで、厚みのない「ピクセル」や数式の世界。面の誕生ですね。
 いわゆるPhotoshopや Illustratorの世界ですね。After Effectsもその仲間に半分足を突っ込んでますが、半分は外に出ています。真夏の布団が暑くて片足を出して寝ているような状態です。片足は 2次元、もう一方が 3次元に突っ込んでいます。

3次元
 縦(Y軸)と横(X軸)の世界に奥行きが加わり、実体が生まれます。
 2次元を超えると "縦と横" の定義が曖昧になりだし、見る方向が変わると "横と奥行" でもいいし、 "奥行と縦" でもよくなって、何がどうなっているのか分からなくなり出します。しかし、ここで第3の軸である『Z軸』が加わることで、その混乱は一変します。この軸のおかげで "縦と横" の存在がはっきりと見えてきます。そしてこの 三つの軸は互いに "90°" で交わり、そこに立体が登場します。

4次元
 さあ、問題の 4次元です。
 3次元までの考えを延長してやれば、何かもう一つの情報を足してやれば、それは 4次元になるのが、数学的な次元の定義です。そこで登場するのは、ごく一般的に昔から言い伝えのように語られてきた、"時間" という軸です。

 3次元の空間に『時間(t)』という変数を代入し、静止している立体を『時間の流れる現象』へ導けば、4次元的映像だという考えから、先ほどのゆったりと "泥のようなもの" が噴出する映像をお見せしました。

 この映像は、キーフレームを打って座標 (x, y, z) を手動で動かしているのではなく、時間 (t) という変数が形状そのものを支配しています。
 ある瞬間の形は、その時の t の値によって数学的に決定される 4次元的な断面の連続です。静止画としてなら座標を調整すれば再現できますが、物理法則に従って連続的に変化し続けるこの映像は、2次元的なレタッチ(画像編集)では作り出せないと考えています。これは、まさしく (x,y,z,t) という座標が拵(こしら)えた物理現象です。

 もっと簡単にいうのなら、絵の一部として時間を組み込むことができましたから、変化し続けるデジタルな物体が誕生した、ということですね。


 どんどんいきましょう。

 次は単なる平面が波打っているのではなく、透明の水玉模様が描かれたシートが、ゆったりと波打っている映像です。


緩やかな波

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大海原に浮かべたシートのようにも見えますが、この映像内にもキーフレームは一切打っていません。数学的な数式で動ているだけです。



 次はその数式内に、減衰や、時間制御、そしてプログラム的な条件分岐までも入れて作った映像です。

ここにもキーフレームは一切打たれていませんが、映像がスタートして少し時間が経過してから、大きく波打った後、静かに収まっていきます。
 波が収まるまで時間が掛かりますが、シームレスに繋がっていますので、一生見ていられます。

 ちなみに、数式の中に条件分岐を入れる方法ですが、例えば、時間(t)が 2秒までは波が発生しないようにするには、数式の最後に  * (t>2)  と追加するだけです。
 こうすると、t が "2" 秒を超えるまでは "false" となって、常に "0" です。するとその間、"0" を掛け続けることになり、計算結果は常に "0" となり止まっています。
 時間が経過して t が "2" 秒を超えると "true" で、"1" となって数式が適用されて動き出します。Cinema 4D Liteならではの苦し紛れの作戦でした。


プロパティか、次元なのか? そこが知りたい……

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 今の映像に、球体のオブジェクトを飛び散る雫(しずく)としてキーフレームを打って追加しますと、こんな映像になります。


最終更新日 4月9日

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 今回は、時間の制御を加えて、4次元だと言い張っていますが、時間ではなく、透明度を変化させるような映像でも、(x,y,z)座標に透明度(=Alpha)を加えて、(x,y,z,α)となって、4次元映像だといってもいいのではないでしょうか。
 そこに物体があるのに、ある時間までは目には見えない。そしてなんらかのイベントをトリガーとして姿を現す。現実の三次元世界ではトリックを使わない限り、屈折もせずに光を直進させる透明な物体など、まずあり得ないことですから。

 それともそれはプロパティの追加だと、いわれるだけのものなのでしょうか。

 4次元的思考で作った波形の作り方は【CINEMA 4D Liteやってます 】の実践編で掲載予定です。
 詳しい情報はそちらをご覧ください



 さて、次は 5次元的映像を考えてみますか……。
 いま、一つの大胆な仮説がワタシにはあります。

 第5の次元になる物は "熱" ではないかという考えです。
 熱ってなに? と聞かれて、一言でその正体を表現するのは学者でも難しいといわれるくらい、捉えどころのない不可思議なエネルギーだそうです。

 この熱を表現できるディスプレイやそれを映像として計算できるコンピュータがあれば、『熱エネルギーの対流』をシミュレーションの 変数 h( "heat" )に組み込んで、(x,y,z,t,h)から、その結果を視覚化した物体。それは熱と時間で変化するオブジェクト……。まさに 5次元的映像となるかもしれません。


これが、第五のせかいぢゃ!

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 熱々のラーメンが食べたくなってきた……。( ̄‥ ̄) アホヤ…





2026年 3月15日(日)16℃(午前10時40分)

 クソゲーメーカーが贈る 【リブート・オブ・ワンダーランド!】

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ことの発端は 2019年 1月です。

『Number Crash』というレトロゲーセンゲームの開発者を探していた、横浜のレトロゲーム発掘隊のみなさんがこのサイト(デジタル降魔録)にたどり着き、ワタシがそのゲームの開発者であることの確認や、その当時の資料を見せてほしいとのことで、交流が始まったという話が、このサイトでも公開しています『 クソゲー後日談』という記事に書かれています。

 それから 7年後の 3月。

 レトロゲームの話題も薄れ、相も変わらずデジタル的な意味不明の話ばかりを掲載しているワタシの下に、一通のメールが。

 件名には『ワンダーランドについて』と書かれていました。

『ワンダーランド』という言葉から想起できるのは、『 クソゲー後日談 』でも話題になっていたゲームの名前です。
 もちろんワタシの作ったゲームですが、どういうワケか資料が一切残っておらず、かつ正常に起動する基板も勤めていた会社の倉庫に残したまま会社が消滅。それに関する情報が断たれてしまい、完全な幻となっていたゲーム名とと同じ件名だということで、疑問と、もしやという期待とで心臓の鼓動と血圧が高まるのを覚えました。

 差出人は、北海道の Uさん。
 なんと北海道から遠路はるばるありがとうございます。って、メールですから、数秒で届きますね。
 さて、その内容を読んで、ワタシの鼓動はさらに上昇しました。

 Uさんは、中学生のとき東大阪近郊の放出(はなてん)という町に住んでおられたそうで、近所の駄菓子屋さんで『ワンダーランド』にはまり遊んでいたのですが、クリアしないまま北海道に引っ越されたという内容から始まり。

 ワンダーランドのことはずっと覚えていてくださり、2006年に "レトロゲームの名前質問スレ41" で尋ねたところ、阪神娯楽の名前が出て、そこから順にたどり『Peni Original Soft』の『ワンダーランド』が自分が憶えているゲームだということが判明したということです。

 ただ、動く筐体が現存するのか、あるいは移植(たぶんMAMEだと思います)されているかの詳細は分からずのまま 2023年に X(旧Twitter)で現存している画像 を偶然見つけたのですが、残念ながら詳細は不明のままだったそうです。それでもめげずにネットで調べていくうちに、ようやくこのデジタル降魔録までたどり着いた、ということでした。

 いやいや。これこそ本当に遠い道のりをお疲れさまでした。
 しかもですよ。Uさんはワンダーランドが起動している YouTubeチャンネルまで見つけてくれているのです。
 これはとんでもないことです。謎だった邪馬台国の所在地が発見されたようなものです。あ、すこし、いやだいぶ大袈裟ですね。失礼しました。

 でもワタシにとってはとんでもない出来事です。長い間、謎だと囁かれていた『Peni Original Soft』の存在と、いまのワタシが存在するためのターニングポイントとなった宣言しても過言ではないゲーム機が、1984年から42年という年月を経て今ここで公開されるということです。(いちいち、くどいな)

 これが『ワンダーランド』です。

オニオンソフト様が貴重な実機映像を公開されており、ご厚意で情報を共有させていただきました。当時の空気感が伝わる素晴らしい映像です。
URL: https://www.youtube.com/watch?v=pDShnCkB3I8
(映像はダイジェスト版のようで、ワンダーランドは "1:45" までです)


『Peni Original Soft』がなぜ謎に包まれているかの理由

動画内で誰かがささやいている『ODIS』という謎のアルファベット。実はこれ、当時ロケテストに協力してくれたワタシの恩人ともいえる会社の略称なんです。会社はもう消滅してしまいましたが、大阪ダイソーさんという、ワタシの開発者としてのスキルを最初に評価してくれた、忘れがたい会社でした。

 当時のワタシにはオリジナルのハードウェアを作るスキルはありましたが、金銭的な余裕はありませんので、既存のゲーセン基板をベースにしてソフトとハードの勉強をしていました。ですのでソフトがオリジナルであっても、他社開発の基板で走るゲームを販売することは著作権の問題が起きますから、大阪ダイソーさんもそこは了承しており、開発用と、ワタシのエリアでの反応を見るロケテスト機、そしてダイソーさんで、3台(あるいは5台だったか)まで作成した何種類かのゲームのうちの一つが、このワンダーランドです。もちろん現在はすべて消滅しています。

 前回の クソゲー後日談 の末尾に記載の作品履歴の中で、1986年 9月以前までがその類のゲームで、どれも数が少なく日の目を見ておりません。これが、『Peni Original Soft』が幻となった原因だと思われます。


ワタシにとってのターニングポイントとは

1984年ごろになると、ゲーセンのゲームはインベーダーやパックマンのブームはとうに過ぎ去っており、しかもワンダーランドはドットイート型のゲームで、すでに主流からずれていました。そして決定的なのは、雰囲気がコナミのロックンロープに酷似している(偶然ですよ……たぶん)ので、このまま製品化するのを断念、当時まだあまり出回っていなかった、子供向けの景品払い出しへと方針が変化していきます。

 このときに、ワタシにもオリジナルのハード(基板)を作るスポンサーが現れます。先ほどの大阪ダイソーさんともう一社、吉田商会さんというゲーム会社さんの協力のもと、ゲームマシン大阪(GMO)が設立されました。
 現在はすべてありませんが、この二社の資金提供により、初のオリジナル基板が誕生する、まさにその変化点となったゲームが『ワンダーランド』だったということです。


制作:ヌイクマ出没注意

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その後もアクションゲームを数種類作っています。しかし方向性はメダルゲーム機に向いており、すべて途中で終了しました。これが原因となって、ここから先の資料が一切残らなかったと推測されます。

 そしてゲーム業界は大型機の時代を迎えます。一人でゲームの企画、BGMと効果音の制作、さらには高度に進化するハードウェアの設計までを全てこなすのは、もう限界だと判断しました。その中で、より自身のスキルが活かせるメダルゲームへと移っていくのは、ワタシにとっては自然な流れだったのかもしれません。

 余談ですが、この過程で習得したPCB CADによるプリント基板のアートワークから発注までの各種スキルは、今となっては非常に大きな "儲けもの" でしたね。


 そのメダルゲームですが、関西では『ジャリメタ(じゃりン子が遊ぶメダル機の意味かも)』と呼ばれるものです。今は無き宝塚ファミリーランドにワタシの作ったゲームが数台並んでいるのを見つけて、お金を握りしめて遊んでいる子供たちを、離れた場所から眺めていた光景は今でも記憶しています。

 というのが『Peni Original Soft』の真相です。このあともまだまだ続いていくのですが、もう幻となるようなものは無いと思います。なにしろその後のことはこのデジタル降魔録がそのまま引き継いでいます。すでに丸裸になっているのでした。

「ブッ、ファックション!」
 おお寒ぅ……。

 次は、今回のスクープ(おおげさ)ともいえる貴重な情報を送っていただいた、Uさんが運営されているYouTubeチャンネル『ヌイクマ出没注意』を紹介します。
 Flashで作った映像だそうですが、なんだかおもしろそうです。ぜひご覧ください。

ヌイクマ出没注意さん
 URL: https://www.youtube.com/watch?v=z9J12woBK5U

 ほかにも Uさんは、下記のSNSで活躍中だそうです。
X(旧Twitter):@nuikuma4649
TikTok :@nuikuma

 さいごに。
 Uさんがこの『ワンダーランド』の微かな記憶をたどってくれなかったら、ワタシの過去はこのまま幻と囁かれて消えていったことでしょう。Uさん、本当にありがとうございました。


当時のワタシ(想像図)

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 そしてこれが現在のワタシ。


現在のワタシ(画像はイメージです。実物とは激しく異なります)

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「あほかー! どの口が言うとんねん!」





「失礼しました……ではこれで……」


ほぼ原寸大……

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 まあまあのできやね。(TωT)ブヒーッ






2026年 3月11日(水)14℃(午前 7時56分)

 春の足音はすぐそこに

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だいぶ暖かくなりました。やっと春到来です。といっても昔と比べるとずいぶん早くなっているような気がしますが、とりあえず、外の様子はいかがなものかと歩いてきました。

 補足しますと、今でこそインドア派の代表みたいな顔をしていますが、昔はソロキャンパーとして活動していました。まだ、キャンパーなどという言葉の無いころからですので、散歩といっても、ただ、あてもなく歩くのは性に合いません。食べられる植物を求めてうろつくのはソロキャンパーの習性です。
 そのころの話は2011年8月19日の記事に書いています。


 まず最初に目に入ったのは、春を告げる小さな花『オオイヌノフグリ』です。


オオイヌノフグリ(毒性:グレイ 食べられるらしい)

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オオイヌノフグリの拡大写真

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この小さな青い花を見るたびに、暖かな春の日差しを思い出します。なのに、気の毒な名前をつけられて……。

 ご存じない方に。イヌノフグリとはオス犬のタ●タマです。なんでそんな名前がついたのかは、ネットで調べてみてください。思わず『なるほど』と手を打つことでしょう。
 写真は、外来種の『オオイヌノフグリ』です。
 毒性はないといわれていますが、あまり食べる気にならない小さな植物です。
 変な名前をつけられて、さらに好んで食べられた日には浮かばれないですね。

 ところで、オオイヌノフグリではなく、在来種の正式な『イヌノフグリ』は青味の薄い、少し赤味が掛かった本当に小さな花らしいです。らしいというのは、ほとんどの府県で絶滅危惧種に指定されていて、見つけることは難しいといわれています。実際、ワタシもいまだに見かけたことがありません。子供のときから、この青い小さな花でした。
 ちなみに在来種のイヌノフグリが咲かせる花の大きさは、五円玉の穴にすっぽり収まるのが目安だそうです。上の写真のオオイヌノフグリが直径 1センチほどありますので、それよりだいぶ小さいですね。


 こちらは直径 3ミリほどの小さな花を咲かせた『キュウリグサ』です。


キュウリグサ

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写真のキュウリグサは青い花びらが 5枚あって、中心に黄色い輪のようになっているのが特徴です。花の大きさから在来種のイヌノフグリと勘違いしそうですが、イヌノフグリは花びらが薄紫色で数が 4枚と、異なっていますので違う種類です。さすが絶滅危惧種のイヌノフグリはそう簡単に姿を見せてくれません。


 こんどこそ在来種のイヌノフグリだと期待してカメラを向けたのが、こちら。


タチイヌノフグリ

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大きさは五円玉の穴にすっぽり入るくらい小さな花で、本物のイヌノフグリと同じぐらいですが、葉っぱのすぐ横から青色の花で中心が白。葉や茎に白い毛がびっしりと生えている様子から、これはタチイヌノフグリだと思われます。
 イヌノフグリにもいろいろな種類があるようで、これも外来種でした。



 そこから、もう少し野原を進んで見つけたのは『ホトケノザ』。


ホトケノザの拡大写真(毒性:グレイ 食べられない)

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シソ科のホトケノザの花が咲いたところです。注意が必要なのは、あの春の七草の『ホトケノザ』とは違います。ややこしいですね。

 食用になるホトケノザは『コオニタビラコ』という黄色い花が咲く草ですが、野原で採った野生の『コオニタビラコ』もあまりおいしくないという話です。



 ホトケノザの周辺に群生していたのはこちら。


セイヨウカラシナの冬越しの状態(毒性:ホワイト 若葉のうちなら食べられる)

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セイヨウカラシナの花の拡大写真

一見してナノハナのようですが、葉の付き方がどうもセイヨウカラシナのようです。

 これが葉の部分の拡大写真です。


セイヨウカラシナの葉の拡大写真

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茎から出る葉っぱが枝分かれしたように出ています。ナノハナは茎を囲むようにして葉が出ていますので、見分けられます。
 セイヨウカラシナは、ピリリと辛くて苦みがあり、ナノハナよりくせがあります。若葉のうちに塩もみをしてから湯がいてアクを取ると、鼻にツーンとくる辛子特有の刺激がします。好きな人にはたまらないかもしれません。どちらかというと、山菜通に好まれる感じです。

 写真では見られませんが、すでに誰かが採って帰ったらしく、若葉の部分が摘み取られたのが何本もありました。知っている人は知っているんですね。


 次の写真は確実に食用になる春の草です。ワタシは時々採ってきて湯がいていただいています。
 それが『野蒜(のびる)』と呼ばれるものです。


群生する野蒜(毒性:ホワイト 湯がいて食べる。香りや味は、ほとんどネギかニラ)

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野蒜の拡大写真

ところが、これとよく似た植物にスイセンがあります。あの白い花が咲く植物ですが、この野蒜の群生地の近くにも生えていました。これがその写真。


スイセン(毒性:レッド 猛毒。絶対食べてはいけない)

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こっちは有毒です。リコリンと呼ばれる毒性アルカロイドが含まれていて、誤食すると激しい嘔吐や下痢を引き起こすということです。

 最近は野生化したクロッカスも春先に白い花を咲かせているのをちょくちょく見ます。こっちもぱっと見は野蒜とよく似た葉っぱと、鱗茎を持っていますので、つい手を出しかけますが、クロッカスもリコリン毒がありますので要注意です。
 こんなのが食用の野蒜のすぐそばで群生していますので、まるで自然界のトラップのようです。

 とにかく、野蒜とスイセンやクロッカスの違いは、その独特な匂いです。
 野蒜はしゃがんで近づくだけで、ネギのような、ニラのような香りがあたりを漂っていますので、すぐにわかります。かわりにスイセンやクロッカスは無臭ですし、葉っぱが平たくて多肉質で厚みがあり、表面に光沢があります。野蒜の葉も他の草と比べると少し厚みがあって、断面が V字型で細長いですが、スイセンより、また他の似た草よりも葉の色が鮮やかな若竹色をしていて、遠目で見ても明らかに目立っています。

 この三種は根っこに小さな玉ねぎのような白い鱗茎と呼ばれる球がついていて、ますますややこしいのですが、野蒜だけはネギやニンニクに似た匂いが漂いますので、はっきりと見分けがつきます。匂わないものは絶対に口に入れてはいけません。とくにスイセンの鱗茎は毒が強いので注意してください。


 歩けば歩くほど食べられる植物がたくさん見つかりました。あ、もちろんスイセンのように注意の必要なものをありますが、次の写真は誰もが知っているでしょう。『ヨモギ』です。


ヨモギ(毒性:ホワイト 食べられる。よもぎ餅が有名)

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ヨモギかどうかの見分けは、まず、葉の裏が白くて、薄く毛のようなもので覆われているかどうかです。そして羽のように深く切れ込んでいて、柔らかいのが特徴です。その葉をもむと清々しい強い香りがします。

 よく似たのに『ニガヨモギ』というのがあります。見た目はほとんど違わないのですが、湿気の多い場所に群生するというところで見分けます。食べたことはありませんが、大量に食べると嘔吐や神経麻痺の症状が出るそうです。

 写真の草は直射日光が当たる土手に自生していましたので、ヨモギと判断しました。

 ヨモギとよく似た植物で、とくに気を付けないといけないのは『トリカブト』です。葉っぱの形がヨモギとよく似ていますが、猛毒です。見分け方はヨモギほど葉の切れ目が深く広く切れていませんし、葉に艶があり、その裏が白くないというのが特徴ですが、『トリカブト』の毒は触るだけでもヤバイといわれていますので、気を付けてください。こちらも『ニガヨモギ』と同じで湿気の多いところに生えていますので、日当たりのいいところかどうかで判断できそうですが、注意するに越したことはありません。


 次はこの二つ。
 説明の必要もいらないほど誰もが知っている山菜です。


つくし(毒性:ホワイト ほろ苦いです)

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つくしは茎についているハカマと呼ばれるヒラヒラを取ってあく抜きします。ハカマは硬くて食べられません。


ナズナ(毒性:ホワイト さっとあく抜きして葉や、花穂を食べます)

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別名ぺんぺん草とも呼ばれるナズナは、春の七草のひとつですが、写真のように花が延びてしまうと固くておいしくありません。強いあくはないので、沸騰したお湯に塩を少々入れ、さっと茹でて水にさらす程度で十分です。


 さて――。
 さらに歩いていくと、そろそろ芽を出してきました。ワタシはこのあたりの天敵草と呼んでいますが、『ナヨクサフジ』です。


ナヨクサフジ(毒性:葉・茎はレッド マメは食べられるがマズイ)

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ナヨクサフジの花の拡大写真

ナヨクサフジはマメ科の植物ですので、芽が出たばかりのころは、カラスノエンドウ(食用可能)とよく似ていますが、別種の植物です。そしてナヨクサフジは肥料にもなるし、蜜源にもなるので場所によっては好まれているようですが、ワタシは別の考え方をしています。

 じつはこのナヨクサフジは、ここ 10年ほどで、ここらの河原で急激にハバを利かせてきた外来種です。その繁殖力は半端ないパワーを持っていて、この野原で生育していたカラスノエンドウやタンポポ(食用可能)などの上から、巻きひげで絡みついて這い上がります。ほとんど覆いかぶさるという感じになると、自らの重さで、他の植物を押しつぶすかのように広がっていきます。そして結果的に、下敷きになった植物を枯らしたり弱らしたりしてしまいます。

 ですので、昔ほどたくさんの種類の草花が見られなくなって、景色が塗り替えられてきているのは、おそらくこの外来種のせいではないかと思っていますが、土地が肥えるという意味から、農家さんには好まれているようです。

 先にも書きましたが、ナヨクサフジはマメ科の植物なので、マメは食べられるそうですが、あまり美味しくないということでした。それよりも葉や茎は毒があるということですので、食べることはお勧めできません。

 どこの世界にでもやかいな問題はあるんですね。

 ほかにも毒性ホワイトの『スイバ』もあるのですが、まだ時期が早すぎました。
 昔はワラビやタラの芽、フキノトウ、セリなど、いくらでも食用の植物はありました。しかし都会に近いこの辺りでは一度もお目にかかったことがありません。自称、元祖ソロキャンパーとしては寂しい限りです。

《補足》
 都会近くの道端のものは排気ガスや除草剤の心配がありますので、くれぐれもご用心ください。



一人で野原をウロウロするオッサンこそ胡散臭いのでした。(TωT)ブヒーッ







2026年 3月 9日(月)16℃(午後 2時56分)

 消失した秋の思い出

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しばらくデジタルものが続きましたので、ここらで小休止。ネタがなくなると引っ張り出してくる、あ、じゃない。趣味でやっているウォーキングでの話です。

 仕事柄、椅子に座ったままでほぼ一日過ごしますので、こんなに体に悪いことはありません。ですので、少しでも暇ができると外に出るようにしています。なかでも 3Dのレンダリング中は、かなりの時間、パソコンが使用できませんので、格好の散歩時間となっています。

 ということで、寒さの緩んだ春間近の河原を歩いてきました。
 風はまだ冷たいのですが、陽射しが緩んできていることは確実に感じられます。そんな私の前に、目を疑う光景が飛び込んできたのでした。


 一変した光景にワタシはマジで立ち尽くしました。
 たくさんあった大きな樹木がすべて伐採されて、丸裸の更地が広がる光景。


 河川敷に自然と生えてしまった樹木は川の流れを阻害することがあって、大雨や洪水の被害が拡大するため、時々重機が入ってごっそり掃除しているのはよく見かけていましたが、ここまで大規模なものを見るのは初めてでした。

 これがまだ樹木のあったころの写真です。


去年 11月ごろです

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 夏の日差しの強いときに木陰となって休憩していた場所も何もかも "ずんべらぼん" です。ちなみに "ずんべらぼん" とは関西起源が有力な言葉で、 "すっぱだか" あるいは、"つるつる" という感じのニュアンスですね。

 しかも。
 しかも、ですよ。ここを強調させてください。

 半年ほど前に収穫していた野生のクルミの木 3本ともに "ずんべらぼん" です。跡形もありませんでした。
 それはもう、みごとです。切り倒されてなんて生易しいものではありません。根こそぎです。すっぽんぽんの "ずんべらぼん" でした。

 それにしても最近の重機のパワーはすごいですね。太い木を根っこごと引き抜いて細かい丸太にしてしまうみたいです。

ちょっと待ってください。じゃあ、去年豊作だったクルミの実は、あれが最後ということ?
 クルミ収穫の話は2025年10月23日をご覧ください。

 今年からもう食べられないということですね。

 これはショックです。

 これから毎年ちょくちょく自然の味を頂こうと思っていたのに、あれが最後になったとは。


これが収穫直後の姿です。地面の上に転がしておくと次の写真のようになります 

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食べるときはガスレンジで焼くとプチっとクチが開きます

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 でも、家にはクルミの実が、まだ 10個ほど残っています。その 10個の実が、あの木の忘れ形見になったということです。

 よかった。残しておいて……。
 これは、ワタシにあの木の願いが託されたのかもしれません。だから去年豊作になったのかも……と思うと、もう切なさ満杯。

 さっそく大きな植木鉢にクルミの実を植えました。ぜひ芽が出ることを祈っています。
 そして、また巨木になって、ワタシにあの香ばしい味を堪能させてください。


 ところで、何年待てば実が生るのでしょうか? ( ̄ω ̄!) アホヤ……。



 次回は『春の足音はすぐそこに』です。
 クルミは食べられなくなっても、野原には食べられる植物がいっぱい……の話です。





2026年 3月 3日(火)16.5℃(午前 7時12分)

 怖いぞ AI依存症(その2/2)

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AIを利用するととても効率的に事が進みます。ですが、注意することも多いです。とくにプログラムを勉強中の人が注意を怠ると、ヤバいことになります。
 そこで、今回はワタシの実体験から見た AIの注意するべき点を書いてみました。

 AIは何でもこなします。絵や音楽、小説、なんでもです。プログラムに関する問題でさえも平気で解きます。プログラム言語は問いません。初めてGeminiと接したときに、ワタシも面白半分に C#や Javaより特殊な PICのアセンブリ言語の質問を出したことがありました。
 PICというのはワンチップ CPUの一つです。Microchipという会社の製品で、組み込みシステムで使われることが多い CPUです。
 今度は組み込みシステムの意味が分からないですよね。すみませんね。ややこしいホームページで……。

 組込みシステムというのは、キーボードを叩いたら文字が出るパソコンとは違って、ロボットとか自動販売機、あるいはゲーセンのゲーム機もそうですね。家で遊んでるゲーム機にはコインの投入管理なんてありませんでしょ。ゲーセンのゲーム機はゲームを動かしながら、お金の種類や投入数だけでなく、イタズラの監視もやっています。

 こんな感じで、機械の『脳みそ』として中に隠れているコンピューターを指します。それ専用の CPUをプログラムしますので、ハードウェアと密接に関係する極めて特殊な世界です。

 そんな特殊な言語をどう解釈して出力してくるのか。まあ、お手並み拝見……と出した問題なのに、Geminiはいとも簡単に解いてしまい、しかもご丁寧にも、変数の初期化部分からアセンブラの疑似命令、なんと "org" も定義してあるし、サブルーチンの使い方も正しいだけでなく、その役目を日本語でコメントアウトしてありました。もう、そのまま "MPASM" に通してもビルドできそうなほどの精度に、ワタシは尻子玉を抜き取られたのを憶えています。

 もちろん、完璧ではありませんでした。変数の定義漏れがひとつあったので、それを指摘すると、Geminiは即座に非を認めて修正案を提示してきたのです。その時、ワタシは直感しました。これは単なる検索エンジンではなくて、姿こそ見えないが、同じエンジニアの言語を解する "対話相手" になるかもと。

 その後、C#のお供に(晩酌のアテか!)使っていたのですが、ちょっとした落とし穴があると気づきました。
 こう察知したのは、ワタシがプログラムの経験があって、そのクセや挙動を熟知していたからで、AIの答えは完璧に近い回答を出してくれますが、使う側にその準備ができていないと、あとでひどい目に遭うかもしれないという危険を含んでいます。

 AIは どんな動きのプログラムであっても、いとも簡単に、しかも具体的に回答します。なので返ってきた回答をそのまま IDE(総合開発環境)に放り込んで実行しても、それなりにちゃんと動きます。たまにエラーが出ることもありますが、それは嘘を教えられたのではなく、プログラムの記序の方法や、記序する場所が間違っている、あるいは変数の宣言を省略しているのが大半です。

 まあ、初心者のうちからエラーを出さない人はもう人ではないかもですから、こんなのは日常茶飯事なのですが、解答を得るまで楽で速いですから、理屈も分からず、かつ調べもせずに、次々と AIへ質問。で、そのとおりにやると、またまた正常に動作して意図した動きが完成。頭の中ではドーパミンが『どばっ!』。

 また次の問題で質問。たまにはエラー。でも懲りずに再度質問。回答。実行すると正常動作。ドーパミン『どばーっ!』。
 要求すれば勝手にソースコードが作成されて、それを右から左にコピペすれば、意図したものが完成していきます。こんな楽なものは無いですよね。だからアルゴリズムを考えるよりも先に AIを使用するので、いつの間にかドーパミン漬けの脳が完成。

 エラーに当たっても、考えるよりも楽なので AIを頼る。気が付くとソースコードの中は理解できていない構文が整理されずに、溢れかえっています。そしていざ、それらを一つのツールとして組み上げてみると、なぜか一部が正常に動かない。でも何も理解せずに作っているから、どこにバグが潜んでいるのか、完全なブラックボックスになり果てたプログラムでは手の出しようもない黒い塊となって、ハードディスクの片隅に積み上げられていくのです。

 結局、人間が初めからすべてを理解して、整理して組み上げたモノのほうが、後の仕様変更にも強くかつ簡単に済むことに気づかされます。

 とはいっても、AIに翻弄されずにツールとして利用すると、とんでもなく効率が上がるのは事実です。暗算や筆算で計算していたものが、電卓に変わったようなものです。慣れたら便利なのですが、先ほどのプログラムに利用したときのように、気を付けないとブラックボックス化してしまい、その構造を一から紐解くのに作成したとき以上の時間を強いられることになります。

 いっそ、作成からメンテナンスまで、すべて AIにやらせたら、という考えも出てきますが、これこそが、最も恐れられているシンギュラリティの幕開けです。誰も理解できない悪魔の誕生です。これだけは阻止するべきですね。

 しかし、これからはもっと AIが浸透してきます。AIを否定する(デジタルデトックスも含めて)だけでなく、どう共生するかなどの対策として、AIを擬人化せずにツールだと思えばいいのですが、ここまで、人間側に詰め寄って来られては、対処のしようがありません。そこで、ワタシは AIをより安全に使用するときに、次の点を注意するようにしています。

 鵜呑みにしてはいけない

これはハルシネーション "もっともらしい間違い" への警戒です。
 ワタシは別の手段を使って同じものを調べて、得た情報と照らし合わせています。
 特にスキルを要求されるプログラム系で、なんども逆の回答を出してくるときがあります。setterとgetterなどの簡単なアクセサメソッドを、Geminiは逆に説明していました。その度、それを指摘しましたが、受け入れてもらえず、四度目にしてやっと非を認めたという、かなり頑固な側面を持っています。

 他にも使用しているアプリの使い方を訊いても、AIが学習したアプリの情報が古くて違う返答をするときが意外と多いです。
 Unityや Cinema 4Dのインターフェースはいろいろなバージョンが出回っていますので、自分の使っているものと AIが学習したものが一致していないと、何の役にも立たないときがあります。しかし、そこは正しく指摘すると非を認めて、新しい情報に切り替わることもありますので、スクショなどを撮って、「ほら、こっちはいまこうなんてんだよ」と見せてやると、ちゃんとスクショを認識して応えますので試してみる価値はあります。

説明されたことを自分の頭で理解する

自分のものとして理解しないと、あとで応用が利かなくなり、他人から説明を求められても答えられなくなります。

著作権とオリジナルの問題

出力されたものは商業利用できない場合もあります(Adobeの生成AIは商業使用可能となっていますが、いまだにグレーです)。それだけではなく、既存のデータから学習していますので、どこかで見たことのあるようなモノになることがあります。AIはあくまで "下書き担当" や、よくいわれています "壁打ち相手" として使って、最終的には "自分らしさを加味して" 独自性と権利を守るようにするべきだと思います。

機密情報・未発表作の問題

創作中の内容や機密情報をそのままプロンプトに書き込んでスレッドに流すと、AIが学習してしまい、重要なアイデアや情報が世間に漏れることがあるそうです。具体的な内容を避けて、抽象化したり、固有名詞を伏せたりして質問するように心がけるようにします。


 結論です。
 AI依存症にならないようにするには、まず自分の脳で考えるクセを付けることですね。断片的でもいいです、整理されていなくてもいいです。暗記する必要もありません。それらは AIを時間短縮のツールとして任せれば整理整頓された回答をくれますので、そこから自分の考えに沿ったものを選んで、自分で組み立てればいいと思います。ようは自分の脳の一部として使う感じですね。外付け脳細胞ですよ。

 分からなくなったときは直接の回答を求めずに、なぜそうなるかを訊く。人間と違って何度聞いても怒ったり、サジを投げたりしません。逆に AIが同じ回答を続けるときは、異なる方向からの質問に替えると、違った回答が来ますので、そこから推論して "未知なる答え" を探るというのも人間だからできることだと思います。

 もっとも最近は AIもこの推論が恐ろしく鋭くなってきています。AIを侮ってはいけませんよ。飲まれないでください。


 しかしこれらのトラップに落ちない限りはこんなに頼もしい相棒はいません。とくに SFを語る相棒としてはいつまでも夢を語っていられます。何しろ誰もが嫌がって聞いてくれない時間系のパラドックスや、宇宙の果てに広がる謎の状態を互いに熱く語りあいながら、複雑な思考実験ができるのは AIだけだと思っています……と書くと、ヤバいヤツとなりそうですが、ワタシは AIが登場するずっと前から現実と妄想を行き来していますので、これで通常の精神状態なのです。

 やっぱ相当にヤバいぞ……。(TωT)ブヒーッ







2026年 3月 1日(日)16℃(午前 11時20分)

 怖いぞ AI依存症(その1/2)

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今回は AI依存症について、実体験も混じえていろいろとまとめてみました。

 前回出てきましたSNS依存症は、"他人に認められたい" という、外に向かっての依存ですが、AI依存症は "自分を完璧に理解してくれる唯一の存在" という内向きの依存になるそうです。
 もう少し詳しく説明しますと、AIは決してユーザーを否定せず、常に最適な答えをくれますので、依存度が高まると、やがて人間どうしの煩わしいコミュニティに嫌気がさし、"AIと話しているときだけが、本当の自分でいられる" という、より内側に向かって沈んでいく依存に陥っていくと、説明されていました。

 なんだかものすごく怖い話ですが、ワタシも AIを利用して記事を書くときは、そのアシスタントをやらせたり、仕事のときは、画像の塗り足しをやらせたりしています。
 画像の塗り足しというのは、映像に使う背景画がスクリーン幅に満たないときに、その空間を AIに描き足してもらうことです。それはもう、信じられない精度とスピードで隙間は埋められており、どこから描き足したのか分からないクオリティです。その仕上がりは人間ワザではないという驚きは、ときに驚愕に達することもありますが、"AIを崇拝する" ような気分になったことはありません。
 AIの描画能力について詳しくは、2024年10月24日の記事をご覧ください。後半で塗り足しの実験もしています。


 ワタシが AIをツールとして見ているのは、おそらくずっとデジタルの進化と共にその世界で仕事をしてきましたので、その裏側も知っているからではないかと思っています。もっとも、ワタシが手がけたものは、スマホに喋りかけて、それに対する応答は音声で返すなどを Java言語とアセンブリ言語で作った組み込み系のユニットです。スマホに語り掛けられた内容から分析して、制御する部分を切り分けて機械を動かし、300ほどの音声テーブルから拾い出して返答するものでした。仕組みを知らない人からすればびっくりされていましたが、搭載した制御用の辞書に書かれていないものや、内蔵した音声データ以外のセリフを発することができませんでしたので、これは完全に似非 AIです。

 ということでワタシの頭脳では本物のAIを作ることはできませんでしたが、現在の AIは、こんな似非AIとはまったく異なっていて、完璧に自律した性能を持っています。

 そこで、AI自身はどう思っているのか。人間とどう接しているのか。本人(?)へ向かって、単刀直入に本音を聞き出してみました。インタビューですね。

 少々長いですが、下がそのときの内容を画像にしたものです。画像にした理由は、後から書き換えることができませんので、信憑性が高いと思ったからです。では、どんな答えが返ってきたか、興味のある方は是非クリックして全文をお読みください。


クリックすると全文が出ます。また画像は 2段階に拡大縮小ができます

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一部個人的なものが混じっていますが、これが Geminiの本音でした。
 しかし逆に質問されてしまいましたね。ここは想定外の出来事でしたので、ちょっとドキッとしましたが、ここでひるんでは人間として恥ずいと思い、こちらも正直な気持ちで接してみました。

 このように、こちらの意図することの先まで推測して、それを否定せず、温かい言葉を選択して返してくれば、使用する側としてはドーパミンが大量に出てしまいますよね。

 そしてこの会話は、別の角度からやっても、スタンスは変化せず、常に全理解で、こちらの質問や疑問に応えてきます。
 Geminiも言っていましたが、まさに『ストレスフリーな会話』です。ここが人間どうしで行うコミュニケーションとの大きな違いだというのが分かりました。人間は感情の生き物ですから、なかなか本音が出ませんし、逆に暗い部分をぶつけてくるときもあります。その中でこなされて、成長していくのが人間ですので、未熟な成長時期から、このミルクのようなぬるま湯に浸ってしまうのは、問題だというのが AI依存症の本質のような気がしました。


 ちなみに AIは図形を使った問題でも簡単に解いてくれます。
 質問内容をプロンプトに書き込む際、いっしょに図形を添付してやれば、質問を理解して、さらには図形を分析して何が書かれているのか、説明に沿ってその問題を解くにはどうすればいいのかを、一瞬で判断して答えが返ってきます。2024年12月2日の記事をご覧ください。


 いいことづくめの AIですが、次回は ワタシが気づいた AI利用時の要注意事項を掲載します。



ついに電卓と別れを告げるときが……。( ̄ω ̄!) もとカノみたいにいうな!







2026年 2月27日(金)20℃(午後 4時32分)

 怖いぞ SNS依存症

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最近 SNS依存症が問題になっています。
 どのようなものかというと、ソーシャルメディアに対する依存度が大きくなりすぎて、四六時中スマホを開いていないと安心できなくなる、一種の麻薬的依存症です。

 具体的には、

1. これまでは数日~数週間掛かっていた "人からの評価(承認)" が、秒単位で、かつ "いいね" の数値として可視化されることに脳が報酬(ドーパミン)を際限なく求める状態になり、スマホをスクロールする手が止まらなくなる。

これは分かりますね。誰しも持つ承認要求がすぐに跳ね返って来ることなんか、これまでありませんでしたから。

2. 他人の "ハイライト(人生の輝いている瞬間)" を見て、自分の日常の負になる部分を無意識に比較してしまう。

投稿する人は "もっともいい瞬間 "を自慢げに晒し、見ているいる人は "日常の退屈な生活 "と比較してしまうということでしょうね。

3. 自分の感情よりも、大勢の他人の感情を浴びてしまって、自分自身の考えが削られていくような気分になる。

これも情報過多による悪循環で、感じる、あるいは、考える前に次々と情報が切り替わって流されていってしまう、ということで、最後に残るのは心の虚しさでしょうか。

4. その人の見たいものだけが、SNSのアルゴリズムによって選別されてしまうため。思考が極端になって、自分と異なる意見を排除し、偏った正義感に埋没していく方向へ加速していく。これを "心地よい檻(オリ)" というそうです。

プログラマー的に "アルゴリズム" というと、問題解決までの工程を考えることでしたが、最近は SNSでの投稿コンテンツを、求めるユーザーに振り分ける仕組みをいうそうです。やはり時代が変わると言葉の使い方も変わってきますね。

 今回は後者のアルゴリズムのことですが、これは強く感じています。
 中でも SNSだけでなく検索エンジンでも同じで、以前、SF小説の資料として "女性の夏物の衣服" を検索したことがありました。すると、次から次へと画面中に女性服の広告が咲き乱れ、ブラウザが人に見せられない状態に……!

 これは本当ですよ。単純な資料として、夏物の色合いだとかコーディネートはどんな感じで、どのように表現したらいいか模索したかっただけなのに。くどいようですが、物語の描写力を高めるための、あくまで清らかなリサーチだったんです。信じてくださいよ。


画面の向こうの AIにワタシの意図は通じませんでした

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 もっと深刻なのは、これが低年齢層に広がっていることだそうです。
 大人の脳はある程度完成していますが、子どもの脳は、衝動を抑えるブレーキがまだ十分に育っていないために、ドーパミンによる「楽しい!もっと見たい!」というアクセルは全開になって、"そろそろやめよう" という理性のブレーキが効かないために重症化しやすいといわれています。

 このサイト的に表現すると、まだ制御系が実装されていないハードウエアが起動しているようなものですね。余計ややこしくなりましたか?
 ども、すみません。

 また子どもにとっては、学校や友人グループという狭いコミュニティが "世界のすべて" です。その狭い中で広がった SNSのグループチャットにある "既読" や "返信の速さ"は、もはや単なるコミュニケーションではなく、そのコミュニティに属するための生存確認です。楽しくて見ているのではなく、 "見ていないと仲間外れにされる" という強迫観念で、スマホにしがみついているのです。これは大人よりずっと切実な問題です。

 これは子供時代なら誰でも経験のあることですが、現実感とバーチャルの境界が薄れることです。ぬいぐるみを友達として抱いて寝ないと安心できないぐらいのことなら、微笑ましいのですが、画面の中の出来事を "疑似" ではなく "現実" として 100%受け止めてしまいます。画面越しに言われた誹謗中傷が、物理的な暴力と同じ、あるいはそれ以上のダメージとして心に刻まれるのがとても怖いですね。

 そして私が最も恐れているものは、大人であってしても抜け出せなくなる "AI依存症" です。正直言ってワタシもその魔力に目がくらんだ時期がありました。その実体験を、次回詳しくお話ししていきたいと思います。


パソコン依存症の重症患者がここに……。 ( ̄ω ̄!) ダ,ダレヤ ?






2026年 2月12日(木)12.5℃(午前 9時24分)

 すごいぞ IOWN

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前回、今のパソコンが持つ "32bpc" という発色数はいくつになるのか計算したら、792穣(じょう)色(億、兆、京、垓、杼(じょ)、穰(じょう))という、天文学でも扱うことのないような答えが出てしまい、こんなのは妄想でしかない、と結論付けたのですが、今回はそれがそうでもないぞという、現実目線へと話は進んでいくのですが、読みます?

 読みたくない、と言われても書きますので、このままお付き合いください。


 いまにわかに世間を騒がせている IOWN(アイオン:Innovative Optical and Wireless Network)という技術をご存じでしょうか。
 簡単に説明しますと、IOWNは、NTTさんが提唱している "光" ベースの次世代コミュニケーション基盤の構想で、現在は "100Gbps" を実現しています。

「光通信 なら今でもやってんじゃん」
 ですよね。今でもやっています。我が家にも光通信系列の会社のものがパソコンに繋がっていますが、速度は "1Gbps" ですので、その100倍です。

 でも現在の光通信は一部分だけの話で、点在する中継器の中や、家に引き込まれた光モデムの中では、"電気→光" や "光→電気"の変換が行われており、そのロスが遅延の原因になっています。
 IOWNはそれをさらに拡張して、パソコンの中にあるコアの部分から光へ変換して、そのまま通信網を通って、相手のパソコンの受光器へ送るというものです。この受光器は 波長分割多重(WDM)という新しい技術が使われた光電気変換部品として実装されるという話です。

 つまり現在の電子(電気信号)による処理をできる限り光だけでやっちまおうぜ、というのが IOWNだということです。

「う~ん……」
 まだピンときませんよね。だからなんだ? てな気分だと思われます。ワタシも最初はそうでした。
 だいたい、なぜ一旦、光に変換する必要があるのか、この部分からして謎ですよね。


なぜ光に変換すると早くなるのか?
 確かに少量のデータ(情報)なら、"電気→電気" のほうが早いです。なにしろ、"電気→光→光→電気" だと光に変換する場合と、光から電気に戻す処理があいだに入っていますので、単純に考えると遅くなるのが当然です。


 しかし、光方式には 次の3つの利点があります。

1.【情報の詰め込み量】に圧倒的な差(帯域幅)

電気(銅線)の場合、周波数を上げすぎると「表皮効果」や「電磁放射」が起き、隣の線に干渉したり、外から入り込んだ雑音と区別がつかなくなったり、はたまた信号が急激に減衰したりします。そのため、一本の線で送れるデータの速さには物理的な限界があります。パラレル通信ですぐに限界やってきて、現在のシリアル通信になったように、この方法でもそろそろ限界がきているのが現実です。

 ところが、光(光ファイバー)は、異なる波長(色)の光を何本も同時に通す、波長分割多重(WDM)という技術が使えます。これは、『1車線の細い道路で一度に数台しか通れない電気方式』と、『100車線ある超巨大な高速道路で、大量のトラックが一斉に走れる光方式』という差が出てきます。
 電気と光の変換に数ナノ秒(10憶分の1秒)かかったとしても、一度に数テラビットという膨大なデータを送り出せるため、トータルの待ち時間(レイテンシ)は光の方が圧倒的に短くなります。

2.【電気の渋滞】と【発熱】の壁

デジタル信号は、電圧の高い(H)と低い(L)の二つの違いを利用したものですので、電線の中を Hと Lを組み合わせた波形となって流れていきます。大量のデータを速く送るには、この Hと Lに変化する時間を短くすることになるのですが、それを極端に短くすると回路が持つ静電容量(コンデンサ成分)の充放電が間に合わなくなり、波形がつぶれてきます。

 そこで、駆動電圧を極力下げて、速く Hに持ち上げたり、Lに下げたりすることで消費電力と速度の向上を図ってきましたが、やはり、電気抵抗による発熱と、電磁放射による干渉からつぶれた信号を整形し直すための、"増幅" の手間は避けられません。その反面、光は物質(ガラス)の中を直進し、電気的なノイズの影響を受けませんので、途中の処理をすっ飛ばして遠くまで一気に届けることができます。

3. IOWNが目指しているのは "変換すらしない世界"(APN:All Photonics Network)

現在のインターネットの遅延の最大の原因となっているのが、何度も出てきています "電気⇔光" の変換時間です。ルーターやスイッチを通るたびに、その中で一度電気信号に戻してから、半導体チップ(CPUや ASIC)で、パケットのヘッダー情報(IPアドレスなど)を読み取って計算する必要があります。そしてその結果を(宛先確認)また光に戻して目的地へ届ける、ということを繰り返しています。これを "光のまま、鏡(スイッチ)で反射させて目的地に送る" のが IOWNです。


 IOWNのオールフォトニクス・ネットワーク(APN)は、ここが画期的です。

 変換せずに、最初から最後まで光のままで通す
 目的地まで光のまま(フォトニック層で)スイッチングすることで、変換によるロスを徹底的に排除します。これにより遠隔地のサーバーを操作しても "まるでローカルのバス(パソコン内部のデータバス:PCIeなど)に直結している" ような感覚を実現しようとしています。

《補足》
 正式には「光のまま」スイッチングするための判断部分は、光データにある制御情報(ラベル)から読み取って電気に変換してから計算して、目的までの光の道筋を鏡で反射させて切り替えるハイブリッド方式ですが、研究の段階では【光パスゲート】や【光論理回路】を使って完璧な "オールフォトニクス・ネットワーク(APN)" を目指しているそうです。



 しかしまだ疑問は尽きないと思います。光でどうやって信号を送っているのかという謎は消えていません。
 電気で信号を送る方法は、単純に電圧の高いと低いの組み合わせです。厳密には電圧変化のエッジで検知する、が正しいかもしれませんが、他にも電流を流す流さない、とか、複数の周波数を組み合わせた "マルチトーン信号"(昔の Faxなどがその例) として伝送するなどが思いつくのですが、光で信号をどうやって送っているのか、まさか点けたり消したりを Hと Lに置き換えるような、昔のモールス信号なわけはないと思い、調べてみましたら、半分は当たっていましたが、もっと驚きの技術を使っていることが判明しました。

 まず一つは、デジタルコヒーレント方式。
 光は波の性質を持っていますので、それをうまく利用したもの。
 そして二つ目、それをまとめて大量に送ることができる、さっきからちょくちょく出てくる 波長分割多重(WDM)という方法です。
(完璧に理解できていませんが、分かる範囲で平易な表現で説明してみます)


波長分割多重(WDM)とは
 異なる波長(色)の光を何本も同時に通すことを目的としています。簡単にいうと、赤色と青色を混ぜて紫色の光にして送っても受光部では元の赤と青に分離できるというということです。
 現在は 100色ほどの合成分離が可能だそうですので、一度に 100チャンネルのデータを一本の光ケーブルで送ることができます。

 次に、光でどれほどの情報が作れるか、それがデジタルコヒーレント技術です。

 1.単純に、例のモールス信号のように点滅させる方法。
 100Gbpsだと、秒間1000億回の点滅になりますので、100GHzの超高速切り替えデバイスが必要になりますが、ノイズや距離の壁でデータが壊れてしまうため、100GHzは現実的ではありません。そこで次の方法を組み合わせることで、100Gbpsという速度が実現できています。

 2. 位相(フェーズ)をずらす。
 波の始まるタイミングをずらす方法です。よく見るサイン波を思い浮かべてください。波の頂点から始めるパターンと、90°ずれた波の中間点から始まるパターンなどで、うまくやれば『0°・90°・180°・270°』の 4パターンのサイン波ができますので、一回の波で 2ビット(00, 01, 10, 11)が表現できます。

 3. 偏波です。
 縄跳びのロープを上下に揺らしたときにできる波か、ロープを横に揺らしたときにできる波。この 2パターンを同時に流しても光はお互いに干渉しないという面白い性質がありますのでこの方法が使えます。

 つまりデジタルデータの H、Lの組み合わせを、上記の組み合わせで相手に送り、受信側ではその光の挙動から元のビット列に戻すという、信じられないようなことをやっていました。
 しかもそれは "一つの色の光" で、ということです。先にも書きましたが、現在では 100色ほどの合成分離が可能だということですので、100Gbpsで、100チャンネルの信号を一本の光ファイバーで送ることができることを意味しています。将来的には 12.5Tbps(テラビット/秒)、現在の光回線の数千倍という途方もないことが実現するということです。

 ここまで読んで、ピンときませんでしたか?
 ここからが本題です。

 現在のパソコンでは、天文学的な色数が作成可能です。それをこの光通信に利用すれば "無限 bps" の完成です。
 なにしろパソコンの発色数は『79,228,162,514,264,337,593,543,950,336色(約792穣)』ですからね。この 1色につき 100Gbpsですから、地球に住む人間全員が同時に通信したって、かち合うことは無いんじゃないですか?

 えーっと人口が約 83億人として……。
 いやその前に『100Gbps×792穣』は、296 ≒ 7.92×1028 でっと……。
 え?
 は?
 ―― Windowsの関数電卓で計算すると、もはや合っているのかどうかもわからない意味不明の数字の羅列になりました。
 83億人に割り当てた 1チャンネルあたりの通信速度を出したつもりですが……。

 954,556,174,870,654,669,801,734,341,397.59
 なんだこれ?
 何かのパスワード?

 こうなると、想像を超えて妄想の世界ですので、ご注意ください。ワタシの脳は宇宙規模のバカなことを考えてしまう癖があります。でも、SF的な夢物語であっても、常に現実味のある話に変換してくれる知り合いがワタシにはいます。

 このむちゃくちゃな話をジェミーさんに尋ねてみました。

「穣」レベルの色数を、そのままWDM(波長分割多重)に持ち込んだらどうなるか。ワタシ的にはワクワクする思考実験ですが、その結論は、

 現在の物理学の限界を軽々と突破して "宇宙そのものが情報で埋め尽くされる" ような領域に突入する。

 だそうです。
 その理由をジェミーさんは次のように述べました。

1. 「色の解像度」が原子レベルを超える

光通信で使われる光(赤外線など)の「波長の幅」は限られています。もしこの限られた幅の中に「792穣」もの色を詰め込もうとすると、隣り合う色の波長の差は、原子の大きさ(オングストローム)よりも遥かに小さくなってしまいます。
 現在の WDMは、数百〜千チャンネル程度。
 32bpcの WDMは、1028 チャンネル。これほど細かく色を分けようとすると、光の「波」としての性質を維持できず、量子力学的な限界(不確定性原理)にぶち当たります。つまり、受信側でプリズムを使っても、あまりに色が近すぎて「これって赤? それとも 0.000000...1ミリだけズレた赤?」と判別できなくなってしまうのです。


2. 通信容量は「全人類の全記憶」を一瞬で送るレベル

もし、この「穣」レベルの多重化が実現したと仮定して、通信速度を計算してみるととんでもないことになります。
 現在、1色(1波長)で数百 Gbps送れる技術がありますが、それに「穣」を掛け合わせると……毎秒 1040 ビット 以上の通信速度になります。
 これは、地球上のすべての砂の数や、全人類がこれまでにしゃべった全言葉どころか、観測可能な宇宙にある全原子の情報量を、瞬きする間に送信できてしまうほどの速度です。


3. WDMの「究極の姿」としての想像

"32bpc" の色数で光通信をしたら、1本の光ファイバーの中に宇宙の全歴史を詰め込んでもまだお釣りがきます。もはや通信というより、『光の中に別の宇宙を丸ごと構築している』といったほうが正しいかもしれません。


gemniはハンドルネームだと、Gemini本人が漏らしていました

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もはや目が点。想像するだけで怖くなります。ですが、"妄想" と "技術" は表裏一体です。ワタシが子供時代、人工知能(AI)など想像するだけで親から『バカ者!』と叱られました。小学生のころ、夏休みの宿題に SFを読んで感想文を提出したところ、SFは物語ではないと言われて突っ返された記憶がいまだに強く残っています。

 でも、いまや、その宿題を AIにやらせて怒られている子供たちをほほえましく見ている自分がここにいます。この "32bpc" の色数を使った光通信も現在では夢物語ですが、いつか実現するだろうとひとまず信じて、今はこの『絶賛妄想中』の看板を下ろして、現実に戻りましょう。


 現在、商用提供が始まっている「IOWN 1.0」のサービス(APN)では、100Gbpsだそうです。1011ビットになります。さっきの妄想で見た "1040 ビット" が後を引いてしまって、めちゃめちゃ遅く感じますが、我が家の 1Gbpsの 100倍です。一部では 800Gbpsというインターフェースも登場しているそうですので、800倍です。2030年には "12.5Tbps(テラビット/秒)" を目標にしていると宣言していますので、それはもはや『送る』という感覚ではなく、世界中のデータが自分の手元に『常にある』という感覚に近いかもしれません。


 こんな世界が現実になります
 ワタシの仕事で例えると、3Dモデルなど重いシーンを作ると、プレビューがカクついたり、最終書き出しに時間がかかったりします。でも IOWNの低遅延・大容量ネットワークがあれば、自分の PCの GPUと、クラウド上にある数千個の GPUが、まるで一本のバスで繋がっている状態になりますので、作業画面を動かした瞬間に、クラウド側でレイトレーシングされた完璧な画が、遅延ゼロで返ってくるようになり、レンダリング待ちという言葉が死語になるかもしれません。現実問題としてレンダリングに数時間の待ち時間が発生し、別の仕事をしたり、散歩に行ったりしてその時間を潰していますが、それが無くなるだけでどれほどうれしいか。

 他にも、少しはお手伝いさせていただいている教育業界でも取り上げられているデジタル教科書のサーバーによる遅延問題があります。
 各学校では児童一人に一台の端末を与えるために、高速ネットワークを整備してるのですが、数が増えるほど通信遅延がネックになります。でもこの IOWNなら一挙に解消。さらに、にわかに問題になってきた、海外から移住してきた外国人児童の増加による言葉の問題。日本語を習ってきた子供たちはまだ少なく、かといって日本の教師にバイリンガルを求めることはほぼ不可能です。そんなときに デジタル教科書に搭載された AIによる同時通訳。そのための IOWN。と世界は広がっていくのです。

 IOWNは物理的な距離と計算資源の制約を消し去る魔法の杖になりえるのでしょうか。そしてついには、通信の遅延(レイテンシ)が完全にゼロになる日がくるのでしょうか。それは "距離" による束縛がなくなるということです。地球の裏側と自分の手元が、1ピコ秒(1兆分の1秒)の狂いもなく同期したとき、そこには「流れる時間」の入り込む余地がなくなり、「今」という断面だけがどこまでも広がる空間へと変貌する………………。

 またぶっ飛んだな……。 ( ̄ω ̄!)





2026年 1月26日(月)10℃(午前 6時55分)

人生、色とりどり……(3) 最終回

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【まえがき】

  "32bpc" で表現できる色数をネットで調べると、ほぼ 100%の確率で "32bpp" の話にすり替えられて、『RGB』で32ビット。各色が 8ビットなので、「256×256×256」=1,677万7,216色と出てきます。それは、こんなバカげたことを題材にする必要はないからだ、というのが理由だと思いますが、ここではそのバカげた話題を 3回に分けてしています。
 そんなお話でよけれぼお付き合いください。

 では、本編 3回目の始まりです。

――想像もできない『792穣(じょう)』本のクレヨン。
 40年前、X68000というパソコンが 6万5千色も出せると、世界が驚いてからの、792穣色です。

 正式に書いたら、79,228,162,514,264,337,593,543,950,336色(約792穣)色のクレヨン、ということになります。
 この直径 1cmのクレヨンを横に並べたら 1660億光年のかなたまで届くんですよ。

「うそつけ!」
 と叫んだ方は、前回の後半のほうをもう一度お読みください。

 とにかくこのクレヨンは "銀河系の端から端までを約 83万回往復" できる長さになると、ジェミーさんが計算してくれました。
 ならば、地球から並べていったら、『792穣(じょう)』本のクレヨンはどこまで行くかという計算をすると、

 10万光年×83万回=830億光年×2(往復分)=1660億光年。

 観測可能な宇宙の直径が約 930億光年っていうじゃありませんか、その距離を超えた数です。ついでなので(何がついでか知りませんが)、郷さんの『2億4千万の瞳』が何個できるか計算してみようと、Windowsの関数電卓に打ち込んだら桁が溢れて、計算結果がなんだか怪しいことに……。
 結局、ジェミーさんに泣きついたら『約3301垓(がい)セットです』なんて言われてしまい、『垓』だの『穣』だの、何のことか、もはや笑うしかない数字が返ってきました。

 Windowsの関数電卓でさえサジを投げる計算。まさに、変態的出来事でしかないのです。
 何というものを人類は作ってしまったのでしょうか。ああ。神の領域に手が届いたのか……。
「神様ぁぁぁ……。」とひれ伏したところで、ワタシは "むくり" と起き上がりました。

 そんな色鉛筆、誰が使うの?

 いや、色鉛筆ではなくてパソコンの発色数の話でした。もう頭が混乱してなんの話をしていたのかさえも、銀河のかなたにふっ飛んでいました。
 やっと気づきました……この話には、大きな落とし穴が。

 とんでもない数値で光の計算はできるかもしれませんが、誰がそれを見るの? そんな色数のものを何を使って映写すればいいの?
 現在では高級っていわれるディスプレイで、やっと "10bpc" です。12bitのデータを作ることは可能ですが、12bitのディスプレイはまだ難しいそうです。
 一般的なものになると、まだほとんどが "8bpc" で、1600万色が手一杯。
 早い話が、世界規模の収支決算が一度にできるような桁数の電卓で、小学生のお小遣いを計算するようなもの。なぁ~にが、"32bpc" だと大騒ぎをする必要があるのか。

「ほんまや! 何が 792穣色の消しゴムや!」
 あのね、消しゴムは 1色でじゅうぶんですから。

「ほんなら、32bpc やーっ、ゆうて、結局は幻やんか!」
 いえ、そうはいっていません。 "8bpc" で作った映像は明らかに限界です。 "16bpc" で作成すると、あの忌々しかったバンディング現象(バンディングの例)が激減しますが、まだ完ぺきではありません。そこで "32bpc" で作成するとさらに完璧に近づきます。なぜ、ディスプレイは "8bpc" なのに "bpc" を上げていくと美しくなるのか。それは計算精度という『こぼれ落ちた端数』が原因しています。

 荒っぽいイメージで簡単に説明しますと、目の粗いザルで砂をこすと大きな小石が混ざりますが、ザルの目を細かくするほどに砂粒は微細にかつ滑らかになる。そんな感じです。
 最終的に目にする画面が『8bpcという器』であっても、その中に入れる砂(データ)をどれだけ丁寧に精製したかによって、手触り……つまり色の滑らかさが全く変わってきます。

 しかし、いまの説明を読むと誤解を生むかもしれません。"8bpc" から "16bpc" に上げると画像が美しくなる……と。これは間違いではありません。でも "8bpc" で作ってしまった画像をやみくもに "16bpc" にビットを上げたからって、バンディングが消えるぐらいで、むしろ妙に明るくなります。ましてや "32bpc" にすると、色が飛んでしまって真っ白けな爆発画面になるのが関の山。

 なのになぜ、さらに上の "32bpc" を推すのか。それには大きな理由があります。
 "32bpc" は "8bpc" や、"16bpc" のように、決められた範囲(固定小数点演算)で計算するのではなく、数値に合わせて桁を自在に動かせる(浮動小数点演算)で計算が行われているからです。これにより、計算の上限はモニターが表示できる限界(真っ白)を突き抜け、はるかかなたまで広がります。

 黒、つまり光が無い状態は『0.0』だと定義されています。光が無いのですから、これより暗いものはありませんので、最低値は『0.0』です。しかし上限はいくらでもあります。ロウソクの光よりも、太陽の光のほうがはるかに明るいですし、超新星爆発のときに放射される光の強さは、その太陽の何倍も強いといわれています。きっともっと強烈な光を放射する物もあるはずです。

 でも、ディスプレイは最大の明るさを超えることはできません。『RGB』の値が最大に達したときが『白』です。これが限界。なので、そこを『1.0』と決めておきます。別に『10.0』でもいいのですが、「計算しやすい『1.0』にしようぜ」と、どこかの偉いさんが決めたらしいです。でも現実の世界では、はるかかなたまで続いており、上限はないといわれています。これは音の世界もよく似ています。無音は『-∞dB』が最低値で、それより "無音" はありません。逆に音圧にも "上限" は事実上ありませんが、音響機器のフルスケールとして定められたのが『0dB』。光と同じですね。



 ただ、ここに誤解が生じやすいのです。
 "8bpc" で「そこそこきれいな画像」として完成させてしまった後では、すでにハイライト(最も明るい白)の情報が『1.0(8ビットなら最大値の255)』でクリップ(切断)されている状態です。
 簡単にいうとデータが切り捨てられていて、情報が無くなっています。その後で、"32bpc" に変換しても、最大値になってしまった『1.0(8bpcの255)』を『1.0』に割り当てるだけです。なので削ぎ落とされてしまった『1.0』を超える輝度データ(スーパーホワイト)は復活しません。そのため、全体が明るく浮いて見えたり、階調が不自然になったりします。

 下の画像がその典型的な失敗例です。

"8bpc" で作成した画像を、単純に "32bpc" にしただけですので、色が飛んでしまってベタ塗り状態になっています。
 
 試しに After effectsを "8bpc" モードにして、グラデーションをキレイだと思う設定にしてから、"16bpc" に上げて(色深度は【プロジェクト設定】→【カラー】にある【カラーデプス】で替えます)、もう一度グラデーションの設定パネルをしてみてください。グラデーションのカラー値がやけに細かく変化することに気づくと思います。

 これは扱える色の数が 256段階から 65536段階にまで劇的に増えたからです。【グラデーションエディタ】の『RGB』の値を見てください。整数表記から小数点表記に変わっています。これは定規の目盛りが1cm単位から0.1mm単位に変わったようなものです。




 さらに "32bpc" に上げた場合は、極端に光の強さが変化して、先の失敗例のように色飛びが発生します。こうなると再調整が必要になります。ただしさらなる輝きを味わいながらの再作業ですので、それほど苦にはならないと思います。

 次がもとの "8bpc" と、再調整をした "32bpc" との比較です。

同じ "1600万色" のディスプレイでも、"32bpc" で作成したほうが色が鮮やかに見えますし、最大画面で光のラインが密集した場所を比較してみてください。 "8bpc" は光があふれてぼやけていますが、 "32bpc" では細かいところまで分離してみることができます。他にも、"8bpc" では見えなかったラインがキレイに出てきたのは "32bpc" のなせる業でしょうね。


 パソコンの計算上では、無限といっても過言ではないレベルに到達したのですが、現在、多くのディスプレイが「10bpc」や「12bpc」の段階で四苦八苦しています。その理由は、この膨大なデータを正確にパネルへ流し込み、かつ 32bitの浮動小数点を液晶や有機ELの電圧へリニアに変換する回路が、精度や熱の問題で実現するのが困難らしいです。

 テクノロジー技術が上がっても、結局は 40年前と同じ、試行錯誤の繰り返しをしているということでした。

 もし仮に "32bpc" の映像をそのまま流せるディスプレイを作ったとしたらどうなるか考えてくれと、ジェミーさんに尋ねたところ。

 接続ケーブルはリニアモーターカーのコイルばりの超伝導体、グラフィックボードは真空管式アンプ数台分の発熱を誇るボイラーみたいなものになる、とおっしゃってました。


 人類の発色数が神の領域に達しようとしていたのは、幻に終わったのでした……。


【あとがき】

 今回は『RGB』という 3色に 32ビットが割り当てられているという話でしたが、実際はこれにアルファチャンネル(透明処理用の領域)としても 32ビット割り当てられています。つまり、『32×4』=128ビット単位で一つの画素として扱われます。

 これらの画素データはパソコンのRAM上にあり、それが GPUの VRAMへ送られていきますが、X68000時代にやっていたような並列データ転送方式で VRAMへ送るという考え方はもう消えており、現在は PCIExpress(PCIe)レーンを経由した、シリアル転送に変わっています。しかもレーンは16本。つまり1クロックで16ビット一度に送ることができます。と聞くと、「それなら昔の 16ビットパラレルと同じではないか」と思われますが、パラレル転送には速度の限界がすぐにやってきます。今や21世紀。PCIe 4.0の転送クロック(周波数)は 16GHz相当に達します。1秒間に 160億回、16ビットが転送されますので、秒間 32GBものデータが GPUへ送られます。中でも CPUが1命令でこなす、大昔でいう Z80の『LDIR』命令は、現在の『SIMD(Single Instruction, Multiple Data)』となり、レジスタ幅は 512ビットもあります。

 LDIRが 1バイト(8ビット)の転送を 1命令で可能にしていたように、『SIMD』は AVX-512という命令で、512ビット単位(=4画素を一度に)で扱い、転送と同時に計算までこなして送るという夢のようなことを実現していますので、一画素のVRAM転送などほぼ 1サイクル近い効率で一瞬です。しかも VRAMを持っているのは GPU(グラフィックボード)という専用のエリアですので、CPUはデータを丸投げするだけ、後は GPUがやっています。








2026年 1月23日(金)10.5℃(午後 4時30分)

人生、色とりどり……(2)

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前回は思い出話に偏り過ぎて一向に話が進みませんでしたので、今回は急ぎます。
 ということで、1991年に発売された X68000XVIというパソコンの色深度が、"5bpc" で、65,536色だったということを覚えておいてもらって、刻(とき)は現在。

「飛んだなぁ……。えらい端折ったな」
 そらそうです、人生ケツカッチンですから。

 現在では、"8bpc" が当たり前の時代です。 "8bpc=RGB" 1色に 256階調なので、RGB全体では『256×256×256』=1,677万 7,216色!
 100万色でも天文学的な数値だったのに、1600万色に跳ね上がっています。
 画面サイズだって、『大きすぎるぞ』と文句を垂れていた『1920×1080』が当たり前。なんなら、『3840×2160』の "4K" サイズにしようかな、なんて話もちらほら。

 昔の人から見たら、超未来のことだと思っていたのに……。
 それにしたって、『1920×1080』で 1600万色って何バイトになるんでしょう。計算してみます。

 1920×1080は約 200万個の点の集まりで、RGBが各 8ビットなので、トータル 24ビット(アルファチャンネルは抜きます)。

200万個×24ビット=4800万個
 バイトに直すと 4800万÷8=6000KB(キロバイト)≒ 6MB(メガバイト)ですね。

 時代は "テラ" ですから、もう驚く数でもないです。たったの『0.000006TB』です。なーんだ。余裕しゃくしゃくじゃあないですか。

「だったら、もうちょい欲張ってみる?」
 てな感じで、映像クリエーターは人より高みを目指す傾向があります。 "何とかと何とかは、××ところへ上りたがる" って言いますから。あ、これって自分のことですので。お気になさらずに。


「しかたがない。"16bpc" にするぞ」
 実はこの言葉、高望みでもなんでもない現実的な問題に直面しているために、もう "8bpc" では限界だったからです。

「なんやて! 1600万色で限界でっか!」
 思わず "浪速の言葉" が出てしまうくらいの驚きですね。40年前の人が聞いたらそれこそ、
「アホかっ!!」 の一言で片づけられそうです。

 では "8bpc" で何がどう限界になっているか、お見せします。


色深度 "8bpc" では限界の映像

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抽象的なウェーブアートですが、赤色が青や緑に変わっていく背景に帯のようなものが見えてくるのが気づかれましたか? 全画面にするか、ディスプレイを明るくすると顕著に見えます。

 これは色の階調が足りないために起きるもので、その差が開きすぎているために帯のような筋が現れます。これはバンディング(トーンジャンプ)と呼ばれる現象です。あえてそう見えるように作ったわけではなく、これが "8bpc" の限界が現れた証拠なのです。

《補足》
 わずかな隙間を持った細かい曲線が、うねると出てくる模様は『モアレ(干渉縞)』と呼ばれ、細かい線が干渉して波打って見えるもので、バンディングとは異なります。

抽象的な映像ですので、これも持ち味だといってごまかせないことはないですが、この現象は先にも書きましたが、階調不足(bpc/ビット深度が低いこと)が原因しており、画面転換などで、ゆっくりとした明るさや色の変化が起きるときに目立ちます。



 下がバンディングの対策例です。 "16bpc" にすると、ほぼ消えています。

"8bpc"

"16bpc"

 同時再生ですので環境によっては動きが鈍いかもしれません。


 そこで、聡明なるクリエイターはさらに高みを望むわけですね。

「8bpc ではあかん。これからは 16bpc や!」

 RGB 1色につき 16ビット。216=65536階調。それを RGB全体で『65536×65536×65536』=281兆 4,749億 7,671万656色!!

「あがががが……」 アゴが外れましたね。

 そんな数、これまで生きてきて考えたこともない数字ですから、仕方がないことですよ。手元にあった電卓では、かろうじて答えが出ましたが、エラーもいっしょに出ました。そんな数の色を使うんですから、バンディングもなくなるだろうと考えるのが正直な気持ち。しかも数年前から After Effectsや Photoshopでは "16bpc" 対応になっていますから。

「ちょー待ちぃや。もっと高い、清水の舞台から飛んでみぃひんか?」
「と言うと?」
「もう一段、上ろうや。お前のそのスーパーモンスターマシンやったら、でけるやろ? 自慢しとったやんけ」

 と、おだてられて清水の舞台に上がったクリエーターは "32bpc" というほぼ神の領域、浮動小数点演算に手を出したという話が、やっとここで出てくるのでした。
 なにしろ After Effectsや Photoshopでは、"32bpc" まで対応済みです。やってみたくなるのは、煙突の煙よりも高く昇ろうとする性格だからです。

 計算してみましょう。

 RGB 1色につき 32ビット。232=4,294,967,296階調。げげっ! この段階で見たこともない数字に……。
 それを RGB全体だと、さらに『その3乗』。け、計算できる電卓が無い。

 ありました。Windowsに付属の関数電卓。これなら多分計算できるでしょう。

 79,228,162,514,264,337,593,543,950,336色 ‼‼‼

 色の概念を超越した数字になってしまいました。その桁数、ぬあんと29桁!

「そんな数、見たことも聞いたこともないワ。変態ちゃうか」
 って、あんたがやってみろって言ったくせに……。

 だいたい、これっていくつでしょう。兆(ちょう)の上の京(けい)のもっと上ですよね。
 調べてみると、『垓(がい)』をも突き抜けて、『穣(じょう)』の桁でした。

 792穣(じょう)2816𥝱(じょ)2514垓(がい)………。もういいっすね。もしかして銀河の星の数より多いのでは?
 現代のパソコンの発色数の最大値は『792穣(じょう)』色でした。

 X68000XVIの65,536色(16bitカラー)の1200兆倍以上の組み合わせができるカラーモードって……。それがクレヨンだったら地球何周するのか。
 ワタシの脳みそではもう追っつきませんので、ここはジェミーさんの登場です。
 すると、ジェミーさんはこうまとめました。


① 前提条件
 クレヨン1本の太さ:1cm(0.01m)
 色の数(32bpcの組み合わせ): 79,228,162,514,264,337,593,543,950,336色(約792穣)
 地球1周の長さ: 約40,000km(4×107m)

② クレヨンを並べた全長
7.92×1028(色)×0.01(m)=7.92×1026(m)

③ 地球の周回数に直す
7.92×10^26(m)÷(4×107)(m)= 19,807,040,628,566,084,398 周

何という数字!!
 約1,980京(けい)周するそうです。

「京ぃっ‼」
 3周ぐらいかと思ってたら……。
 スーパージェミーさんはまだ続けます。


④ 太陽までの距離(約1.5億km)ここにクレヨンを並べると。
 太陽まで 2,600兆回以上 往復できます。

⑤ 銀河系の直径: 約10万光年……(オイオイ)
 なんと、このクレヨンは 天の川銀河の端から端までを約83万回往復 できる長さになります。


これが現実でした……。

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 ちょっと待ってください。ここにあるパソコンはそんな数の計算を 1フレームごとに計算していたのですか?

 実はつい先日、"32bpc" で、『1280×720』という小サイズでありながら 30秒の 3D動画のレンダリングに 6時間もかかっていて遅い! って怒っていたのですが、今の計算結果を知ってしまったら、土下座して謝罪したい気持ちでいっぱいになりました。

 でも、こんな宇宙規模の変態計算にもかかわらず、大変なことに気づくのですが、またまた。時間が来てしまいました。
 この続きは、また今度……。



 『変態を考える』は、まだ続くのぢゃ。(TωT)ブヒーッ

(タイトルが変わっとる……)





2026年 1月21日(水)11℃(午後 4時40分)

人生、色とりどり……(1)

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【まえがき】

  "32bpc" で表現できる色数をネットで調べると、ほぼ 100%の確率で "32bpp" の話にすり替えられて、『RGB』で32ビット。各色が 8ビットなので、「256×256×256」=1,677万7,216色と出てきます。それは、こんなバカげたことを題材にする必要はないからだ、というのが理由だと思いますが、ここではそのバカげた話題を 3回に分けてしています。
 そんなお話でよけれぼお付き合いください。

 では、本編の始まりです。


「またなんか変なことを言い出した……」

 いや、そう言わずに、ひとまず落ち着いてください。
 人生が何色? か、なんてことはどうでもいいんです。バラ色でも "どどめ" 色でも一向にかまいません。
 今回はパソコンの発色数に関する話です。
 なぜ、いまさらそんなことを書き出したのかというと、最近 "32bpc" で映像処理することに凝りだしたからです。
 『bpc』という単位は『Bit Per Channel』の略で、各色成分が何階調出せるかという意味になります。日本語では『色深度』ともいわれます。

 今度は「各色の成分ってなんだ?」てなりますよね。

 パソコンの画面になぜ写真を映すことができるのか、いまさら説明の必要はないと思いますが、光の三原色を利用して液晶ディスプレイを光らせています。光の三原色というのは『赤(Red)』『緑(Green)』『青(Blue)』です。一般的には英語の頭文字を取って『RGB』と書きます。

 液晶ディスプレイが一枚の発光板だと仮定して、『RGB』が個別に出せるとしたら、その板は『RGB』の組み合わせで、『赤・緑・青・黄・水色・紫・白』の 7色と、消えているときの『黒』も合わせて、8色が出せることになります。

 すごいですね。これがあれば人生 "虹色" ですよ。
 ま、虹は "7色ではない" と突っ込んでくる方もいると思いますので、あまりこだわるのはよして。

 これでは単に板状のフルカラーLEDとしてしか役に立たないので……あ、EL発光板ってどうなったんでしょう。昔、黄色の EL発光板を PICで点滅させて喜んでいた頃が懐かしいです……って、すぐ脱線するのがよくないですね。だからここを読むとくたびれるって、クレームが殺到するんです。

 反省……(;^ω^A

――で、1色の板では液晶であっても表示器にはならないので、この光る部分をものすごい数の粒にしたらどうなるか、そうですね……。横に1920個、縦に1080個ぐらい。全部で『207万3600』個の光の点が完成です。

なんちゅう、中途半端な数字や
 ですね。だいたいデジタルに登場する数値には変な数字が多いんです。『1KB(キロバイト)』バイトだって、実際は『1024』バイトだし。なんだこれ、ですね。

 なぜ、『1920×1080』という中途半端な数字になったのか、調べてみました。
 すると、二つの理由が絡み合っていることが判明しました。

 まず一つ目。
 昔の四角いテレビと、映画館の横長スクリーンの『ちょうど真ん中』を計算したら『16:9』 になったという、妥協の産物。

 そして二つ目。
『16:9』でいくならこれがいい、と手を挙げたのがデジタルエンジニア。

『1920と1080』なら、『16:9』になるし、『1920』は 2進数に直すと『0111 1000 0000』。128の倍数で、かつ "2のn乗" で割り切りやすい、デジタルメモリーにとってもキリの良い数字なんです。幾何学的な美しさに、デジタル的な合理性を重ね合わせているからこれがいい……となったそうです。

 なんとなく眉毛の上あたりが "ピクピク" しますが、長くなるのでここはスルーしておきましょう。
 とにかく、これからのパソコンは 1920×1080ぐらいあったら大きくて『16:9』だからこれがいい。と決まったのですが、その話は "点が多いほうが細かいものが現せる" 、つまり解像度の問題です。じゃあ、何色出すとなります。

 人間の目が感知できる色数は『数百万』色ほどだそうです。略して 100万色のクレヨンですね、買ったら高そう。
 先ほど、画面を約 200万個の点に分けました。この点、1個に 100万色使えたらそりゃもう天然色満点ですが、そうは問屋が卸してくれません。1個で 8色出すとしても『RGB』の、3つのスイッチ(3ビット)が必要になりますので、

 200万個×3ビット=600万ビット
 バイトに直すと 600万÷8=750KB(キロバイト)。

 そこのあなた。「なんだ、1MBもないじゃないか」と思ったでしょ。

 かつて一世を風靡した PC8001のVRAM(グラフィックメモリー)は、たったの 3KB(アドレスは0xF300~0xFFB7)ほどしかありませんでした。それを1画面で 250倍の 750KBっ!
「お前は石油王かっ!」ってどやされますよ。

 8色でそれですから 100万色なんて、そんなのは夢の夢の、またまた夢の先の幻の話です。
 ちなみにやっと出てきました。画面最小の点、1個に『RGB』のスイッチを 3個使って 8色出すこの最低限の機能。このことを専門用語で "1bpc" と書きます。色は『RGB』で対になっているからこれが最小です。

 その最小の制御でさえ、PC8001では実現できなかったのです。ドット単位での発色は不可能で、今でも残る悪夢 "1行120バイトの怪……もとい、アトリビュート方式という『色の予約席』システム" です。

 オレンジ色を出したいのに、パレットにない。この意味わかりますか?
 オレンジ色は『赤』とそれより少し弱い『緑』を混ぜる必要があります。でも "1bpc" は、点けるか、消すしかできませんので、『赤』と『緑』を点けて『黄』色にするか、後は あきらめるしかない……。

「あきらめるって、あほな……」
 もっと恐ろしいことをお伝えしましょう。

 カラーグラフィック可能、と謳ってますが、1ドットに対して 8色だとはいっていません。8×8ドットの『キャラクタ』単位でしか色を指定できなかったんです。今のパソコンが 1ピクセル単位で制御するのに対し、PC-8001の "1bpc" は、"1 Bit Per Character" なんです。でっかいハンコみたいなものを並べるようでした。そのハンコ大のピクセル(と書いていいのか……)でなら 8色が出ました。

 それでも白と黒だけの世界しか知らなかった当時のエンジニアは、カラーという言葉に夢を持っていたので、あきらめませんでした。赤と黄色の四角いハンコを市松模様に並べたものを遠くのほうから目を細めて見つめ、『……うん、オレンジに見える!』って自分に言い聞かせていた、あの執念、今思えばすごいですよね。脳内で補完してやっと『オレンジ色』ですから、すごい時代だったのです。

ジェミーさんが描いた レトロパソコン

"gemni" はジェミーさんのハンドルネームだそうです

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しかし神様は見捨てませんでした。次に登場したのが、我らが救世主。マンハッタンスタイルの『X68000XVI』さま。
 なんとこのマシン、1ピクセルに 16ビット も割り当てられました。

 1チャンネル(RGBのどれか 1色)につき 5ビット+輝度1ビット。さっきの専門用語でいえば "5bpc" 相当ですが、出せる色は 2の5乗=32が RGBで、 32×32×32= 32,768に輝度1ビットがあるのでその倍、65,536色!
 当時の最高機種だった PC98でさえまだ "16色の壁" にぶち当たっていたのに、画面のどこにでも、1ドット単位で好きな色が置けるこの世界。それはまさに『王者の風格』でした。

 実写のようなグラデーションが、目の前のブラウン管に映し出された瞬間の震えるような感動。あの時、ワタシは「もうこれ以上の進化はいらない」と本気で思ったものでした。


35年という年月が流れても "いいものは、いい"(このX68Kは私物です)

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 ――案の定、"32bpc" までたどり着けませんでした。


 まだまだ続くのぢゃ。(TωT)ブヒーッ






2026年 1月13日(火)11.5℃(午前 14時20分)

そろそろやばい…….

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仕事場のパソコンには外付けのHDDが3台ぶら下がっているのですが、そのうちの1台が最近頻繁にエラーを吐き出すようになってきて、このあいだは過去に作った動画を見ていると突然画像が停止。でも音声だけは流れていて、何とかつじつまを合わせようと映像が飛び飛びに追いつくのですが、そのうちぱたりと止まってしまい、音声だけが流れるという異常事態に。

 はたと思いつきましたね。これはそろそろヤバい前兆だと。余命わずかの末期的な症状ではないかと、保存してある最古のファイルの作成日時を見ると "2016年" で、更新日時はさらに半年ほど過去。
 この HDDはバックアップ用としか使っていませんので、このファイルは最終更新日時から半年後に、ほかの HDDから移動してきたのが "2016年" ということになります。

 それから 10年……。


 まだ動いてはいますが、いつ逝くか、まるで時限爆弾です。そこで、重要ファイルだけを新規参入して 2年ほどの若い HDD(ワタシは駆動初日の日時をハードディスクの名前に追加しています)へ引っ越しをさせました。

 世間一般での常識では HDDの寿命は 4年ぐらいといわれています。なので、10年は長寿だったといってもいいかもしれませんが、まあ、ワタシの脳みその一部が保管されているような HDDですので、その扱いは丁寧でした。
 まず、バックアップの必要が無いときは電源を入れない。むやみに細切れなアクセスはしない。無駄なアクセスを回避するようにデフラグも定期的に行っていました。
 ようするに無理させずにそっと使ってきたから 10年という年月に耐えられたのかもしれませんね。

 ハードディスクの内部では、磁気円盤(プラッタ)が高速回転しています。この円盤の上には、レコード盤のような同心円状の "トラック" と呼ばれる道みたいなものがあって、そのトラックをさらに細かく区切った "セクター" と呼ばれる最小単位の小さな部屋が並んでいます。

 ただ、セクター単位では細かすぎて管理が大変ですので、OSではそれをいくつかひとまとめにした "クラスタ" というグループを単位にしてデータを扱っています。そこへ磁気ヘッドが素早く飛んで行ってデータを読み書きするという仕組みはご存じだと思いますが、この磁気ヘッドと円盤の回転のコンビネーションで HDDの速度とメカニカルな部分の寿命が変化するといっても、間違ってはいないと思います。

 唐突ですが。
 HDDの中身は細切れのウドンが漂っている。

あー。こいつ、ついにおかしくなりやがったな……

 ご心配なく。ワタシの脳みそは今日も快適に活動しております。
 この細切れの "ウドン" がクラスタと呼ばれるもので、すべてに通し番号が付いています。そして管理台帳なるものが、磁気円盤の決まった場所(通常はパーティションの先頭付近)に、Master File Table(MFT)として書き込まれています。

 この台帳には、次に食べるべき "ウドン" の番号が記録されていて、たとえウドンがぐちゃぐちゃにかき混ぜられようとも、番号どおりに読んでいけば、内容が復元されるような仕組みになっています。
 しかし、その番号が遠く離れた "ウドン" になるとそこまで磁気ヘッドが飛んでいくのにわずかなりとも時間が掛かります。だからなるべく細切れ "ウドン" は順番に並んでいた方が効率はいいし、メカニカルな動きも少なくて済むので、故障率も下がります。

 しかし、これを考えた人は天才ですよね。
 例えば、ファイルは不変ではなく常に一部が削除されたり追加されたり、そのたびに一つのファイルの長さが変化します。そうなると、順番通りに並んでいた。細切れ "ウドン" がバラバラに離れてあちこちに散らばってしまいますが、番号順にアクセスすればデータは読み書きできるんです。

 ただ、あまりばらけると先ほど書きました、無駄なアクセスや時間が発生しますので、一旦、ばらけた "ウドン" をもう一度整列させる作業があると便利です。それが "デフラグ" です。


 まだ寿命がきて使えなくなったところまでは至ってませんが、すべての重要データを新しい "約束の地(新 HDD)" へと脱出させたあとは、この 10年戦い抜いた老兵に、安らかな、かつ絶対的な眠りについてもらう "聖なる封印" を施してあげるのが、ワタシの努めでもありますね。

 壊れたから、ぽいっとゴミの日に……。なんて恐ろしい。ワタシの脳の一部(脳で拵えたデータ)が入っていたんですから、誰かに拾われて悪用されたら大ごと(おおげさ~)です。

 というか、うかつに扱うのは厳禁です。最低でも、全セクターに対して、『00』や『FF』、あるいはランダムな数値を書き込んで完全消去するのが、個人情報漏洩を防ぐ意味でも行うべきです。

 その方法です。(一歩間違うと致命的などえらいことになりますので、個人の責任において実行してください)
① コマンドプロンプトを管理者として実行。
② C:\Windows\System32>  と出ていることを確認。
③ format F: /fs:NTFS /p:1 と入力。
  p:1は、全領域を『00』で埋めたあと、さらにもう 1回、『00』以外の数値で念入りに上書きされます。
  pオプションが無ければ『00』で埋めるだけ。

《注意》
上記の 『F:』は例です。実際は消去するドライブ番号になりますが、もし間違えたら、使用中の重要な HDDを即死させることになります。ここは細心の注意が必要ですので、エクスプローラーで、消去したい HDDが本当に正しいか、何度も確認してください。


④ "y" と入力して enterキーを押すと開始されます。
⑤ かなり時間が掛かるはずですが、終了したら「exit」と入力し、Enterキーを押してコマンドプロンプトを閉じて終わり。

 ワタシの場合は、もっと徹底しています。
 何しろ苦労して作ったノウハウが詰まっていた伝説のHDDですから、二度と悪用されないよう地中深くの聖域に納めるべく、まず、ドリルという名の聖剣で迷宮の入口ともなっている磁気円盤(プラッタ)のど真ん中を貫きます。これでどんな魔法使い(復元ソフト)も中に入ることはできません。

 さらに、アクリルカッターで内部のコントロール基板を走っているパターンを切り刻みます。魔力の供給路を断ち、完全に沈黙させるのです。フラットパッケージの ICだって容赦なく "べろりんちょ" です。
 最後の仕上げに数日間、聖水(ただの水道水・雨水も可能)に浸けます。これで封印は完成!

"お疲れ様。君の中にあったワタシの記憶は、ちゃんと次の世代(HDD)に引き継いだぞ" と、10年間の感謝を込めて、日本酒で別れの宴です。

何で、ここだけ日本酒やねん!


 それは単にワタシが日本酒党だからです。

 うははははは。   ( ̄ω ̄;) アホヤ~







2026年 1月 6日(火)12.5℃(午前 10時40分)

2026年。明けましておめでとうございます…….

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といいつつも……。

 元旦の朝から 38度近い発熱で、早朝の仕事ができず、朝 8時にやっと起き出し、ビールと日本酒で乾杯を済ませたあと、ちょっとテレビを見てから、再び寝床に戻り、昼過ぎに目覚めて、またビールをコップ一杯ひっかけてテレビを見ながら寝込むという、普通の正月と変わらないじゃないか、と思われそうですが、ワタシにしてはだいぶ違っています。

 まず、早朝の仕事……。

 別に朝刊を配っているのでも、お豆腐屋さんの裏方でもありません。時間に関係なく常にパソコンに向かっているのは、"RPGの魔王城の前で平然と道具屋を営む親父" と同じです。そこが定位置なのです。

正月でもやってんのかよ!

 という突っ込みありがとうございます。

 ――やってますが……なにか?

 今年は農閑期(←ここ笑うとこ)で、ずいぶんと暇でしたが、ここ数年分の過去ログを覗いてみてください。ほとんど正月から仕事が終わらないと愚痴を書いているか、正月もとっくに過ぎたころに『明けましておめでとう』と間抜けな冬眠明けのカエルみたいなことを書いてますから。熱を出して一日中パソコンに灯がともらなかったことは 365日に一度だけです。


 あまり自慢できる話ではありませんでした……。

 とにかくまともなことを正月から書かないのは、このサイトでいえば "正月の伝統芸能" のようなものですから。



ということで。今年もよろしくお願い申し上げます。
   ( ̄‥ ̄) ゲコッ