日々戦い

(掲載当時は2005年です) 戻る  次へ

NAMCO社のパックマンのボードで作成したゲームを表にしてみました。

完成日タイトルプログラム容量キャラクター容量内容
1983年2月Cup
Cup
16K8K 迷路を上からみたゲームエリアをうろうろする敵キャラクターに捕まらないようにしながら、
プレーヤーは時限装置付きの箱を通路に置きます。時限装置が働くと、その箱は決められて
いた方向に、通路の中を壁か敵キャラクターに当るまで吹っ飛んで爆発するというものです。
いまでいう「ボンバーマン」のようなゲームです。敵キャラクターを全滅させると1面が終了
します。

パックマンのボードで作った初めてのゲームなので、どうしてもパックマンの雰囲気が残って
しまいました。それと、時限装置が飛んでいく方向をいちいち設置する時に決めるので、それ
に時間がかかり、さらに敵キャラクターの動きが速かったので、すぐにつかまってしまい、
これもあまり人気がなかったです。(悲)
1983年6月Number
Crash
20K8K 本棚のような棚が数段あり、それぞれ、はしごで接続されており、プレーヤーは棚とハシゴを利用
して上下左右に移動ができます。そしてゲームエリア内に点在する0~9の数字を蹴り落としながら
1番下の整理箱の中に入れて行くゲームです。もちろん敵キャラクターが邪魔をするためにまわりを
うろうろしています。
また、整理箱に入れられる数字の並び方でもボーナススコアーが取れます。

このゲームは、バック画面用のキャラクターに、数字を書きこんでおき、プレイヤーが蹴飛ばした
瞬間に、バック画面の数字を消し、スプライト画面に表示させ、スプライトを移動してから停止し
たところで、また
キャラクター画面にもどして表示させるという方法を取りました。4つしか
ないスプライトでも結構凝ったこと
ができました。
サウンドも明るい音楽をオリジナルで作ったので、全体的に可愛いコミカルなゲームになり、当時
の業務用ゲームに負けないほどの出来のよさでした・・・。と、自画自賛しておきます。
そこそこの人気はありましたが、蹴った数字が画面の隅にかたまっている所で、高得点を得るため
に並びを変えようとしても、数字の順番が同じような順番にしかならず、点数の高い並び順がうま
く作れませんでした。
いま考えると、立ち止まって蹴る場合と走ってきて蹴る場合とで数字の飛距離を変えるようにすれ
ば、もう少し完成度の高いゲームになったと思うんですが、当時はコレで精一杯で、すぐにゲーム
の底が見えてしまい簡単に飽きられた。
情けない・・・。
1983年
12月
Sweeper24K8K 「Number Crash」と同じように、はしごがかかっている棚に鳥のモンスターが産んだ卵が
並んでいます。プレーヤがその卵を蹴り飛ばして潰していくゲームです。全部の卵をつぶすと1面終了。
飛んでいる敵の鳥に、蹴った卵をぶつけるとやっつけることができます。また敵の鳥はどんどん卵を産
んでいくので、早くやっつけないとゲームが終ませんでした。

このゲームは。1画面で1ゲームというのではなくゲームエリアを横に長くつなぎ、左右にスクロールさ
せることで、横に長く広い世界でゲームをすることができました。

しかし毎度のことですが、アイデアの外側はまあまあなのですが、内容に深みがないためにすぐに飽きられてしまうモノばかりです。ただ、やっつけて潰しての単純な繰り返しで、いまでいう〝クソゲー〟ですね。
 『ことば悪いなぁ~。〝クソゲー〟って』
 『まぁ~。間違ってはいないけど』


2020年4月28日 補足

上記で述べています『クソゲー』が、その後小さな波紋を立てることに、この時の筆者は気づきませんでした。 詳細はクソゲー後日談をご覧ください。


 パックマンのボードも、インベーダーのボードから比べると高機能でしたが、やはりスプライトの少なさが致命的で、すぐにアイデアが頭打ちになりました。そこで1年後、マザーボードを変更することにしました。
 『自分のアイデア不足を棚に上げて……』
そのとおりです。はぃ・・・。

そのころゲーム業界は空前のコピーブームで、海賊版のゲームが大量に作られていました。メーカーが莫大な開発費を投入して作ったゲームを悪徳業者が平気でコピーして売り出す暗黒時代に入っていました。人気のあるゲーム基板は大量にコピー基板が出回っており、オリジナルゲームを作る側としてはとても腹のたつ行為です。
 『あんたもゲームはオリジナルだけど、メーカーのボードをいじっているでしょ。いいの?』
しかし、趣味の段階ですし、金銭を得ていませんし……。当時、オリジナルボードを作ることは技術的にも経済的にも無理でしたし・・・。
 『それで、どうしたの』
その中で、KONAMIのタイムパイロットというゲームの基板が手に入りましたので、それを次のマザーボードにしました。

このボードはスプライトの数が大幅に増えて24個もありました。加えてサウンド機能もAY-3-8910というICが2個も装備されていました。

このICはNECのパソコン、PC6001にも搭載されていたPSGと呼ばれるICで、1個で3チャンネルのオーディオ出力を持っています。それが2個使われていますので、6つの音が同時に出せます。

音楽に3チャンネル、サウンドに3チャンネルの出力が可能になります。その上、このサウンドは専用のCPUが処理を受け持つために、メインCPUの負担がパックマンの基板よりさらに軽くなっており、もっと込み入った処理ができるようになります。
 『ふ~ん』



 1984年。新機種購入。
パソコンの主流は16ビットCPUのPC9801に移り始めていましたが、
PC98はどうも事務機器のにおいが強かったので嫌いでした。

それにゲーム機のCPUは8ビットというのが多く、そのままPC8001を継続して使用する方が都合がよかったので、夢の5インチフロッピーディスクが2ドライブも入ったPC8801のバージョンアップ品である、PC8801mkⅡを購入することに決めました。でも、それには大きな理由がもうひとつありました。
 『へぇ~。なんだろ?』



初代PC8801(1982年頃)
フロッピーディスクは外置きの8インチです
(月刊RAM 1982年2月号より)





2年後バージョンアップされたPC8801mkⅡ
5インチの内臓ディスクになって少し小型になってます
(PC8801mkⅡ ユーザーズガイドより)



 ゲームの内容が徐々に複雑になるにつれ、キャラクターの制作がそれなりにたいへんになってきたからです。

 それまでは方眼紙にキャラクターの下絵を描き、それをドット絵に変えて、それから16進データに変換してキャラクターデータを作っていました。いまでいえばアイコンデータを作るような作業ですが、すべて手作業でやっていました。
 『よう~やる。効率悪ぅ~』

 それで、デザインの作成処理をパソコンでやりたかったのです。いまなら性能のいいデザインプログラムがごろごろしてますが、当時そんな専用プログラムは皆無でした。

 ということは自作しか道が残っていません。どうせアセンブラで組むことになりますので、慣れている8ビット機を選んだのです。
 『なるほろ~』
 このPC88mkⅡあたりから本格的に漢字/ひらがな表示が可能になってきています。その理由はグラフィックモードという新機能が搭載されたからです。これがゲームのデザイン処理に使えそうでした。
 『グラフィックモード?』

 PC88mkⅡのグラフィックモードというのは、いまのパソコンのように好きな位置のドット(画面上の最小の点)を発色させて自由な絵柄を表示することができるという機能です。

 ただ、このモードは1ドットを自由に選択できるのではなく、横8ドット分まとめて選択されるために、その中のひとつの点を変更させるには、それなりに技術が必要でしたが、それよりも発色数が、黒・白・赤・青・緑・黄・水色・紫のたったの8色でした。
 『はぁぁぁ? 何それ。どうやって絵を描くの?』

 いまのパソコンは1600万色の色が使えますのでこんなことはしませんが、当時は8色でいろんな色を出すために工夫しまた。たとえば赤色と黄色を交互に発色させると遠目にはオレンジ色になるというテクニックです。
 『はぁぁぁ? テクニック? 子供だましじゃん』

 8色しか出ないんですから仕方ないです。それでも当時のパソコンユーザーはがんばったんですよ。
 『はい。はい。 あんたはエライ』

 ゲーム機の発色数はコレよりマシでしたが、パソコンとは異なる方式のために互換性がまったくなく、PC88mkⅡとゲーム機を直接つなぐことはできませんでした。ゲーム機の発色の原理はかなり複雑ですので、詳しく知りたい方は〝ゲーム機の発色方式〟をご覧ください。

 数年後、キャラクター専用のICEを自作して、パソコン上でデザインしたキャラクターが瞬時にゲーム機で確認ができる、というところまで到達するのですが、この頃の自分の技術力とPC88mkⅡの性能では到底無理でした。

 それでも、BASICとアセンブラで、ドット絵をパソコン上で作り、自動的にROMデータにするキャラクタエディタもどきのものを作り上げました。
 機能的には簡単なものでしたが、手作業でやっていたドット絵のデータ変換が、自動的にできるようになったのでたいへん楽になりました。
 『はい。はい。 よかったね』
 聞く気あります・・・?
 『聞ぃ~てるよ。 ちゃんと』
 ・・・・・・・・・・。


 それと、いまのパソコンでは信じられないと思いますが、PC88mkⅡの解像度は640×200ドットという小規模で、とても荒い画像でした。
 『グラフィックって呼ばれて、グラフィックではない。 ベン♪ベン♪ 』

 高解像度モニターをつなぐと、640×400ドットになり本格的に使えましたが、このモニターがたいへん高価で簡単に購入できる代物ではありませんでした。いまなら二束三文で転がっています。というか、もうだれも買わないと思います。
 『そうそう、このあいだ買ったパソコンがもう古いって言われたよ。 』
 あぁ。あれはもう古いですよ。今どき400MHzのクロックのパソコンなんて中古でも売ってませんよ。
 『ぶぅ~! ブゥ~! 』

1984年当時のシステム
 

左にターゲットボードやROMエミュレーターが見えてます。手前のキーボードがPC88mkⅡのキーボードです

好きな形を表示できるということで、漢字表示には都合よくできていましたが、ただ、この漢字表示機能が、おそぉ~い!遅い! 
 『 ( ´艸`)ムププ 』

普通に漢字を表示させるにはBasic言語でしかできなかったので、駅の電光掲示板のようにヌルヌルとしか出てきませんでした。ここに書かれているような文書を表示させたらきっと、最後まで表示するのが待てずに別のページへ飛んでいるでしょうね。イライラして・・・。

そこで、訓読み変換モジュールと日本語表示モジュールをアセンブラで作ってしまいました。
 『訓読み変換? 何なのそれ?』
いまのような学習機能を持った高度な漢字変換機能ではなく、訓読みで入力すると対応する漢字一覧が出ますので、その中から選択して入力するものです。
 『あはは。何それ。めちゃくちゃ不便』

 いや、いや。これがなかなか便利でしたよ。PC88mkⅡには漢字のフォントが入っているのに、漢字変換機能なんて準備されてなく、たしか使用する漢字を辞典のようなコード一覧表から手作業で選んで番号を入力するというとんでもないシロモノでしたから。

 その後バージョンアップされたものが出ましたが、それまではこの変換機能で十分でした。
 『あはは。のんびりした時代ね』

いやぁ。いまも似たようなもんじゃないですか。高速で完璧な音声認識パソコンが出てきたら、きっと言いますよ。
『昔はキーボードと呼ばれるボタンが一杯ついたもんで文字を入力していたよ。あはは・・・』って。
 『う~ん。かもね』

せっかく作った訓読み漢字変換機能を何かに利用できないかと考えていたときに、ある雑誌のプログラムコンテストの記事が目にとまりました。そこで、家族で使えそうなプログラムを作ることにしました。
題して、【ママのお手伝いさんはV3】というものです。
 『はぁ? 何それ・・・。ダサいタイトル』

一般の家庭にもだいぶ普及してきたパソコンでしたので、何か家庭でも使えるモノは無いかと考えたあげくのプログラムです。
このプログラムは2つの仕事ができました。ひとつは黒板の代わりにパソコンに伝言を書いて家族に知らせるというものです。ここで先ほどの漢字変換機能が活躍しました。

もうひとつは、料理レシピの表示機能です。たとえば〝肉じゃが〟を選び、人数を入力すると必要な材料の種類と量の一覧が買い物リストとして表示され、さらには作り方も教えてくれるというものです。もちろんプリントアウトもできます。

 『いいじゃん。便利そうな気がする』
でしょ。当時としては、まだなかったジャンルで期待が持てそうでした。そこで、わざわざ料理の本を買ってきて、かなりの時間を費やして50種ほどの料理を入力しました。
 『うん。うん』

ところが、やっぱりツメが甘かったんですね。
 『えっ? まさか・・・』
たとえば先ほどの〝肉じゃが〟を例にとりますが、4人前の買い物リストにジャガイモが3個と表示されたとしますね。
 『はい、はい』
人数を3人前に変えると、買い物リストのジャガイモが 2.25個と表示されるんです。
 『はぁ? 八百屋さんでジャガイモ 2.25個くださいって言うの?』

料理の本は平均4人前の量で書かれていましたので、1人前の量を計算するときには単純にそれを4で割る、というような安易なプログラムをしてしまったんです。そのため小数点以下2桁の数字が出てくるような料理が出現してたんです。
 『はぁ~。そりゃだめだわ!』
そうなんです。計算結果そのままで、数値を丸めることができなかったんです。いまなら多めの2個半とか、少なめに2個とかに丸めてしまうようなプログラムを組むと思うんですが、情けないですね・・・。


 『ホント、情けないねぇ・・・。それで、結果は?』
 結果は参加賞の黄色いTシャツ1枚でした。それも、誰も着れないような思いっきりサイズの大きなやつでした・・・。(悲)
 『あはははは・・・。 オチまでついてるの?』
まぁ。人生いろいろありますよ。
 『ぎゃははははは・・・』
笑いすぎ。
 『ぎゃははははは・・・』

 ・・・・・・・・・・・・・・。